わき道―その2②
どうも、もんたです。
私事ですが、PS4を買おうかと検討中です。
FPSもしたいし、来年のKH3に向けての準備運動です。はい。
それではどうぞ。
* * * * * *
「ん~。やっぱり上手く土属性の魔法が発動できません。」
「それは仕方ありませんよ。お嬢様は土属性の適性がとことんありませんし。その分適正の強い火属性と光属性は御年を考えれば十分なほどに使えていると思います。火属性が得意な僕としては教え子が同じように火属性を使えるというのは嬉しい限りですがね。」
「それはわたしも嬉しいです。教え子が火属性苦手、だと先生に申し訳立ちませんもの。苦手な属性も、努力すれば使えると本に書いてありましたし、先生も水属性は適正ないとおっしゃっていたのに使えますよね?」
「そうですね。それなりに努力はしましたが。僕は火属性適性が突き抜けていて二つ名の通り火属性は上級までなら困らずに使えます。しかし、火属性というのは結構使いどころを考えなくてはいけないので、慣れて魔力操作をきちんと身に付けないと扱いにくいんですよ。」
「魔物を一気に倒せますし、攻撃力の高い属性ですから便利なのでは?」
「そうなんですけどね。魔物と遭遇したからといって気軽に火属性魔法をぶちかますわけにはいかないんですよ。森で不用意に使えば山火事になりかねませんし、洞窟のような閉鎖的な環境で火属性魔法を使えば空気が無くなってしまい意識を失ってしまいます。」
「あ、そういわれてみれば…」
「でしょう?街中で使ってしまえば火事起きちゃいますから。平原や岩山のような場所、それから生々しい話ですけど戦争時くらいでなければ火属性魔法を思う存分使う場面なんてないんです。それがわかっていたから他属性魔法も身に付けましたし、水属性は旅に出る時や普段の生活の中で使えれば便利であることといざという時の火消し用と思って優先で身に付けましたから。」
「色々と考えることが多いんですね。魔法を覚えるのは大変です…よし!もうひと頑張り!」
「いえ、お嬢様。今日はこれくらいにしておきましょう。お気づきではないと思いますが既に周りも暗くなってるんですよ。まぁ気付かないのは僕の《ライト》のせいでしょうけども。」
ケランに言われ、ソラリアは辺りを見回した。
訓練を始める前にてっぺん近くにあった太陽は既に中庭からみることはできず、西側の館の窓から赤く空が染まっているのが見える。
それでもソラリアの周囲は白い光で照らされており、ケランの《ライト》の魔法で生み出された白い光の玉がふよふよと浮いていた。
「わぁ…こんなにたくさん浮かせられるんですね。私はまだ一つしか作れません。」
「練習あるのみ、ですよ。お嬢様もやる気が出てきたところですし、これからこの調子でやっていけば、学園に入るまでには複数個浮かせられるようになるでしょう。さて、館に入りましょう。そろそろ食事の時間でしょうから。」
「はい、先生も一緒に?」
「いえいえ、わたしはお呼ばれしていませんし、出かける用事もありますので。それでは。」
「はい!先生、今日はありがとうございました。」
そうして、ケランと別れたソラリアは服を軽くはたいて屋敷へ戻っていった。
メイド長より屋敷を走り抜けた件の小言を言われたのち、夕食を取るべくテーブルへ着いた。
「あら、ソラリア。今日は館内で姿を見なかったけれど、何をしていたのかしら?またお部屋に籠っていたの?」
「違います!お母様ったら!」
「ふふふ。仕方ないじゃない。ソラリアを館内で見ないときはいつも自分の部屋か書庫にいるんだもの。」
「そうですけど…今日は違うのです!中庭でケラン先生と魔法の訓練をしていたんです。」
「ええ、知ってるわ。部屋から見ていたもの。」
「へ…?」
「中庭はどの部屋からも見えるんだもの。それに中庭であれだけ魔力を動かしてればわかるわぁ。」
からかっていましたと言わんばかりににっこり微笑んでカップを傾ける母親にジト目を向けるものの、何食わぬ顔で紅茶をのみ続ける。
そこへライオネルが小さな包み紙をもって現れた。
「奥様、お嬢様、ご夕食前に失礼いたします。旦那様がおかえりになられました。先ほど門を通られたということでしたので、もう10分もすれば館にご到着になられるかと。」
「つきましては旦那様がお席に着かれてからご夕食としたいのですが、いかがなさいますか?旦那様からは事前に本日は遅くなられるということでしたので先に召し上がってもよいと言いつけられてはおりますが。」
「あら、そう。思っていたよりも早かったわね。私はそれでよいわ。もう少しお茶も飲んでいたいし。」
「わたくしも平気です!お父様からオリビア様のお話を伺いたいです!」
「かしこまりました。厨房の方へもそう伝えてまいります。ではもう少々お待ちくださいませ。」
