第14節『契約、いかに』
どうも、もんたです。
無事更新です。某作品のアニメ化にハマってしまい、まったく筆が進んでませんでした。
ほんとすいません。
それでは、どうぞ。
『マルクよ。あれは間違いなくお主の母であるオルガであり、我の契約主であるオルガである。あの変わりようはウンディオーネのせい、と言えばよいかの。』
『あらあら、そんなことないですよぉ!と、言いたいところですがね。マルクさん、別に何か攻撃したわけではないのですよ。私の精霊としての力のせい、と言えばよいでしょうか。』
「精霊としての力…?」
『はい。私のウンディオーネとしての魔力には《チャーム》の特性がありまして。欲望に忠実になったり、いつも隠れている感情が表に出やすくなったりするんです。オルガはエルフですから、元々精霊への感応度が高いのです。そのせいでわたしの魔力にも少々過剰に反応してしまったのでしょう。』
「はぁ…かあさんは元に戻るんでしょうか。」
『そちらは問題ありません。わたくしが消えるか、契約を結び魔力を制御してしまえばよいのです。ことここにおいて消えるという選択肢はありませんので、契約一択ですね。
ただ、契約の前に一つだけ、見せていただけませんでしょうか?』
そういうとウンディオーネは目の前から一瞬で消え、ほんの少し前までウンディオーネだった水はあっという間に湖へ戻っていく。
驚いてきょろきょろしていると、ヴァールトに肩をつつかれた。
指をさされた方へ顔を向けると、初めのように湖の中央にウンディオーネがいた。
「えっと、、何を見せれば…?」
『難しいことではありません。召喚かその指輪の力かのどちらかで水の精霊を呼んでいただけますか?呼んでいただいた精霊からあなたのことを教えてもらいます。』
「あ、わかりました。《精霊召喚、アプサス》」
いつものようにアプサスを呼び出す。
水際にちゃぷんと音を立ててアプサスが現れる。
機嫌が悪いときに呼ぶと、僕に向かって水鉄砲を飛ばしてくるくらい今では仲良くなった。
今日は機嫌がいいみたい。
僕がかがんで手を広げると掌にのってくるくると回りだす。
「えっとね、アプサス。後ろにいるウンディオーネに僕のことを伝えてほしいんだ。」
―――クスクス――
相変わらず楽しそうだな。
アプサスは了解という代わりに小さな水柱をたててウンディオーネのいる湖の中央へ向かっていった。
アプサスはウンディオーネの周りを飛び跳ねたりしてぐるぐるとまわっている。
ウンディオーネもその様子を見て心なしか楽しそう。
『あら、アプサス。ずいぶんとご機嫌ね。あなたのお友だちのこと、聞かせてくれるかしら。』
―――クスクスクス―――
『えぇ…そう。…あらあら。…ふふふ、それはあなたが悪いと思いますよ、アプサス。
…へぇ、そんなことが?
それではあのとき近づいていたのはマルクさんだったのね。それなら結界を張る必要はなかったかしら?』
全部は聞き取れないけれど、ところどころ話し声が大きくなるところは耳に届いてくる。
結界を張ってた?とか言ってたかな。なんのことだろうと首をかしげているとヴァールトが横から教えてくれた。
『我ら精霊の中でも、上位の精霊が住む辺りは魔力が総じて高い。魔力が高いということは人間にとって貴重な薬草や魔物の素材が多く見つけられるということでもある。そうなると人間どもが一度に大量にやってきて取りつくしてしまいかねないのでな。中には精霊を強制的に従えようなどとする愚か者もおる。そういったものから身を守り、かつ周囲の環境を保護するために認識阻害や屈折という特殊な力を発揮する結界を張っておるのだ。』
「ふぅん。屈折って?」
『うむ。屈折というのは、光や音といったものが、あるものから他のものに進むとき、その姿かたちや見た目の大きさがかわってしまうことをいう。例えば、水なんかはわかりやすいだろう。ほらそこ。
湖の中に石が見えるだろう?指先ほどの大きさにみえるが、実際に手を取ってみると見た目よりも小さいのだ。さらにあちらの方は今何も見えていないが魔力を集中させ、探知系の魔法を使えば実は魚がいることがわかる。
我らの目に見えているものはすべて、陽の光を反射することで目に映っているのだ。その反射する方向をごまかしてやれば、実際にあるのに見えなかったり位置をずらして見せたりすることが出来るというわけであるな。この現象は魔法にも反映されておる。水と風の中級合成魔法である《ミストール》というものだ。』
「へぇ。そういったのはどうやって勉強すればいいの?色々本は読んだけど全然載ってなかったよ?」
