第13節『まさかのデレ?』
どうも、もんたです。
更新おそくなってすいません。
下書きをしてるんですけど、投稿忘れてそっちばっかり書いてました。
推敲しまくっているので、遅々として進みませんが、気を長くして待っていただければ幸いです
それでは、どうぞ。
「ヴァールト、何をしているの?」
『む?これはな、木の声を聞いているのだ。』
「木の声?」
『そうだ。我は森の精霊であるから、本来の仕事というか役割は森全体を守り、管理することにあるのだ。そもそも、我々森の精霊は森の木々から生まれるとされている。よって木々の状態から森の土の良し悪し、異変が起きていないかなどを木に語りかけ、教えてもらうことができるのだ。我々ほどではないにしても、エルフも種族柄、木々と会話することはできるはずだが。』
ヴァールトとはそういってかあさんの方へ顔を向けた。
かあさんは顎に手を当てて、目を閉じる。
かあさんが何かしら考え込むときの癖だ。
落ち着いたのか、かあさんは顔を上げるとふぅうとため息をついて話し始めた。
「…そうね。可能だけれど精霊たちのように事細かに聞くことはできないわ。森の加護をうけるようなエルフ巫女や老エルフなら精霊の関係に近いレベルで会話ができるんでしょうけど…
それに、人間でも精霊に愛されているものならば可能だとどこかで読んだことがあるわ。」
「うむ、かつて精霊に愛され、複数の属性の上位精霊と話すことが出来る人間がおったと聞いたことがあるのぉ。会ったことはないからそれが本当かどうかはわからんが…
伝え聞くような話で確か書物にも残っておったぞ。ヴァルよ、お主は知らんのか?」
『我は比較的生まれて若い。我が生まれて約500年だが、われも会ったことはない。オルガと契約する前に同じ森にいた長は知っているといっておったが、その精霊は今も生きているならば、1200年ほどになるはずだ。おそらくその人間は1000年以上前に生きていたのだろう。人の生は短い。その中で大義を成せば、あっという間にいわゆる英雄というやつになるのであろう?』
「いや、それは少々穿った考え方ではあるが…
まぁ、何かしら大きな功績を残せば、やれ英雄だ、救世主だと話が上がるのは決まりきった流れともいえるのぉ。」
「誰だっけ、たしか、モアソン・アディール?とか言う人が一番最近の英雄さんとか?当時暴れまわっていた魔族やドラゴンを討伐したって話だった気がする。」
ふと思い出したように言っただけだったんだけど、かあさんの顔が曇った、ように見えた。
あれ?と思ってもう一度見てみるといつもの顔だった。
気のせい、かな?
『さて、ついたぞ。ここがこの森にある唯一の湖だ。たしか人間のあいだでは【青の湖】とか呼ばれていたか。ここでウンディオーネと契約だの。まぁ、ちと難ありかもしれんが…』
「うわぁ…」
凄い。
その一言じゃ何も伝わらないんだけど、でもそれしか言葉を知らないんだ。
ヴァールトが続けて話しているみたいだけど、全く耳に入ってこない。
突然。
本当に突然視界が晴れて、森がひらけた。
これまで視界を遮っていた木々がまるで湖を避けるように距離を取って広がっている。
湖は真っ青で波一つ立たず、ここだけ時が止まっているんじゃないかと思うくらいに静か。
さっきまで聞こえていた川を流れる水音は一切聞こえず、耳に入ってくるのは、風になびく葉が擦れる音と小鳥のさえずりだけ。
幻想的と言うか、夢の中と言うか…本当に不思議な空間だ。
あまりの景色にふらふらと見渡しながら歩いていた。
足元に広がる雑草や薬草類も、家の近くでみるものよりもなんとなく生き生きとしているように見える。
薬草に関しては保有している魔力が高くなっているようで、湖か精霊の影響をうけているんだろう。
「ここが…【青の湖】…」
―――クスクスクス―――
『はて…この湖に近づくことが出来るとは一体何者でしょうか。』
「!!だっ、誰!?どこにいるの!」
「落ち着いて、マルク。精霊が呼び掛けているだけよ。」
『で、ある。久しいの、ウンディオーネ。息災か?』
ヴァールトの声に反応するように先ほどまで鏡面のようだった水面に波紋が広がった。
