じゅういち
どうしてあたし、この人に呼ばれたんだろう?
ていうか、さっき保健室で会ったばっかじゃん。
「何か用?」
吉井をほっといちゃってるわけだし、なるべく早く戻らないと。
いくら吉井といえど、待たせてるからね。
「いやぁ〜さっきいい忘れちゃったことがあって」
「なに?」
「朝霧唯には、気をつけたほうがいいよ」
………………え?
なんて言ったの、この子は。
唯?なんで唯に気をつけろって?
「なんで?ていうか、どういう話の流れで唯のことが出てくるわけ?
さっきので唯が関係する要素、ひとつも無かったと思うんだけど」
「俺は、あいつを知ってた。ここに転入してくる前のあいつを。俺からは言えない。あいつがどんなやつかなんて」
は?
どういうこと?さっぱりわけがわからない。
「そんなこといきなり言われても、信じられないんですけど」
「そりゃそーだよねー…ま、そのうちわかると思うけど。俺からは気をつけて、としか言えない」
なんなの、唯に何があるっていうの。
「言いたかったことは、それだけ。急に呼び出したりして、ごめんね。あの子、待たせてるんだよね?早く行ったほうがいい」
呼び出したのはあんただろーが!
大体なに?
あたしがあんたの話を聞いて、はいそうですか、気をつけます、ってなると思ってんの?
あんたより唯と関わってる時間のほうが長いんだからそんなこと言われたって意味わかんないし、信じるわけないじゃない!
言いたいことは山ほどあって、不思議と頭に次から次へと湧き上がってきた。
けど、吉井を待たせてることは事実だし、一回口を開いたらもう閉じられない気がした。
だから、なにも言わずに寿くんに背中を向けて、吉井が待ってる教室へ向かった。