ライオネルが食堂を出るのと入れ替わりでメイドがお茶をもって入ってくる。
母親としばらくの間談笑していると、屋敷の中が騒がしくなってきた。
ドアのノックの音が部屋に響く。
「どうぞ。」
「やぁ、遅くなって済まない。マリアンヌ、ソラリア。夕食も待たせてしまったんだね。」
「おかえりなさい、あなた。」
「お父様、おかえりなさいませ。今日はオリビア様のところへ行かれていたんですよね?」
「ん?あ、ああ。そうだよ。メイリーンかな?」
「そうです。どうして教えてくださらなかったのですか!私も行きたかったです!」
「あはは…森は危険だからね、連れてはいけないよ。」
「そういうと思って、今日はずっとケラン先生と魔法の訓練をしていたのです。今度必ず連れて行っていただきます!」
「はいはい。ソラリア落ち着いて。折角の夕食が冷めてしまいますわよ。さぁ、あなたもお座りになって。続きは食べながら、ね。」
並べられた食事はいつもよりも少し豪華で、おそらくシャンドラたちが森で狩ったのだろう魔物の肉が並べられていた。
「それで、お父様、オリビア様とはどんなお話をされたんですか?」
「今日はお仕事の話がほとんどだったかな。薬を調合する様子を見せてもらえたのは運が良かったよ。」
「!!!お父様ずるいです!」
「ははは、ごめんね、これは本当に運が良かっただけなんだ。あ、そうそう。ソラリアと同い年の子も薬師として修業中だったよ。」
「え!?」
「あら、それはすごいわね。同い年ってことは今10歳でしょう?腕前はどんな感じだったのかしら?」
「本人は、母さんに比べてまだまだだって言っていたかな。」
「でも、彼が作ったって言っていた回復薬を見せてもらったんだけど、街で売っているものと大きな違いはなかったように見えたね。今回護衛をお願いしていたダリアも問題なさそうって言っていたし。学園に来れるように推薦状を渡してきたから上手くいってソラリアと仲良くなってくれるといいんだけど?」
「それは良い考えね。ソラリアは少々引きこもりがちだし、お友だちも少ないしねぇ。」
「ちょっ、お母様!!お父様も!!…ってお父様、今「母さん」って…?」
「ああ、訳あって本当の親子ではないんだけどね。オル…んんっ、オリビアさんがそのマルク君って子のお母さん代わりなんだ。既に数年オリビアさんの元で薬を調合しているからこそなんだろうけど。小屋にあった弓や太ももにホルダーで刺していたダガーも使い込まれていた。狩りでは魔法も使うと言っていたし。」
「剣に弓に、さらには魔法まで…」
「まぁ…それはすごいわね。オールラウンダーでしかも、オリビアさん仕込みの調合術まで持っているんでしょう?その辺の冒険者よりも優秀なんじゃないかしら?ソラリア、これはすごいライバルが登場ね。」
マリアンヌはそういって食後の紅茶に手を伸ばす。
その顔はにっこりというよりも、ソラリアの反応が楽しみというようなニヤニヤ顔であった。
同い年の子のあまりの違いに呆然としているソラリアは気付く余裕はなく、妻の考えを察したシャンドラは苦笑いで同じように紅茶を口に運ぶ。
「さてさて、もう夜も更けてきた。話したりないかもしれないがそろそろ寝るとしようか。ソラリア、戻っておいで。」
「はっ!す、すいません。お、お父様!その、マルクさんとやらにはお会いできるんでしょうか?」
「ん?そうだね。二年後にマルク君を迎えに行くから、会えるとしたらその時かな?…もしかしなくてもその目はついてくる気だね。」
「もちろんです!!オリビアさんにもお会いしたいのです!絶対に連れて行ってください!でないとお父様のこと嫌いになりますから!」
「うっ!!」
「あらら~。ついにソラリアも父親離れかしら?あなた、どうするの?」
「くっ…まさか「嫌い」という言葉にこれほどまでダメージがあるとはね。魔物の攻撃に近いダメージだよ。ソラリア、ついていくのはこの際良しとしよう。その代わり魔法の訓練は勿論、勉強に関してもこれまで以上に頑張ると約束してくれ。そうだな、適性のある火属性魔法の中級を身に付けられなければ連れて行かないことにする。比較的浅い場所といっても危険なことには変わりないからね。」
「わかりました。わたくし、頑張ります!明日のためにもう寝ますね!お父様、お母様、おやすみなさいませ!」
「「おやすみ(なさい)。」」
ソラリアは少し意気込んだ様子で部屋へと戻っていった。
明日からの授業はきっと気合いがはいっていることだろう。
そんなわかりやすい様子を見送って目を合わせた二人は、しばし愛娘の将来についてゆっくりと語り合うのであった。
お読みいただきありがとうございました。
次回更新から本編に戻ります。
ソラリアの扱いをどうしていこうか少し迷っています。
まぁ、今後にこうご期待、ということで!笑




