第15節『花の名』
どうも、もんたです。
昨夜更新しようとして寝落ちしてました。
理由は飲み過ぎです。すいません。
それでは、どうぞ。
『さて、これ以上話し込むと日付を変えるような量になってしまいますので、おいおいということにしておきましょう。主なデメリットに関してはお伝えしましたし、どれもマルクさんなら気を付けていれば問題ない程度だと思います。わたしは比較的穏やかな方の精霊ですから、欲を言えば戦闘は避けたいと思いますが、契約者を守ることが本来の精霊の役割ですのでいざという時は遠慮しないでくださいね。』
「はい。」
『さて、お楽しみの命名タイムですね♪マルクさん、可愛い名前をお願いします♪』
「うっ…」
なんとも期待に満ちた目が…
僕をえぐってくるなぁ。
グランたちの名前を付けた時は、候補を挙げて選んでもらったから純粋に名前を付けるのは初めてになる。
名前かぁ…
ウンディオーネっていう種族名から入るのは少し違うと思う。
となると思いつくようなセンスはないので知っているものから名前を取るしかない。
植物図鑑にあった花の名前からもってくるとするか。
ウンディオーネのイメージに合うものと言えば…
うん。
「それじゃあ、ディフィニア、でどうでしょうか…
確か、清らかだといったような意味があったと思って。雰囲気にも合うと思ったので…呼ぶならデフィーかなぁ、と…」
『へぇ、そんな意味の言葉が。ヴァールト、ご存知でしたか?』
『いや、我は知らんな。森に生えている花の一つにそんな名前のものがあったような気がせぬでもないが。オルガであれば知っておるのではないか?』
「そうね、ヴァルの言う通り、たしか花の名前だったと思うけど。種を調合すれば気付薬になって頭がスッキリするのよね。そうそう、葉は傷をつけて水につけておけば消毒液になったかしら。そう言われてみれば、「清らか」というのも頷けるわ。」
「うん。それに花の色も青というか水色みたいな色だったはずなんだ。それもあって、どうかな、って。」
話を聞いたウンディオーネは手を頬に沿えて少し考えるそぶりをした後、胸元で手を合わせると満面の笑みでこちらを向いた。
『まぁ!なんて素敵なお花なんでしょう!可憐でいて、役に立つお花だなんて!実際に見てみたいですね。ディフィニア、でしたか。承りました。
それでは…わたくしデフィーこと「ディフィニア」は、精霊の契約に基づきマルクと契約を結びます。
マルクの名の下に、私の力を与え、ともに困難に立ち向かうと誓いましょう。
……マルク、あなたはわたし、ディフィニアと契約を交わし、常に私に誠実であると誓いますか。』
ウンディオーネは先ほどの表情とは一変して真面目な雰囲気をまとうと契約の文言を述べる。
こころなしか湖の雰囲気も重苦しいものに変わったようなきがする。
周囲のみんなも何を言うでもなく、ただただ僕の返答を待っているみたいだ。
「誠実」であること、か。
どうあれば誠実であるといえるんだろう。
あいまいな言葉って難しい。
なんとなく嘘を付かないとかそういうような意味合いな気がするけど…
それなら問題はないかな。
あとでかあさんにでも相談してみよう。
「うん。僕は、デフィーに誠実であると誓うよ。」
返事をしたとたんにウンディオーネの身体がまぶしい光を放った。
目の前が真っ白になる。
光が落ち着いたのを感じてかざしていた手をどけると、さっきまでと変わらない景色が広がっていた。
小鳥のさえずりと葉のすれる音のみが聞こえる静かな森。
波はたたず、まるで鏡のように森をうつす湖。
ただ、その中心にいる彼女は唯一先ほどまでとは違っていた。
まるでこの世のものではないような、それでいてどこか近くにいて落ち着くような、そんな雰囲気を放っている。
さっきまではただの水の塊だった肌は人肌に近い色に変わり、遠目からでも肌の感じが僕らと変わらないような印象を受ける。
腰くらいまで伸びた髪は水の色をたもったまま、きらきらと光を反射している。
身にまとっていた布はデフィーの均整のとれた綺麗な身体にフィットしたドレスに変わっている。
足先にむけてふんわりと広がったドレスは髪の色よりも少し青みがかった色合いで、水の精霊である彼女にぴったりだ。
ただ、胸元ががっつり開けているので目のやりどころに困るな…
デフィーはふっと笑ったと思うと、そこには彼女の姿はなくなっていた。
あわてて周りを探していると、いつの間にか横に立って、いたずらが成功したと言わんばかりに口元を緩ませていた。
開いた瞼の中から黄緑色の瞳が楽しそうに僕を見つめている。
「えっ…?は?立って…え?」
