第10節『星に願いを。』
どうも、もんたです。
10月になりました。また活動報告更新しようと思います。
深夜の更新すいません。
興が乗ってきてしまって。笑
それでは、どうぞ。
「ふむ…少々しんみりしてしまったの。すまんすまん。話を戻そう。」
先ほどの暗い表情とうって変わって、じいちゃんはいつもの優しい顔で話し始めた。
「つまるところ、マルクの作ったあの魔法は優れた魔法ではあるが、使い方を間違えれば非常に危険な魔法になってしまうということじゃ。あの魔法は本当にマルクの身に危険が迫った時以外の使用は控えるように。特に人前で使うことは極力しないようにするべきじゃ。」
「う、うん。それは大丈夫だよ。小屋にいれば母さんやじいちゃんにしか会わないし。」
「あら、街に行けば色んな人に出会うのよ?それに学園だってあるでしょう。」
「ほう?オルガよ、マルクを学園に通わせるのか。」
「えぇ、少し考えております。あ、昨日シャンドラ様がいらっしゃって。その際にマルクもいたものですから、学園の話になったのです。そうそう、シャンドラ様へとこちらを置いていかれました。」
母さんは話を続けながら、脇にある棚に入れていた紹介状を取り出し、じいちゃんにみせる。
じいちゃんは紹介状をひっくり返したり、透かしたりしてひとしきりいじった後、難しそうな顔をして、母さんに手渡した。
「紹介状といったところかの?フリオニール家の紋章が入った印で閉じてあるようじゃから効果は覿面じゃろう。中身も問題ないと見える。…そうか学園か。」
「はい。12歳からということですので、あと2年です。もし入学を希望するのであれば、1年半ほどしたのち、シャンドラ様が迎えに来られるそうです。残った半年の期間で入学までに試験の準備や町の暮らしに慣れさせる時間を頂けるとのことでした。どちらにせよ、これからの1年半は世間の一般常識でも再度詰め込もうかと。今回の件で教育が行き届いているか非常に不安になりましたので。」
今日のじいちゃんはいつもと違って表情がコロコロ変わるなぁ。
だいたい会う時はのほほんとして優しいじいちゃんだから真面目な雰囲気だと少し違和感。
…っていうか、今母さん不穏なこと言わなかった?
なんか再教育します的な言葉が聞こえた気がするんだけど。
「うむ…必要じゃろう。わしもそれは必須じゃと思っとる。…して、マルク。魔法をまた勉強しなおすつもりはあるかの?」
「!!もちろん!ちょうど、攻撃用の魔法を練習するか、一から作るかで迷ってたんだ!」
嬉しい!
じいちゃんの提案に食い気味に反応すると、心なしじいちゃんの目が鋭くなったように感じる。
「ほう、攻撃魔法とな。それは一体、何のためじゃ?今の生活では必要ないじゃろ?」
「う、うん。でも、バサラベアと戦って思ったんだ。今のままだとすぐに死んじゃうんじゃないかって。」
「まぁ、バサラベアなんぞ一人で戦う魔物ではないからのぉ。狼たちがおってかつ手負いじゃったとはいえ、こうやって何のこともなく生きておれることは奇跡といっても過言ではない。
…しかし、バサラベアはこの辺りでは希少種じゃぞ?これからもこの森で暮らすというのであれば、今の初級魔法でもよかろうて。」
「まぁ、それもそうなんだけど…でも、きっと今のままじゃダメなんだ。」
「何がダメなんじゃ?」
じいちゃんは真剣な表情で僕を見つめている。
「今のままじゃ…母さんを守れない。」
「ふむ?」
「シャンドラさんの話の中で『もし母さんがいなくなったら』っていうのがあったんだ。その時の話の内容は全然違うんだけど、母さんが居なくなったのを想像したら、凄く寂しかった。
僕は本当の親を知らない。僕には母さんとじいちゃんしかいないから…母さんが居なくなると一人ぼっちになっちゃうでしょ?
