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50.鉄分何%?

「このエスタ村に来た理由を忘れたのか? 村を発展させなければならないんだぞ」


 栗山の言葉に、4人は口を尖らせながら頷く。


「だけどさぁ、どうやってこれ以上、村を発展させるのさ?」


 発展のしようがないと思っているカミュが言うと、他の3人も同意して「そうよ、どうするのよ?」と、栗山に案を求める。


「大森林調査という名目で、冒険者を集め、村が潤うと思いませんか?」


 コレットが提案してきたのだが、栗山は却下した。


「じゃ、どうするのよ?」


 不満そうな声でカルミが聞く。


「大森林の近くに山があるだろ。明日はそこを調査しようと思う。もしかしたらそこに資源が有るかも知れないだろ?」


「なかった場合、どうするのさ?」


 どうしても大森林の奥にある洞窟を調査したい4人。


「特産物を作って、それを財源とするしかないだろ。あとは村にギルドを作ってもらう。兎に角、村を大きくさせないとならないんだよ、危険なことは避けなきゃだろ」


「それは分かってる。でも、チアキさんの言っている事は時間がかかる事ばかりじゃん」


 チヒが少し苛つきながら言う。


「資源が見つかりゃ、文句は無いんだろ?」


「「「「そうだけどさぁ……」」」」


 4人は声を揃えて言い、顔を見合わせる。


「色々考えてくれているのは、本当にありがたい。でも、俺としては危険を冒してまで発展させるのは賛成できないよ」


 これで話は終わりだと言って、栗山はモニターに集中する。4人は不満気な顔をして栗山のいる部屋を出て、自分の部屋へと戻って行くが、カミュはこっそりと部屋を出て栗山いる部屋に戻った。


「チーアーキさん」


「なんだ、部屋に戻ったんじゃないのか?」


「戻ろうとしたんだけどさぁ……」


 納得ができていないので、もう少し粘りにやって来たのである。


「大丈夫、資源は必ず見つかるし、俺は必ず自由を手に入れる」


 栗山の「自由を手に入れる」と言う言葉に首を傾げるカミュ。しかし、明日は早いからという理由で、カミュは部屋を追い出されてしまう。

 もう少し自分の気持ちを理解してほしいと思いながら、カミュは自分の部屋へ戻っていった。


 翌朝になり、カミュは目を覚まして栗山のいる部屋へと向かう。これはいつもの日課の様なものである。

 アラームが鳴る前に部屋へ潜り込み、寝顔を観察する。健気である。

 しかし、この日はいつもと異なり、部屋にいるはずの栗山はいない。もしかしたらキッチンで何か作っているのではと思いながら向かってみるが、そこにも栗山の姿は無かった。


「……あれ? チアキさん、どこへ行った?」


 家の中をくまなく探すが栗山の姿は見当たらず、もしかしたら、3人のうちの誰かの部屋に居るのではとカミュは思い、リビングで聞き耳をたてて栗山たちの声を探っていると、玄関のドアが開いた。


「相変わらず朝が早いな……」


 呆れたような声で栗山が言うと、カミュは栗山を睨むような目で見つめる。


「なんだよ、その目は?」


「何処へ行っていたんですか……」


 低い声でカミュが問い掛ける。


「ランニング……と言っても分からないか。えっと、走り込みって奴だよ」


「……走り込み?」


 どうして栗山がそのような事をするのか、全く分からないカミュ。


「ほら、最近は俺だけ動いてなかったろ? イザという時に足が縺れないよう、運動してるんだよ」


「それならそうと、早く言ってくださいよ!」


 少しヒステリック気味にカミュが言うと、栗山は「お前たちの足を引っ張りたくないんだよ」と言って、シャワーを浴びに浴室へと向かう。カミュはホッと息を吐きながら、椅子に座り込んで目を瞑るのだった。


 3人が起きて、全員で朝食を食べていると、栗山が今日の予定を言う。


「今日は昨日話した山に、資源があるのか調査へ出かけるぞ」


 そう言うと、各々が返事をしながら朝食をむさぼり食う。

 朝食を食べ終わると、各自それぞれが出かける準備に部屋へと戻っていくのだが、栗山は後片付けを行ってから準備を行うので、一番遅くみんなの前に姿を現す。


「チアキさん、遅いですよ」


 コレットが注意してくるが、栗山は「はいはい、悪かったよ」と、4人を甘やかす。


「さてと、調査へと向かうかねぇ……」


 そう言って車を召喚し、目的地である山へと向かうために車に乗り込むのだが、4人は助手席争いを始めたため、出発が遅くなったのは言うまでもない話である。


 車を走らせること一時間、目的地である山に到着したので車を停めると、カミュがトイレに行きたいと騒ぎ出すので、簡易トイレを召喚して設置する。すると、カミュだけではなく、ほかの3人もトイレに行きたかったらしく、列を作ってカミュがお花を摘むのを待っていたのであった。