湖の中央にかあさんくらいの大きさにまとまった水の塊が立ちのぼる。
膨らんだ水はさらさらと心地良い音をたてながら徐々にヒトの形を作り出した。
濃い青色の長い髪がゆらゆらと一つのかたまりとなってまるで川の流れのようにゆれている。
目を閉じてうっすらとほほ笑んでいる顔は片目が髪で隠れているものの、見るものを惹きつける。
右肩から左脇の下を通すように掛けられた一枚の布のようなもので身体は隠されているけど、高い魔力で練られた水で出来た身体は透き通っていて、露になっている左肩は奥の景色が鮮明に見えるくらいだ。
あの布、魔力でできてるんだな。
そりゃ何もない水の中から布が出来てるんだから魔力の塊なんだけどさ…
『その声、そしてその魔力…もしや、ヴァールトですか?どうしてあなたがこの森にいるのでしょうか。この森にはビビアがいたはずでは…』
『ビビアもおる。が、知っての通りやつは生来なまけものだからの。我はいまそこにおるオルガというエルフと契約している。主に従ってこの森へ移ったときに共同で管理をする羽目になったのだ。』
『なるほど…あるときからビビアの魔力が弱まったにも関わらず、森の安定具合が変わらず、むしろ良くなったので何があったのかと気になっていたのです。
調べたくともわたくしは未契約ですので湖から出るのは難しく、この辺りは魔力の濃い地域でもありませんから自由に動ける精霊もいなくて。』
『おおっ!そのことでここまでやってきたのだ。どうだ、ウンディオーネ、このマルクと契約してみんか。』
ヴァールトの声を受けてじいちゃんが僕の背中をおす。
『ふむ…ひとの子、ですか?』
『うむ。ほれ、マルク、自己紹介をせねば。』
「えっ、えっと、そうです。マルクと言います。オルガかあさんと一緒に暮らしてて。《従魔術》が上手く出来なくて、それで精霊と契約したらどうかって…」
『なるほど。ん?オルガ…?あなたはエルフではないようですが…ハーフエルフでしょうか。』
「いいえ、ウンディオーネ、それでもないわ。この子は私が拾って育てた子なの。本当の両親は亡くなってしまっていてね。その時にマルクの母親のつけていたその指輪を形見代わりに預かったのです。」
かあさんの顔をみて何をすべきか分かった僕は、ウンディオーネに向けて【星映しの指輪】が見えるように手を前にかざす。
彼女は水の上をすべるようにゆっくりとこちらに近づいてくる。
そうはいっても湖からは出られないので、僕らも水際まで向かっていく。
ウンディオーネは僕の手を優しく握ってまじまじと指輪をみている。
水が流れる手からは僕の手が透き通って見え、ひんやりとしていて気持ちいい。
目を閉じたままだけど…きっと見えているんだろうな。
『これは…あなたの母様は一体?お名前を伺っても?』
「あっ…えっと…」
『どうかなさいましたか?』
「いえ…その、僕がまだ赤ん坊の頃に拾われていて名前とかどこで生まれたかとか何もわからなくって…」
『そうでしたか…悲しいことを思い出せてしまって、申し訳ありません。』
「あっ、だ、大丈夫です。こんなこと言うとひどいかもしれないですけど、正直顔もわからないし、あんまり悲しいって気持ちがわかなくって…それにかあさんはそこにいますから。」
そういってかあさんをみる。
かあさんは嬉しそうに、でもほんの少し恥ずかしそうに顔をそらした。
『ふふ。オルガ、どうやら良い子に育てたようで。』
「え、えぇ…日頃からこうなら…いえ、やっぱりそれはちょっと…」
かあさんはぼそぼそと顔をそらしながら呟いている。
あれ…かあさんってこんなに表情豊かだったっけ?
僕がそう疑問に思って首をかしげていると横から音もなくあらわれたヴァールトが答えを教えてくれた。
お読みいただきありがとうございました。
なんか少し見ない間にブックマークがこれまでの2倍に増えていてびっくりしました。
ありがとうございます。ありがとうございます。
評価もしていただけたようで…
評価の高さに少しうるっとしたのは内緒の話です。
誰にも言わないぜ…
今後もよろしくお願いいたします。




