第12節『身近にいた精霊』
どうも、もんたです。
少し更新遅くなりました。
お待たせいたしました…
それでは、どうぞ。
かあさんに精霊と契約しようと言われた。
そうは言われても、僕が呼び出せるのは水の精霊と風の精霊くらいだし、そのどっちもお喋り出来ないからこっちから一方的に話しかけるだけだもんなぁ。
いつもは指輪の力を使って呼び出してるから契約しているわけじゃないんだよな。
契約することで話せるようにでもなるんだろうか。
だとしたら嬉しいけど、どうなんだろう。
結局、もやもやしながらも準備を済ませるとグリムと一緒に玄関へ向かった。
途中、連れて行ってほしそうにしているアドラーをグリムの背に乗せるのはいつもの恒例行事かな。
そうそう、アドラーにも仲間が増えたんでした。
その子はリビングの隅っこでもぞもぞとお掃除中だ。
この子はマンドラスライムという種で非常に希少な種族だった。
家にある図鑑のようなものにも簡単な記述しか書いておらず、そこには汚れや腐食物といった特殊なものを好んで食べ、森の奥地に生息している、という一文しか書かれていなかった。
初めて読んだときはどんだけ雑なんだとびっくりしたけど、5年以上森で過ごしてきて色んな種類のスライムは見てきた中で、マンドラスライム見つけたのはこの一体だけだから希少なのは間違いないんだろう。
珍しいからと喜び勇んで捕まえてきたけど、どんな特性があったか全然覚えていなくて手間取った。
初めはかあさんも呆れた顔をしていたけど、スライムの特性についてじいちゃんがよく知っていたので色々説明してもらえ、その結果「これで家の掃除が楽になる!」と即座にかあさんが従魔にした。
名前はイズマに決まった。
マンドラスライムって名前から、薬草としても魔物としても有名なマンドラゴーラと何かしら関係があるのかと思ったけど、特になにかあるわけではないらしい。
不思議なスライムだなぁ。
イズマはアドラーのようにそこまで活発というわけではなく、家の中をゆっくりと移動して、餌になるゴミがあると止まってのんびり食べ始める。
透き通った緑色の身体の中にゴミが入っていってゆっくり溶けていく様子は見ていて少し楽しい。
従魔になったその日から数日の間は、食べまくったゴミで身体が真っ黒になっていて、それを見たかあさんは、家がこんなに汚れていたのかとものすごく落ち込んでいた。
まぁ、僕も自分の部屋にきたイズマの身体が出ていくときに真っ黒になったのを見た時はちょっと衝撃だったけどさ。
流石に最近は身体の色が大きくかわることはなく、外から帰ってきた時についたほこりや土汚れを食べた時に目立つくらい。
今日も今日とて一生懸命お掃除兼食事をしているイズマを一撫でしたあとグリムたちと外に出ると、じいちゃんとかあさんが二人で待っていた。
「来たのぅ、マルク。」
「うん、じいちゃんも精霊と?」
「いいえ、ドラコニア様は少々事情があって精霊とは契約出来ないの。今日は見学されるんです。」
「ふぅん。じいちゃんにも魔法関係で出来ないことあるんだね。」
「ほっほっほ。人は誰しも得意不得意があるもんでの。魔法の適正うんぬんも極論、得意不得意に数えられるじゃろうし、それ以外にもマルクも不得意であったり苦手だったりすることはあるじゃろ。もちろん、オルガにも儂にだって嫌いなことや苦手なことはある。わしも一人の人間ということじゃ。」
「そういうことよ。さて、マルク。精霊との契約について話します。」
かあさんについて歩きながら、契約に関しての話を聞いた。
精霊との契約は、魔法として確立はされていないものの、イメージは《従魔術》とあまり変わりがないらしい。
ただ、《従魔術》は魔物に一方的に魔力を流して、従魔として従えるという力が強く、文字通り主従関係が強くなる。
そのため意思疎通ができるようになるが、魔物としては術者の指示には絶対服従となってしまう。
だからこそ知性の高い魔物ほど従魔にすることが難しく、そもそも人語を理解できるような魔物を従魔に出来るのは優秀な術者ということになる。