 ようやく4人のトイレタイムが終了し、調査を開始ができる状態になった。


「それで、どうやって調べるつもり?」


 カルミが山肌を触りながら栗山に質問する。


「実は、コレットがドローンで撮影してくれたおかげで、ここいら辺りの地質調査をすることができたんだよね。それで……」


 栗山がウンチクを垂れているが、誰一人としてこの話を理解できるものは居らず、4人は分かったふりをしていたのだった。

 一時間ほどウンチクを話、ようやくダイヤモンドドリルでコア抜き行う。

 しかし、4人には栗山が何をしているのかすら理解できていないのである。

 この世界では土魔法を使える者が鉱山探しの依頼を受け、調査をして見つけると言うのが一般的であるが、奴隷だった彼女たち4人が知るはずもなく、ましてや異世界からやって来た栗山が知る由もないのであった。

 色々な機械を召喚して、地質を確認している栗山。4人はそれを眺めているだけで、何かをしている訳では無い。と言うか、文字もろくに読めない4人が手伝えることは何も無いのである。

 それから数時間が過ぎ、暇を持て余していた4人。木剣を取り出して剣の稽古を始めていた。


「――よし、やっぱりこの山には鉄が含まれている!」


 ようやく栗山が結論を出すのだが、4人は理解ができていない。4人は顔を見合わせ「どう言う事?」と言って、不思議そうな顔をしていたのである。


「つまり、この山は鉄が採れると言うことだ。掘削作業をしていけば、鉄が沢山採れるということだよ。あとは村からこの山までの道を整備してやれば、あの村は人で潤うはずだ」


 ようやく意味が理解できた4人。持っていた木剣を放り投げて喜びを表す。


「問題はどうやって、この事を王宮へ知らせるかだな」


 一つ難題をクリアしたかと思えば、また一つ難題が現れる。先ほどまで喜んでいた4人は、栗山が悩んでいることの意味を理解することができておらず、顔を見合わせていた。


「簡単に言うと、王宮へ伝達するには、誰かが王宮へ向かわなければならない……と、いう話だ」


 なら、栗山の車で行けば2日で辿り着くだろうと4人は口を揃えて言うと、栗山は首を横に振った。


「ここまでの道を整備するには、俺が残らなきゃならん。という事は、お前たち4人の誰かが王宮へ向かわなきゃいけないという事になる」


「「「「――は?」」」」


「とは言うものの、俺としては4人がバラバラで行動するのは論外だと思っている」


「そ……それで?」


 恐る恐るチヒが聞く。


「……4人で行ってきてくれないか?」


 4人が出す答え……もちろん「嫌」の二文字である。


「まぁ、今すぐに結論を出さなくても良いが、何を選んだところで、誰かが王宮へ行かなきゃならなかったのは、たしかだ」


 その言葉に4人は黙ってしまう。その後は全員無言で村まで戻り、各々自分の部屋に籠ってしまう。栗山は何か良い案はないかとリビングで考えながら、調査結果を記録した書簡を作成するのであった。

 翌朝、栗山がいつもより早い時間に目を覚まし、ランニングウェアを着て走り込む。頭の中を空っぽにして無心で村の外周を走り、しばらくしてから家へ戻る。すると、昨日同様にカミュがリビングの椅子に腰掛けて待っていた。


「おはよう。眠れなかったのか?」


「何か別の案がないかと考えてました」


「で、見つかったのか?」


 その言葉にカミュは首を横に振った。


「一瞬で王都に行ける道具は有りませんか? ご主人様とバラバラになるのは嫌です」


 その様な道具が有るのなら、既に使っている。栗山はそう思いながら苦笑したのだが、何かを見落としている気分になる。カミュの言葉が何か引っ掛かり、もう一度聞きたくなる。


「カミュ、お前……今なんて言った?」


「――え? ご、ご主人様って……」


「違う、それは別として……その前になんて言った!」


「え? えっと……一瞬で王都に行ける道具は有りませんかって、夢みたいなことを言いました」


 栗山は指を鳴らして「――それだ!」と叫ぶ。何が『それ』なのか分からないカミュ。頭の上に大きなクエッションマークを浮かべると、栗山は上機嫌で風呂場へ向かったのであった。


 風呂から出て、栗山は朝食も作らず青いネコ型ロボットが出てくる漫画の本を召喚して読み耽る。

 たしか『あの子』は言っていた。空想上の物でも未来では開発されていると。

 日本人は漫画から感化された道具を作る、少し変わった人種であった。もしかしたら、この中で本当に開発がされている物があるかも知れない。

 そう考えた栗山は読み終わった本をそのままにして、自分の部屋へと戻っていき、誰も入ってこれないように鍵をかける。

 そして、不思議な扉をイメージして召喚を試してみると、その扉は目の前に現れ、栗山は恐る恐るイメージした場所を思い浮かべながら扉を開ける。

 すると、心配そうな顔をした4人がいるリビングへと繋がっており、栗山は歓喜の声を上げてリビングに現れたのだった。

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