『ふふふ、驚いていますね?驚きましたよね?言ってませんでしたが、精霊は契約を経て姿かたちを変えることが出来るようになるのです。契約する前は簡単に言ってしまうと魔力の塊なだけですので。マルクと契約しましたので、人間の姿を真似してみました。かつて私が見たことのある人間の女性の特徴を合わせてみたのですが…変でしょうか?』
「い、いや・・・とっても綺麗、だと…思います。」
『うふふふ、綺麗だなんて嬉しいことを言ってくれますね。あ、でも安心してください。人間のかたちを取れるといっても一時的なものですし、水の精霊という性質は変わりませんから水の中が過ごしやすいのはそのままです。この姿を保っていられるのはせいぜい数時間といったところでしょうか?これからマルクが魔力量を増やし、制御の訓練を続けてくれれば、その時間も伸びますので、期待していますよ。あぁ、100年ぶりくらいの実体!これから何をしようかととっても楽しみです!』
「は、はぁ…」
突然のデフィーの変わりようにびっくりしていると、ヴァールトが肩をトントンと叩いてきた。
『…マルクよ。これがヤツの本性である。少々お喋りだが…久しぶりで興奮しているだけであるから、少し経てば落ち着くだろう。我もこの状態のヤツの相手をしたくはないのでな…』
「…どうして先に言ってくれなかったの?」
『初めに言って、お主が契約するというかね?』
「そりゃ、考えるけど…」
『であろう?我としては契約推奨であるからして、マイナスなことを言うのははばかられての。それに、マイナスと言っても呼び出したときにお喋りなだけで、特段マルクに対して直接的なデメリットがあるわけではないのだし。…まぁ、ヤツの変わりようは我も想定外だ。』
そういってヴァールトはデフィーから距離を取るように後ろに下がっていった。
一方のデフィーは水際でアプサスを召喚してあれをしよう、これがしたい、と自分の欲望を幸せ全開の表情で語り倒している。
聞かされているアプサスは意味が分かっているのかわかっていないのか、いつも僕にするように彼女の目の前をくるくると回っている。
よくみれば、アプサスの数が増えてるし。
…これ若干の暴走なんじゃ…
「まずはおめでとう、というところじゃな、マルク。」
「じいちゃん。ありがとう…でいいよね?」
「…まぁ、ちとおてんば娘のようじゃが、四六時中一緒におるわけでもあるまいし、問題はなかろう。性格がひねくれておるとか言うわけでもないからの。」
「そうね。マルクの良い話し相手になるんじゃないかしら?それにマルクは氷属性の魔法も使えるでしょう。魔法の訓練や相談相手としても持ってこいよ。」
『然り然り。何事も前向きにとらえねばならんぞ、マルク。』
ヴァールトめ、勝手なことを…
そう思って半目でじーっと彼を見つめれば、「おっと、森の様子を確認せねばな。」とかいって森の方へ足早に向かっていった。
かあさんの精霊だから何かするって訳にもいかないしな。
むむむ。
『……いやでもやっぱり人間の姿を取るのですから恋愛なんてどうでしょうかマルクもとっても魅力的ではありますが、まだまだ子供ですし、手を出すわけにはいかないですよねそうなるとどうしても街というところへ行ってカッコいい男性を見つけるしかありませんでもそうなると結局マルクの魔力制御や魔力量の腕前をあげるということが急務になるわけで……』
「え、えっと、デフィー?」
『はっ!!!す、すいません!久しぶりすぎて少々はじけてしまいました。』
あれが…少々…?
『んんんっ!…さて、あっさりとしたように見えますが、これで契約は終わりです。これからよろしくお願いしますね、マルク。』
「こちらこそよろしくね、デフィー。」
『そうだ、マルクには契約の証としてこちらを渡しておきます。』
そういってデフィーはぽんぽんとドレスをはたきながら立ち上がる。
その手にはきらきらと光るペンダントが握られていた。
何かの革のようなもので出来たひもに二つだけ石が取り付けられたシンプルなもの。
取り付けられているのは親指くらいのサイズの青い石が二つ。
どちらとも、水の滴の形をしていて、まるで水をそのまま固めたよう。
よくみれば、宝石とかの類じゃないのがわかるけど、ただの石ってわけでもない。
片方は滴型のガラス瓶の中に水がパンパンに入っている感じ。
中で常に動いている水は魔力を帯びていて、持っているとなんか落ち着く。
もう一つの石は水が入っているのは同じだけど魔力を感じないから、ただの水?
およみいただきありがとうございました。
ちなみに、、、、
※鮮やかな青色の花が美しいデルフィニウム。ヨーロッパに伝わる、花嫁が身に付けると幸せになれるおまじない「サムシングブルー」のブーケによく使われる草花。
花言葉は『清明』、『あなたは幸福をふりまく』となるそうで。
花屋さんとか結構好きなんですよね。
贈り物になんどか使ったこともあります。笑