だから、だから今のままじゃダメなんだって。これから魔法も狩りももっと力を付けて僕が母さんもじいちゃんも守れるようにならないとって。そうすればずっと一緒に入れるから。」
「マルク…」
「守るため…か…ふむ。」
ちょっと母さんの前でいうのは恥ずかしかったけど。
でも母さんは喜んでくれてるみたい。
涙は流してるけどいつもの優しい母さんの顔だ。
じいちゃんは少し迷った表情のあと、ゆっくりと口を開いた。
「うむ。わかった。この2年で魔法を教えてやろう。」
「ほんと!!」
「本当じゃよ。ただし、これまでのようなゆっくりしたものではない。わしが魔法の神髄とは何たるかを教えてやろう。」
「魔法の…神髄…?」
「!!…ドラコニア様、よろしいで?」
「いつかはわかることじゃ。それが今になっただけ。構わんよ。…さて、そうと決まれば善は急げ、じゃ。明日から訓練を始めようかの。」
「え?明日から?」
「なんじゃ?時間は待ってはくれんぞ。やると決めたら腹をくくらんか。」
「う、うん。頑張る。」
「良い良い。その意気じゃ。」
「さて…話もひと段落しましたし、そろそろ夕食の準備と行きましょう。マルク、お風呂の準備をして頂戴。ドラコニア様はいかがなさいますか。」
「久しぶりにオルガの手料理を味わうとするかの。」
「かしこまりました。腕によりをかけて。」
母さんはそういって台所へ向かっていった。
じいちゃんは心底嬉しそうな顔をしてお茶を飲み干すとアドラーとグリムへ話しかけだした。
じいちゃん、話せるのかな?
彼らを部屋に置き去りにして風呂場へ向かう。
お風呂の準備っていっても魔法で水を出して、火属性の魔法で温めれば終わりなんだけど。
僕が水の魔法を大量に使うと【星映しの指輪】が反応して水精霊が勝手にでてくる。
たまに、ではあるんだけど。
今回もアプサスが出てきて水面をくるくると遊びだした。
きっちりと温めおわり、アプサスを戻したとき、小屋の外からずるずると何かを引き摺るような音が聞こえてきた。
「「ガウガウッ!!!」」
「ん?あ、グラン、シロ!こんな時間までどこにいって…って…え?」
外に出てみるとそこには自分たちよりも一回りも大きいイノシシの上で自慢げに尻尾を振っている二匹がいた。
横倒しになってるこれって…ジャイアントボア、だよね?
ジャイアントボアは【トバ大森林】に広く分布するイノシシ型の魔物で、それなりに強い部類に分類されるヤツなんだけどなぁ。
肉は巨体に似合う大味な魔物かと思いきや、案外上品な味で人気が高いって本に書いてあった気がする。
それに、牙はそれなりに硬いため、加工されたものは新人冒険者に人気があるんだとか。
捨てるところがない魔物だなんて書いてあったかな。
品切れになりやすいかと言うと、肉の人気も相まって結構な数が狩られるためそこまで高くもないと。
とはいえ、魔物は魔物。
毎年調子にのった初心者さんたちが舐めてかかって大けがしたり亡くなっちゃったりすることがあるらしい。
ちなみに、後半の情報は何故か本棚にあった『新人冒険者の心得』って本に書いてあった。
改めて、グランたちドルイドウルフって、実はめちゃくちゃ強い種族なのかな?
バサラベアと戦ってた時は、山越えをした後で疲れてたってことだったし、全力だすとジャイアントボアくらい平気ってことなんだろうか。
褒めてほしそうにすり寄ってくる二匹には、特に目立つような怪我も見当たらないし、激しい戦闘ってわけじゃなかったんだろう。
騒ぎを聞きつけたじいちゃんとかあさんが外に出てきてさっきの僕と似たような反応をしていた。
イノシシはじいちゃんと母さんの手によって解体され、はぎ取った革や牙は簡単な処理をして調合室奥の倉庫へ収納された。
後日、きちんとした処理がなされて(おそらく僕がやるんだけど)たまにやってくる行商人へ売られることになる。
肉はその場で適度なサイズに切り分けられたものの、さすがに丸ごと一頭となるとそれなりの量になるため、ほとんどは氷属性の魔法で凍らして冷暗室へとぶちこまれることになった。
思わぬ収穫にホクホク顔の母さんによって、夕食のメニューは急遽イノシシ肉のステーキと肉がこれでもかといれられたシチューへと変更されることになった。
勿論、仕留めてきたグラン、シロ夫妻に特大のステーキがふるまわれたのは言うまでもなく、それを羨ましそうに眺めていたグリムは、食後にシロへと次回の狩りに参加したいと交渉していたみたい。
結果はNGだったらしく、後ですねたグリムが僕のベッドにもぐりこんできた時は思わず笑ってしまった。
思いもよらない展開になった夕食だったけど、じいちゃんに狼たちと一気に数が増えた食事はいつもより楽しくってあっという間に時間は過ぎていった。
寝る前に窓から眺めた空には、先ほどの雲は欠片も無くなっていて。
ちょっぴり不安もあるけれど、これからのことを楽しみにさせてくれるような満天の星空が広がっていた―――
ここまで読んでいただきありがとうございました。
一呼吸おけるところまで来ました。
次章に入ろうかな?とも思いましたが、気が向いたので、また別人物視点で書いてみようかなと思います。
今後もよろしくおねがいします(*‘∀‘)




