第16節『家族』
どうも、もんたです。
来週末大阪に行ってきます。
プライベートの旅行です。お土産はたこ焼き味かお好み焼き味のお菓子にします。
そのため、来週は少し更新がずれこむかもしれませんが、ご了承くださいまし。
それでは、どうぞ。
「これは…?」
『それは、そうですね。名前を付けるなら【水精霊のペンダント】と言ったところでしょうか。これを肌身離さず身に付けておいてください。片方には私の魔力をこれでもかと詰め込んだ水を入れてあります。』
『正直、その中の水を飲めばたいていの怪我や病気、さらには呪いにいたるまでは治るくらいの魔力は込めた自信がありますよ。いざという時はそれを使うのもアリです。あとは、周りに水がない時にどうしても私を呼ばなくてはいけないといった緊急事態になったときに。その石に含んでいる魔力があれば極端な話、砂漠でも1~2時間は動けると思います。』
「《魔道具》ってことでいいのかな?もう一つの石は?」
『人間的に言えば、《魔道具》という認識でよいと思います。精霊が作るものって基本的に魔力を帯びていますので全部そうなっちゃうんですけど。そうそう、もう片方はわたし用です。』
「デフィー用?」
『はい。いつも湖の中にいるわけにはいきませんから。契約した精霊は、主に自分の核を渡すのです。主はその核に魔力を通すことで精霊を呼び出せるというわけですね。今はまだ実体化していますので、ただの石のように見えると思いますが、私が入ればもう一つの石のように青く輝きます。』
言い終わってにこっと笑ったデフィーが石に触れると目の前から彼女の姿が消えた。
青い粒子が広がったかと思うと、さっきまでなんの変哲もなかった石が青々と輝きだした。
よく見てみると石の中心部分に六角形の白い宝石のようなものが出来ている。
これがデフィーの核…なのかな?
もう一個の石に比べて魔力の感じが凄く弱々しいけど…
空にかざせば、木漏れ陽を受けた石の中の水と中の宝石がキラキラと輝いてとっても綺麗。
そういえば、魔力を通せば呼び出せるって言ってたな。
言われた通り魔法を使う時のように魔力を通せば、デフィーの核が一瞬青白く光った。
するとまた僕の目の前にデフィーが現れる。
服装とかは変わらないからこれが彼女の装備というかいつもの恰好ということになるんだろう。
『ふふ、どうでしたか?それが私の核です。核が無くなれば私はわたしとして存在することが出来なくなりますので気を付けてくださいね。』
『逆に言えば、その核さえ無事ならばどんなに傷ついても復活できますから安心していいですよ。お手入れは魔力を通した布とかで暇を見つけて磨いてください。お肌が綺麗になりますので♪』
え、お肌に関係するの?
「う、うん。それとさ、一つ気になったんだけど。」
『なんでしょうか?』
「デフィーの核の埋め込まれたこの石なんだけど、もう一つの方に比べて魔力量が少なくない?これでいいの?」
『あ、さすが、気付きましたか。核の石には魔力探知をごまかす術式を組み込んでいます。これは《術式魔術》といいまして、確か既にヒトの間では廃れてしまったと聞いています。一部は魔法陣として残ってはいると思いますが…。この魔術は魔法では基本的に看破することはできません。よって基本相手をだますことが出来ると思いますので、万が一核が狙われるようなことがあれば、もう片方の石を犠牲にしてくださいな。』
不思議な顔で石を見比べていると、興味があったのかじいちゃんんもすぐそこまできて石をまじまじと見始めた。
「ほぉ、ずいぶんと精巧な作りじゃ。精霊はみなこの石のように同じものが作れるのかの?」
『そうですね…。他の精霊を細かく知らないので何とも言えませんが、似たようなものは作れるのではないでしょうか。術式はそれなりに長く生きている精霊なら得意不得意はあれど使えますし。わたしやヴァールトのように土地に根差すような精霊は核を持たないと動けませんので、必須とも言える技術ではあります。ヴァールトも核はオルガに預けているんでしょう?』
『うむ。当然であるな。流石にどういった形で渡しておるかは言えぬよ。しかし、皆同様にアクセサリーとして契約者に預けることが多い。突飛な形を好むものもいないではないが、あまりに変だと浮いてしまって、見るものが見れば特殊な道具だとばれてしまう。』
それもそうか。
そういえば、物語で剣から精霊を呼びだすとかあったな。
その場合は剣に炎の精霊の核が埋め込まれてたってことなんだろう。
『まぁ、なんにせよ、積るお話が多くなりますから、おうちに帰りませんか?マルク、おいしいご飯が食べられますか?あったかいお布団というもので眠れますよね??』
「まぁ、ご飯は、そうだね。かあさんのご飯は美味しいよ。」
「ほっほっほ。これからにぎやかになりそうだのぉ。」
「ええ、そうですね。それでは帰りましょうか。歓迎会ということで腕によりをかけましょう。」
かあさんの言葉を受けて数割増してテンションをあげたデフィーをなだめながら帰り道を歩いていく。
久しぶりに外の世界に出られたと言っていたデフィーは見るものすべてにキラキラとした目で反応して、僕が晩御飯用にと鹿を弓でしとめた時は大興奮だった。
僕もかあさんと初めて森に出かけた時はこんな感じだったっけ。
傍目でみるとなかなかに恥ずかしいなぁと思うので、僕はもう少し落ち着いていたはずだと思うことにする。
デフィーは長命な精霊なだけあって、薬草にも多少理解があり、かあさんも同性(人やエルフではないけど)の話し相手が出来て嬉しそうだった。
じいちゃんは予想通りヴァールトと話が合うようで行きも帰りも魔法のことについてずっと話していた。
僕もちょこちょこ耳を傾けていたけど半分以上の内容が難しすぎて僕にはついていけなかった。
家についた僕たちは早速、水の精霊の力を実感したのだった。
なんといっても水汲みがいらなくなるんだ!
