わき道―その2①
どうも、もんたです。
上手く時間がとれたので、更新です。
少し話が盛り上がって、わき道なのに2話になりました。
2話めは週末くらいに更新予定です(/・ω・)/
それでは、どうぞ。
~~フリオニール・ソラリアのお話~~
ここはサドニア王国はフリオニール領、領主の館のある【トーカの街】
サドニア王国南西部にあるフリオニール領は、【トバ大森林】が3分の1を占め残りは平原が広がる落ち着いた領地である。
フリオニール領南部は内海に面しており、魔物が出るとはいえ、波穏やかな海は豊かな恵みを領内の民たちへ届けている。また海の先にある領や他国との交易も盛んであり、サドニア王国内でみても非常に恵まれた場所だと言える。
領主の館にて一人の少女が机の上で書き物をしている。
腰ほどまで伸びた金色の髪は開けた窓から入る心地良い風に揺れている。
身に付けているワンピースは装飾こそ控えめなものの少女の陶器のような肌を優しく包んでいる様子は上質な仕立てだと見て取れる。
彼女の横には一人のエルフ女性が立っており、図書を指さしながらやさしく話しかけている。
どうやら勉強の真っ最中のようだ。
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「―――というわけで、ここサドニア王国が樹立となったわけです。切りも良いので本日はここまでとしましょう。明日、また続きをやっていきますので、本日の復習と明日の簡単な予習をお願いいたします。」
「それとシャンドラ様は本日夕刻にはお戻りになると伺っておりますので、時間となりましたらお呼びいたします。それまでは自由にしていいと奥様が仰っていますが、お出かけの際は使用人に言伝をお願いいたしますね。」
「もう、毎日言われているんですから、わかっています、メイリーン。それよりも、何か面白いお話を知りませんか?屋敷にある本で読めるものはほとんど読んでしまいましたし…街の話とかはいかがです?」
「申し訳ありません。この前も申し上げましたが、奴隷であるわたくしのようなものにはソラリアお嬢様を楽しませるような話など…街へもほとんど参りませんし…」
「もう、またそうやって。奴隷だとか亜人だとか関係ないとお父様がいつも言っているでしょう?はぁ…今日はお父様もいらっしゃらないし…」
「そういえば…本日は大森林に向かわれているということでした。確かオリビア様のお薬を受け取りに行かれたとか。お帰りになられたらオリビア様のお話を伺ってみるのはいかがでしょうか。」
「え!そうだったんですの!?私聞いてないです!オリビア様のところへ行かれるのなら私も行きたかったのに!!メイリーン!どうして教えてくれなかったんですか!」
「申し訳ございませんソラリア様。わたしたち使用人はシャンドラ様より『オリビアさんのところへ行くことは出かけるまでソラリアへは内緒だ。言ったら連れて行けと聞かないからね。』と厳命されておりましたので。」
「むぅ…」
「そうご機嫌を悪くされないでください。いくら魔物が少ないとはいえ、大森林の中ですしそれなりに危険もございます。オル…オリビア様の小屋のあたりまで進めば毒草なんかも生えてきます。」
「それに【竜の尾根】に向かう山道でもありますので、そういった意味でもまだまだお若いソラリア様をお連れするのは大変と判断されたのだと思います。山道を一時間ほど歩けるように体力がおありなら良いのですが。」
「そ、それは無理ですね。で、では、魔法の練習をもっと頑張れば連れて行ってもらえるでしょうか。」
「そうですね…・シャンドラ様が何とおっしゃるかはわかりませんが、森の中でも自分のことを守れるくらいの魔法が使えるとなればもしかしたら、ということもあるかもしれません。強化魔法や初級、もしくは中級の攻撃魔法が何種類か使えるようであれば低ランクの冒険者と経験云々を除いてそん色はないと思います。」
「わかりました!!そしたら中庭で魔法の練習をしてきます!!」
「えっ?ちょっ、お待ちください、ソラリア様!!だ、誰か!中庭まで向かってください!!」
ソラリアと呼ばれた彼女はあっという間に部屋を飛び出し、駆け足で中庭へと向かっていく。
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「きゃっ!ソ、ソラリア様!?」
