第9節『想像力』
どうも、もんたです。
最近PCの調子が怪しいです。
もう5年?以上の付き合いのPCで、いい加減買替時かなと…
最低限の機能付いてればいいので5万くらいのものにしちゃおうとかんがえています。
それでは、どうぞ。
「マルクよ……今年で10歳じゃったか?その年でオリジナル魔法…いや、そんなことより、ダマスカス鋼の壁を魔法で作ったじゃと……オ、オルガ、お主一体何を教えたんじゃ?」
「私は何も特殊なことをした記憶はありませんが…といいますか、魔法に関してはドラコニア様がお教えになられたと記憶していますので、つまるところ、この事態はドラコニア様によって引き起こされた、という認識で良いと考えております。」
「む…なんと、お主も言うようになったのぅ。うぅむ…」
じいちゃんも母さんもすごく真面目な様子で話しだした。
グランとシロはじっとしていたのが飽きたようで、狩に行ってくるの合図をしてきた。
特にすることもなかったし、この辺は危なくないので、遠くまで行かないように言い聞かせて許可した。
二匹はさっそうと森の中に駆け出して、あっという間に森の中に消えていった。
グリムは僕の護衛役ってことでお留守番みたい。
せっかくだしアドラーと遊んでおいてもらおう。
グリムの背中にアドラーをのせて、小屋の周りを散歩しておいでと声をかける。
やっぱりグリムも外に出たかったらしく、アドラーをのせると同時に駆け出した。
見送って中に入ろうとしたらじいちゃんと母さんも外にでてきた。
「む?狼たちは散歩かの?」
「うん。グランとシロは狩りにいって、グリムはアドラーをのっけてお散歩。」
「そうかそうか。仲良くできているようで何よりじゃ。マルク、さっき言っておったオリジナルの魔法とやらを見せてくれんかの?」
「え?あぁ、《ダマスカスシェル》のこと?いいけど、あれ魔力使い過ぎちゃうんだよね…」
「ふぅむ。バサラベアとの戦闘ではどんなサイズで壁を作ったんじゃ?」
「ええっと、調合室の壁をそのままイメージしたから、調合室の壁のサイズかな?」
「おおう…なかなかのサイズじゃ。それはさすがに魔力も枯渇するわ。というか、『枯渇』で済んだというのもまた…そ、それならこれくらいのサイズで作ってみんか。《フローズンシェル》」
じいちゃんはいつの間にかどこからか取り出した杖に魔力を通すと、杖の先に撮り透けてある透明な玉が青色に光った。
細い金属のようなものが鳥の巣みたいに絡まった中にある玉は、それなりに貴重なものだってじいちゃんは言ってたっけ。
魔法の発動により一瞬で目の前に高さ1メートルくらいの薄い壁が出来た。
魔法の名前から氷属性の中級魔法なのが分かった。
実際、壁の魔力も僕が作れる《アイシクルシェル》とは込められている量が違う。
それに氷の質も余計なものが込められていないので透明度が高い。
これくらい自在に魔法を使えるようになりたいな。
「どうかの?これくらいのサイズであれば、魔力も足りると思うが…」
「うん、このサイズなら大丈夫だと思う。じゃあやるね。」
じいちゃんと母さんが距離を取ったのを確認して魔法の準備に入る。
あの時はとにかく壁!ってことしか考えてなかったけど、今回は落ち着いて規模や魔力制御を考えて魔法を使わないと。
手をかざして意識を集中させていく。
腕の周りに光が集まっていく。
壁のサイズを指定して、また調合室の壁をイメージ。
一度成功させた魔法は、意識の中に完成像が出来上がっているので、比較的再現するのは簡単になる。
「いくよ。《ダマスカスシェル》」
地面から壁がせり出してくる。
少し大きめの壁が生成された後、圧縮され徐々に小さくなっていく。
小さくなっていく壁は土色から黒い色へと変わっていくが、色の変化に伴って身体からごっそり魔力が抜けていくのがわかる。
「ふぅ…完成、かな?少し見本より小さくなったけど。」
「う、うむ…これは…」
「マルク…あなたって子は…」
じいちゃんと母さんは僕が作った壁をペタペタと触りながらぶつぶつと言い合ってる。
いつの間にか帰ってきていたアドラーとグリムも興味津々で壁の周りをうろうろしている。
グリムがアドラーに向かって鼻をすりすりしているのは何か話してるんだろうか。
もしかしたらバサラベアと戦ってた時の話でもしてるんだろうか。
時々アドラーがぷるぷる震えたり、グリムの尻尾が揺れているから話が盛り上がってるのかな。
確認が終わったのか、じゃれている僕たちのところへ母さんたちがやってきた。
「マルク、ドラコニア様からお話があります。いったん小屋に戻りましょう。」
「え?うん。わかった。」
母さんの顔がいつもより堅い気がする。
じいちゃんも何か迷っているような困っているような顔にみえるし。
ぞろぞろとみんなで小屋に入って席につく。
母さんがお茶を用意し終わって席に着くと少し雰囲気が真面目なかんじになったような?
