第20節『願いと想いと』
どうも、もんたです。
お待たせしました。
それでは、どうぞ。
「ふむ…。一つだけ嘘があるように思うのぉ。」
「え?い、いえ!嘘なんて全く――」
「あぁ、すまんすまん。言い方が悪かった。よい、落ち着いておくれアイナ嬢。お主の望み、本当に使用人やメイドになることで良いのかということじゃ。それであればお主の父がまとめる商会は御用聞き。自分からいわずともシャン坊から人を集めろと話がでたろう。のう?」
「えぇ、勿論です。彼のデーザン商会は優れた商品を扱っているのは当然のこととして、働く人員もみな優秀です。人集めもお願いするつもりでしたよ。」
「勿体ないお言葉にございます。」
「と、いうわけで、じゃ。お主の願いがそれであるならば、もう叶ったも同然。問題はないように思うが?」
「…そっ、それは…」
「お主の父も言うておったではないか。自分の望みは自分で言う、と。それだけの覚悟は決めてきたのではないか?」
「…はい。」
「今ここでしか言うことはできんぞ。」
「…はい。ありがとうございます。私は、マルク様が好きです。お許しいただけるのであれば、第二夫人としてマルク様のお側に置いていただきたいのです!」
真剣な表情で放たれた宣言にじいちゃんは満足そうに微笑んだ。
シャンドラさんと目を合わせ頷くと、いつもの優しそうな顔でアイナに話しかけた。
「よく言った。お主の気持ちはしかと伝わった。」
「あ、ありがとう、ございます…」
「貴族の婚姻であれば、本人の了承などいらん。親同士の話し合いで決められるわけだが…。幸運なことにここに三人の親が勢ぞろいしておる。この場で決めきってしまおうではないか。のう、シャン坊にモロゾよ。」
「えぇ。非常に良い提案かと。」
「格別なご配慮大変痛み入ります。ただ私は、お2人決定に従わせていただく所存です。」
「ふむ。であればわしとオルガ、シャン坊で決めればよいな。本来であればマリー嬢にも入ってほしくはあるが、身重であれば仕方あるまい?」
「はい、お気遣いありがとうございます。…きっと後で私が怒られるでしょうが。」
「ドラコニア様、私もですか?」
「何をとぼけたことを言っておる。お主はマルクの母であろうが。当然話し合ってもらわねば困るぞ。」
「ドラコニア様の仰る通りです。それでは――」
トントン拍子で話が進んでいくせいで入り込むすきがない。
というか僕が入ってこないように話を進めているんじゃないかってくらいだ。
相変わらずソラリアさんはニコニコして話し合いを見つめているし、たまに目が合ってもにこっと微笑むだけ。
アイナもモロゾさんも下を向いたままなので表情は見えないし、頼みの綱と思っていたセバスさんは目すら合わせてくれない。
「うむ。ではそのように。」
「はい。…んんっ。この場での話となるので仮決め…とはなってしまうが、私とドラコニア様、オルガ様三名での決定として、リュカ・アイナをマルク君の第二夫人として迎え入れることを認める。この件については明日、また改めて細かく話をしたい。モロゾ会長、明朝時間をもらえるかな?」
「はは!誠にありがとうございます!!」
「ありがとうございます!シャンドラ様、ドラコニア様、オルガ様!」
「今日はもう遅い。セバス、まだ客室に余裕はあったかな?」
「い、いえ!そこまでしていただくわけには――」
「構わない。それで、セバス?」
「はい。残念なことに一部屋しか空いておりません。親子ですのでお2人とも同じ部屋に泊まっていただくことはできるかと思いますが…」
「ふむ…淑女を親とはいえ大人の男と寝泊まりさせたと言われると外聞が悪そうだ。何か案は?」
「それでは…」
「お父様!それでしたら、私の部屋にアイナを泊めましょう!」
「第一、第二夫人間の交流も必要、か…。わかったそうしよう。それではこの場で解散だ。セバスはモロゾ会長を客室へ案内してくれ。アイナ嬢のことはソラリアに任せるよ。いいね?」
「はいお父様!アイナ、行きましょう!皆様、お休みなさいませ!」
「え?あ、あのー!?」
ソラリアはアイナの腕をひっつかんで駆け足で部屋へ戻っていく。
ちょっと前にこの光景見た気がするなぁ。
最後に挨拶をしたのは条件反射みたいなものだろう。
置いて行かれた僕も皆に挨拶した後、二人の後を追って部屋へ戻った。
お読みいただきありがとうございます。
緊急事態宣言多くの都道府県で解除されましたが、皆さんのお住まいはいかがしたか?
筆者の件も解除されましたが、まだまだ自粛ムードです。
自分の身の安全のためにも今月いっぱいはおとなしくしておこうかな、と…
来月からあっちこっち出かけたいと思います!