これはありがたい。
お風呂の水を張るのもデフィーにかかればあっという間。
しかも水の温度も初めからお湯の状態で出せるというから驚いた。
料理に使うにしても栽培している薬草の水やりにしても、デフィーが居れば全部解決。
一家に一デフィーといったところだろうか?
はじめかあさんは便利使いしているみたいでいやだと言っていたけど、本人がウキウキと楽しそうにやっていることと、想像以上の便利さに何も言わなくなった。
それにデフィーの出す水には嬉しい副作用があって。
まぁ、言われてみれば納得ではあったけれど精霊の生み出した水ということで、デフィーが意識するしないに関わらず、水には魔力が込められていた。
治癒を得意とする水精霊の魔力がこもった水は、癒しの効果が含まれており、そんな水で満たされたお風呂は入れば身体の怪我や軽い腰痛なんかまで治るというおまけつき。
これにはじいちゃんが大喜びで、風呂上りに「腰の痛みがなくなった!わしも水の精霊と契約しに行く!」といきなり出かけに行こうとしたのをかあさんが必死に止めていた。
でも大変だったのはその後…
身体の調子を整えるということはお肌に関してもそれなりに効能があるってことで。
デフィーの用意したお風呂は美容にもいいと分かったかあさんがさっきまでとどめていたはずのじいちゃんと一緒に、精霊と契約すべく旅に出ようといったときは本当に困った。
グランたちの力も借りて、30分ほどかけてなんとか説得できた頑張りを誰か褒めてほしい。
その最中、デフィーは我関せずといった様子で、かあさんの焼いたクッキーをまるでリスのように頬を膨らませて食べ続けていた。
満面の笑みでもぐもぐとしているデフィーは湖で会ったときの聡明な感じはなく、甘いもの好きの女性といった感じで少しドキッとしてしまった。
水の精霊が凄いと褒めちぎりだしたかあさんを見て、「どうせ我なんて木を生やすだけで…」と拗ねたヴァールトをデフィーと一緒になだめたのはそれからもう少しした後の話だった。
そんなこんなで一騒動あったものの、かあさんと僕で用意した食事がテーブルに並べられ、全員が席に着いた。
『わぁ…すごいご馳走ですね!これ全部オルガがおつくりになったので?』
「大半は私だけれど、そのサラダやハムを作ったのはマルクよ。」
『まぁまぁまぁ!こんなにおいしそうなハムを?マルクはお料理が得意なのですか?』
「得意ってほどじゃないよ。かあさんの手伝いをするから自然と簡単ものはできるってくらいで。そのハムも狩ってきた鹿やボアの肉とかが勿体ないなと思ったから色々試しながら手を加えただけだしね。」
『試行錯誤の賜物ということです!人間のそういった努力を積み上げていく姿勢はどの時代になっても変わりませんね。そこはどの種族、どの生物よりも優れているところだと思います。だからこそ人間はここまで繁栄しているのですから。』
「うむ。ディフィニアの言うことも一理あるじゃろうな。さて、せっかくの料理が冷めてしまう。マルクよ、挨拶を。」
「え!僕?」
「ディフィニアの歓迎会じゃろう?契約者であるマルクが挨拶をすべきじゃ。」
『そうです!!さぁさぁ、マルク!』
「う、うん。…コホン。みんなのおかげでデフィーことディフィニアと契約することができました。」
「デフィー、今日からよろしくね。じゃあ…乾杯!」
「「『『乾杯!!!!』』」」
「「「ガウッ!!!」」」
その日はとっても楽しい食事が出来た。
かあさん、じいちゃん、ヴァールトにデフィー、グランたちにアドラーとイズマも加わって大賑わい。
新しい家族を迎えるのに相応しい食卓になった。
ふと窓を覗き込むと煌々と輝く月が僕らの家をを照らしていた。
お読みいただきありがとうございました(*‘∀‘)
やっとデフィーを迎え入れることが出来ました。
次回かその次くらいでまた閑話を挟もうと思います。
今後もよろしくお願いしますm(__)m