じいちゃんは一口お茶を含むとゆっくりと話し始めた。
「マルクよ。あの魔法は他の誰にも話してはならん。」
「えっ?」
「本来、ダマスカス鋼とは魔法を受け入れない金属なの。」
「うむ。世界にはいくつもの鉱石や宝石があり、ほとんどの素材は魔力をまとわせることができる。簡単に言えば魔力付与が出来るということじゃな。しかし、中には魔力を絶対に受け入れないか受け入れにくいという性質をもつものがあるのじゃ。ダマスカス鋼はその代表格でな。非常に硬い素材である反面、魔力への耐性がやたらと強く、付与魔法が出来ないというデメリットがあるのじゃ。魔力耐性という面でみれば優れた素材ではあるので、金を積んで装備に取り入れることもあるのじゃがな。」
「へぇ…そんな特性があるんだね。あの魔法を作ったときはとにかく硬い壁ってイメージでしかなかったから…ん?じゃあ僕が魔法で作れたのは?」
「そこなのじゃ。オルガと確認したが、あれば厳密にはダマスカス鋼ではないという結論に達した。」
「え!違うの?」
「えぇ。あれは、そうね、疑似ダマスカス鋼とでも言うのかしら。ダマスカス鋼としての硬性は保ったまま、魔力への親和性も持っているわ。」
「んんん…?」
「あら、少し言葉が難しかったかしら。つまり、ダマスカス鋼みたいにとっても硬いけど、魔力耐性はそこまでではないってことね。ドラコニア様が仰った様に本来のダマスカス鋼は魔力を通さないのだけれど、マルクの魔法で作られた壁は魔力をある程度通すことが出来たの。それでも他の素材に比べれば通りにくいことは確かね。おそらく、マルクが言ったように『硬い壁』というイメージで作成されたものだから魔力耐性に関しては詳細なイメージがなかったのが原因でしょう。」
「うん。魔力耐性?とかは全然考えてなかったよ。」
「そうよね。きっとそのせいで、『魔力を通す硬質をもったダマスカス鋼のようなもの』が《ダマスカスシェル》の魔法という形で生まれたんだと思うわ。勿論、素材として生まれたといっても、マルクの魔力で出来たものだから維持を止めれば崩れてしまうけどね。」
説明を終えた母さんは言うことは言ったという感じでお茶を口に含む。
なるほどねぇ。
確かにあの魔法を初めて作ったときはただただ、硬い壁を作りたいだけで、他のことなんて考えてなかったし。
でもそんな中でかあさんたちはびっくりするような魔法を生み出せた僕って天才なんじゃない?
「よいか、マルク。これは一見凄い魔法に見えるが、一歩間違えればマルクにとって良くない結果を生む魔法じゃ。」
「え!?」
心を読まれた!?
「もしわしがこの国において軍事的な立場にいるものであれば、即座にマルクを捕縛し、王都へと連行する。」
「え!ちょっ…?」
「その後、マルクへ魔法もしくは薬を用いて自我をつぶすか娼婦でも用意して篭絡するか洗脳するかして、王都を囲う規模の城壁を《ダマスカスシェル》で作らせるじゃろう。魔力の補充は奴隷か王都魔術師部隊の人間を使えば補えるからの。死ぬまでこき使うぞ。」
「は…?えっと…?」
「わしの言いたいことがわかるかのぉ、マルクや。」
「んと…?」
「…まぁ、《ダマスカスシェル》の魔法が非常に危険である、くらいの認識でよいじゃろう。今は。わしはいつも『魔法とは想像力』と言っておるな。今回の魔法でマルクがその教えをきちんと守っておることは分かった。想像力とは我々の生活を豊かにし、技術を進歩させるために非常に重要な役割を担っておる。しかし、その想像力は時として災いをもたらす。国を、人を守るためと生み出された力が多くの人の命を奪うことだって往々にしてあるのじゃ。」
「ドラコニア様…」
じいちゃんはそういうと顔を落としてお茶を口に運んだ。
かあさんの表情もさっきまでと違い、なんとなく暗い気がする。
ふと、窓の外に目を移すと先ほどまで晴れていたはずの空に灰色の雲がうっすらと広がっていた。
お読みいただきありがとうございました。
リアルの仕事も、作中も一息ついたとこでございます。
来月から派遣先が変わるので、少しでもこっちにさける時間が増えればいいなと考えてマス。
これからもよろしくお願いします。




