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竜の薬師  作者: もんた
第3章 学園編-中編
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第24節『見学会②』

どうも、もんたです。

お待たせしました。


それでは、どうぞ。





 カチャカチャとガラスや陶器の器が擦れる音を聞きながら作業を進めていく。

 自分が思っていたよりも人が見に来るってことで緊張していたのかもしれない。

 さっきのやり取りでいい感じでリラックスできて、作業の途中途中にシャンドラさんたちからの質問を返す余裕があった。





「なるほどね。つまり良い薬を作るためには良い水が必要ということか。」

「母さんからはそうだって教わりました。小屋の時は魔法で水を出すこともありましたけど、山の、出来るだけ上流の水を汲んだりもしていましたよ。」

「ふむ…。マルクの用意したこの水は魔力で出したものでしょう?それにしても随分と魔力が籠っているようにみえますが。」

「それは――」



『そりゃ水の精霊であるわたしがついてますもの!!』



「うわっ!?」

「え?」

「「きゃっ!!」」





 胸元のペンダントから青い光が広がり、勢いよくデフィーが飛び出してきた。

 突然のことに僕も含めみんなびっくり。

 セバスさんですら目を見開いてポカンとしている。





「デ、デフィー!?」

「久しぶりに実体化したわね。…そうだ!マルク、クッキー頂戴!」

「ちょ、ちょっと!あなた誰よ!」




 ソラリアさんの声にみんな気を取り戻したよう。

 セバスさんはシャンドラさんを守るように静かに前に立ち、上着の裏に隠しているナイフにゆっくりと手を伸ばした。





「あら、そんなに警戒しなくてよろしくてよ。私はウンディオーネ、マルクと契約してる精霊です。皆さんのことは存じてますから、気軽にデフィーと呼んでくださいな。」

「ウンディオーネ…?水の中位精霊の名前だが…マルク君、一体…?」

「え、えっと、説明しますので!!」

「よろしくね。あ、その前にクッキー出して頂戴?お茶請けに必要でしょう?」

「はぁ…」




 完全にデフィーのペース。

 なんとも言えない雰囲気に流されるように僕はポーチからクッキーをとりだした。

 デフィーは満足そうに頷くと適当に棚にしまわれていた器をとってお茶を入れる。

 どこから茶葉を取り出したの?





「さ、美味しいクッキーと紅茶があることだし…休憩といきましょ?」


















「…というわけで、デフィーと契約をしたんです。そのおかげもあってかは分からないですけど、入学試験の時の適性判定は水が強く出ましたし、実際水の魔法は得意です。」

「確かにあり得ないほどに適性値が高かったと聞いていたがそんな事情があったとは…」

「勿論私のおかげです。領主様おかわりをどうぞ。」

「あ、あぁ、ありがたくいただきます。」

「ディフィニア様、こちらのお茶大変おいしゅうございます。よろしければ何かコツなどお教えいただけませんかな?」

「デフィーでいいわ。執事のセバスさん。茶葉に関してはマルクの方が詳しいかしら?私が作ったのではなくてオルガに作ってもらったものだから。」

「なんと!オルガ様の…」

「茶葉だって山小屋では手に入らないものね。それ以外のところの手順をお話しするわ。…その間にマルクは薬作りきっちゃいなさいよ。途中でしょう?」

「え?あ!そうだった!」






 すっかり忘れていた薬の調合にドタバタと戻る。

 原因のデフィーに指摘されるっていうのはなんかもやっとするけど。



 シャンドラさんとセバスさんはデフィーと話を続けている。

 ソラリアとアイナはこっちの方が気になるらしく、甕の近くまで椅子を持ってきて楽しそうにみている。




「危ないかもだから、もう少し下がっておいて。」

「「はい。」」





 沸騰しすぎた甕の中に水を追加して温度を調節。


 熱が落ち着いたところでククリ草の抽出液を加え、全体をなじませる。

 部屋の中に広がる薬草のスッキリするような青臭いような匂いも久しぶり。

 アイナはなんてことなさそうだけど、ソラリアはちょっと気になるようで…

 椅子から立ち上がって甕をのぞきこもうとしていたソラリアは顔をしかめて椅子へ戻っていった。






「ふふ。いくよ……≪調合≫」

「「わぁっ!!」」







 濁った緑色の液体から光が部屋に漏れ出す。

 見慣れているデフィー以外が甕の様子に目を奪われている。

 僕も調合が失敗しないか気にしてるって意味では甕に注目してるんだけど。

 何度もやった回復薬の調合だし、まぁ失敗することはないかな。






 反応が終わったあと、甕の中は青く透き通った液体で満たされていた。

 二人は回復薬が瓶に詰められていく様子を珍しそうに眺めている。

 結局、水を継ぎ足したりしたせいで量がずれてしまい、22本分できた回復薬を箱に詰めて、次の薬を作るために道具を洗おうと――





「マルク、これでいいかしら?」

「一応、きちんと洗って水滴も拭いているのですが…」





 いつの間に…

 甕や陶器の器はどれも綺麗に洗われきっていた。

 そこそこ深い甕の底に水が残ってるのは仕方ないことかな。




「…うん!大丈夫だと思う。ありがとう。」

「えへへ、アイナの言う通りね。」

「よかったですね、ソラリア様。」

「もう!様はやめてっていってるのに!」

「で、ですが…」





 二人が仲良く話している間に強壮薬に使うマハラ草の抽出液を甕へ入れて調合を進める。

 一度見てる景色だし特に呼び止めなくてもいいかな。

 サクサクと作業を進めて、完成したのはちょうど20本分の強壮薬。

 全く同じと言っても出来上がるのは回復薬と違った赤みを帯びた液なのもあって、二人ともじっと観察していたみたい。

 あれが違うこれが違うと話を膨らませていた

 回復薬と同じように箱に詰めていつものようにイダさんに渡せばおしまいかな。

 いつの間にか話を終えて洗い物をしていた二人に合流して甕を洗う。



 道具の片づけを終えたときにはシャンドラさんたちも話終えていたようでニコニコとこっちを見ていた。

 デフィーは机に残ったクッキーを楽しんでいるけど。





「仲睦まじい夫婦というのは素敵だね。そうは思わないか、セバス。」

「はい。ぜひお嬢様とマルク、アイナ様たちには旦那様方のような良き夫婦となっていただきたいところでございます。」

「もう!からかわないでくださいお父様にセバス!!」




お読みいただきありがとうございます。


あついぞ、福岡。

夏がやってきますね。その前に梅雨ですが。

エアコンをつけるか、節約のために扇風機かと苦悩している日々です。

まぁ、体調崩したら元も子もないのでおとなしくエアコンですが。


次回かその次で閑話を挟みたいなと思っています。

お楽しみに!



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