かあさんは人語を理解するドルイドウルフであるグランとシロの2匹と従魔契約を結んだけど、その時はグランたちの方から願い出ているのでちょっと特殊かな。
それでもかあさんは優秀だとは思うけど。
一方、精霊との契約では人間同士のように交渉の結果となることが多いとのこと。
低位な精霊であれば半強制的に契約をすることが出来るものの、本来精霊のもつ力を引き出すことはできない。
また、通常1種類の精霊としか契約は出来ないが、稀に2種類以上の精霊と契約できるような人もいるらしい。
従魔契約とは違い、お互い同意の上での契約となり、立場上、上位関係は生まれない。
そのため契約者の意に反した行動をすることもあるので、良し悪しはなんとも言えない。
ただし、精霊に気に入ってもらえていれば、人間以上の魔法を行使してもらえるし、魔法を教えてもらうことも出来るらしい。
また、特定の条件を満たせば魔力を精霊から借り入れることもでき、色々と幅が広がるとかあさんは嬉しそうに語っていた。
今回は、僕が一番適正の強かった水の精霊と契約を試してみようということになり、いつもの川へ向かっている。
「それじゃあ、川で精霊を呼び出せばいいってこと?」
「いいえ、せっかくですからもっと高位の精霊と契約を試してみましょう。川の上流には湖があったはずです。そこにきっとウンディオーネが居ます。」
「ウンディオーネって…水の中位精霊じゃん…」
「あら、この半年魔法の訓練をして、それくらいの精霊と契約できるだけの力は持っていると思いますよ。それに私たちも手助けしますから。」
「ん?たちってじいちゃんは見学なんじゃあ…」
「いえ、ドラコニア様ではなく、この子です。《精霊召喚、ヴァールト》」
かあさんが魔法を唱えると目の前に魔力がぐっと集まっていく。
と思ったら一気に光って目の前が真っ白になった。
はっきりしてきた視界の先にはすらっとした男の人が立っていた。
目鼻立ちははっきりとして、森の葉っぱのように深い緑色の髪に茶色の目。
顔はエルフのかあさんに似てすごく整ってて綺麗だけど、耳は長くないからエルフじゃないんだろうけど…
『久しいな、わが友よ。』
「えぇ、ヴァル。お久しぶり。元気にしていたかしら。」
『あぁ。この森は住み心地が良い。静かであるし、非常に豊かだ。エルフが村を作ると言ってもおかしくないほどに。…はて、見慣れぬ小童だな。』
「この子はマルク。私の子よ。」
『ほう!オルガも子を成したか。番の相手は爺、お主か?』
「阿呆、儂ではないわ!それにオルガが産んだ子でもない。というか人は番とは言わん。せめて夫とか夫婦とか言ってくれんかの。この子はわしとオルガが拾って育てた子よ。」
『なんじゃ、ということは、オルガはまだきむ「ヴァル…?それ以上はわかっているのかしら…?」んんんっ!マルクとやら、初めましてとなる。我は森の精霊、ヴァールトという。
今日の話は既に聞いている。これより案内役となろう。よろしく頼む。』
そこからヴァールトも加わって4人(精霊は人って数えるのか?)で川に沿って森を進んでいく。
川沿いはなんらかの魔物がいることが多いんだけど、全然あわなかった。
不思議に思っているとヴァールトが答えを教えてくれた。
どうやら、接敵は面倒なので魔法で認識阻害をかけているらしい。
魔法がかかっている間、敵意を持つような存在は僕らのことをはっきりと捉えることが出来なくなる。
ただ、相手が強力な魔物だと上手く阻害できなくて見つかってしまうこともあるらしいけど、この付近の森に棲んでいる魔物なら問題なくごまかせるとのこと。
家からでて2時間くらいだっただろうか。
ごつごつとした岩が目立つようになり、水の流れも速くなっている。
湖が近いからか水もすごく綺麗で周りの木々もなんとなく小屋の周りの木よりも元気そうだ。
休憩しているとき、周囲をふらふらと歩いていると、ヴァールトはが時々近くの木に手を当てては嬉しそうに顔を綻ばせているのが見えた。
お読みいただきありがとうございました。
最近少し話の進みが遅くて、困っています。
どういう展開にしようかなぁ、ともんもんしております。