『それはそうであろう。そういった現象の知識は精霊や上位の魔物が生まれ持って身に付けているものである。よって我々からすれば当たり前の知恵なのだ。よって特別人間に教えるようなものでもないし、人間もそんな詳細を知らずとも魔法は使えるしな。聞かれれば答える程度ではあるが、邪な考えを持って知識を得ようとするものに精霊は応じない。そもそもそういったものは契約すること自体難しいが。』
ヴァールトと僕が勉強会をしているうちにウンディオーネも話は終わったようだ。
アプサスと一緒にこっちへ向かってきた。
じいちゃんもかあさんも傍に来ている。
かあさんの表情はいつも通りに見えるし、影響は収まったんだろうか。
『マルクさん、アプサスから話は伺いました。とても良くしていただいたようで、わたしからも御礼を。それで、契約に関してですが…』
「はっ、はい。大丈夫でしょうか…?」
不安で、すこし震え気味の声になってしまった。
うつむいていたウンディオーネは顔を上げるとふふっと笑う。
『えぇ、何も問題ありません。早速契約と行きましょう。本来であれば魔法陣を用意したりとそれなりに煩雑なのですがヴァールトの推薦があることと、その指輪があることから略式での契約としましょう。』
「何か違いがあるんですか?」
『そうですねぇ…結果はほとんど同じですが、準備に差があるといったところでしょうか。本来であれば魔法陣か魔道具を用意し、魔力の媒介となる素材を準備し、契約したい精霊を呼びだして交渉するといった流れで先ほど言ったように手間がかかるのです。
しかし、それは精霊の意思に反して呼び出す時に限ります。精霊に愛されているものや精霊が進んで契約しようとしている場合にはその限りではなく、場合によっては即座に契約が出来るようになります。今回はその場合によってはの方のケース、ということで納得していただいて構いませんよ。』
そういってウンディオーネはにっこりとほほ笑んだ。
あまりの綺麗さに思わず息をのんで見とれてしまった。
頬が赤くなっているのを感じる。
『マルクよ、《チャーム》にかかりかけておるぞ。』
「はっ!これが…契約って、具体的に何をすれば?」
『はい。精霊との契約は、精霊に名を与えることで完了します。むろん、名前によっては精霊が嫌がることもありますが…
名を与え、魔力を共有するための回路を繋ぎます。そうすることで契約者はその精霊が得意とする属性の魔法が使いやすくなったりしますね。また、特定の条件を満たせば、契約した精霊及びその下位精霊を召喚してその力を行使することもできるようになります。わたしの場合は、ある程度の水量がある場所であれば呼びかけに応じることが出来ます。水量にもよりますが、海やここのような湖くらいであれば上級の魔法を使うこともできますよ。』
ウンディオーネは微笑みながら腕をぐっと固めて力こぶをつくるポーズをとった。
水で出来てるし、どうみても力のあるタイプじゃないから力こぶはできてない。
そのほかにも、精霊との契約に関してウンディオーネから色々と教わった。
力の強い精霊に多いのは契約に関して条件を加えること。
条件は精霊の性格に大いに影響を受けるらしく、戦闘では力を使わないことを条件にするものもいれば、その真逆で、戦闘以外では力を貸さないなんて精霊もいるらしい。
他にも結構俗物的な条件をだすこともあるらしい。
契約さえできれば、呼び出したり力を引き出したりは契約者の力量に左右されやすくなる。
どんなに力の強い精霊と契約しても契約者の魔力が低ければ、十分に力を引き出すことはできず、更にひどい時には契約破棄されることまであるらしい。
ただ、契約破棄に関しては非常に稀な例で、見限られた場合は、呼びかけに一切応じなくなるというのが精霊から見た契約者への拒否反応になるということだった。
一方、契約者が真面目に魔力を高めたり、努力を続ければ精霊もそれに応えて力を引き出しやすくしてくれるという。
精霊のレベルが上がったり魔力量が上がったりということはないが、要はつながっている魔力回路の効率が良くなるという話だ。
契約した精霊の属性魔法を使う時に精霊から魔力を借りられるが、その時に貸してもらえる魔力量が増えれば、当然自分の魔力を消費せずに魔法を使えるので、負担が減る。
さらに精霊の魔力は属性に対する親和性が高く、同じ魔力量でも威力が1~3割も上がるということだった。
魔力と言う点では契約者の負担は減るものの、一度に大量の魔力を借り受けると精神的な疲労がたまるのでお勧めしないと釘を刺された。
症状としては僕が以前かかった【魔渇症】の軽度なものに近くなるということだった。
お読みいただきありがとうございます。
個人的にウンディオーネは最終的に可愛い系に移行していきます。(ネタバレ)
クール系を予想している方、すいません。
本節ですが、少し中途半端な途切れ方をしてしまってすいません。
次回のためとお許しください。
それでは次回更新をおまちくださいませ…