「あっ、ごめんなさい!急いでいるの!」
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「うぉっ!す、すいません!ソラリア様!」
「こっちこそごめんなさい!警備ごくろうさまです!」
それなりに広い屋敷には領主の館ということもあり数多くの使用人や警備の兵たちが常駐している。
ソラリアは器用に彼らの間を縫うように走りながら、ぶつかるすれすれで中庭までたどり着いた。
風にのって花々の良い香りがソラリアへ届く。
「はぁ、はぁ…すぅ~、はぁ~。やっぱりいい香りです。」
「おや、お嬢様が授業以外でこちらにいらっしゃるのは珍しいですね。」
花壇に咲く色とりどりの花を見ながら呼吸を落ち着かせていた彼女は後方からの声にふり返る。
そこにはカラフルな花たちも目も背けるような赤髪に真紅のローブを身にまとった年若い男性がベンチに腰掛け本を読んでいた。
ローブの中から覗いている紺色のシャツとズボンはところどころに金糸で刺繍が入れられており、ところどころ不可思議な文様が刻まれている。
モノクルの奥から覗いている黒い瞳は慈愛の光をともしている。
「ケラン先生。本日は授業ありませんのにどうしてこちらに?」
「ふふふ、これでも一応お嬢様の家庭教師ですし入館の許可はいつでもとれるのですよ。何、いつも自分の研究部屋に籠っていますからね、気分転換もかねて外で研究書でも読んでいようかと思ったんですが。」
「いつもと違うことをすると何か起きるものですね。お嬢様こそ、授業はないのにどうして中庭へ?本日は座学の日ですし、いつもおわったらすぐお部屋に戻られているでしょう?」
「そういわれると、私がひきこもりさんみたいじゃないですか!」
「あながち間違っていないとは思いますが…この館から自発的に出たことありました?」
「うっ…」
一見不遜と取られても違いないような会話ではあるものの、このケランという若者を咎めるものは少ない。
この館においてケランに強く当たれる人物といえば、領主であり雇い主でもあるシャンドラ夫妻と筆頭執事であるライオネル含む数名程度。
それもひとえにこのケランの才能のたまものである。
彼は10代半ばにして全属性の中級魔法までを習得し、適正である火属性に関しては上級魔法まで会得している秀才、もはや天才といっても良い域に達している。
その才能から既に戦線にも幾度か招集されており、その都度名声を得ている。
最後に召集された戦線では、直前に会得していた火属性広囲殲滅系上級魔法により敵軍の5分の1を一瞬で灰にし、魔法の残滓はさらに5分の1を戦闘継続不可にしてみせた。
その功績と髪色から【赤の殲滅者】などという少々物騒な異名をとっている。
それまでの戦功の褒賞として与えられた赤いローブは希少な魔物とクリムゾンドラゴンの素材で作られた魔道具。
銘はないもののケランの得意とする火属性魔法の威力を増進させ、発動をサポートする優秀な一品であり、色合いが派手なことを除けばどんな魔導士も垂涎ものの品である。
ケラン自身は自分の見た目に全く関心がないためただ着心地が良いなくらいにしか思っていないが。
彼が天才と呼ばれないのは彼が魔法の研究以外にほとんど興味がなく、権力、金、欲、名声もろもろになびかない少々特殊な魔法使いであったからだった。
「そうだ!ケラン先生、魔法を教えてくださいませんか?」
「ん?今日は授業ではないですが…明日は雨でも降りますかね?」
「先生!!」
「ははは、すいません。でも本当に珍しいじゃないですか。何かあったんですか?」
「お父様が森にいかれる時についていきたいのです!魔法をもっと勉強して自分の身を守れるようになれば、お父様も許可していただけると思って。」
「ふむ。まぁ、その考え方はあながち間違いではないですね。可愛い可愛い愛娘を危険な森に連れて行くかどうかはおいておきますが。…いいでしょう。どうせ今日はもう研究をすすめるという気分でもないですし。早速始めてしまいましょう。」
「ありがとうございます!」
お読みいただきありがとうございます。
ソラリア視点で書こうとしたらなんかもやもやしたので、第三者視点で書いてみました。
ある程度は皆さんの脳内でキャラクターを作ってほしいなと思って、敢えてキャラの外見を細かく書かずにいますが、皆さんどんな見た目に仕上がっているんでしょうかね~(●´ω`●)




