強敵
―――そんな馬鹿な!?
目の前の光景に驚きを禁じ得ない、一体何が起きたというんだ!?
俺は身動き一つ取れずにその場に佇む。
大変勇ましい雰囲気で鋭い目がこちらを見て来る。
・・・うう
動揺を隠し、何事も無かったように立ち去ろうと思うが、その瞳の魔力に縛られたように思考さえままならない・・・足を動かすという意思が脳から発生されない!
なんと強大な魔力を秘めているのか!その力を測りきる事は俺には出来ない。
(奴がもう一度動いたら勝てない!)
懸命に歯を食いしばり、何とか体を動かしその場から逃げ出そうとした。
後ろを振り向くと同時に走り出す。
「――――」
確かに走り出した筈の俺の足は止まっていた。
ああ・・・俺の負けだ。
「という訳なんだ」
「説明になっていません」
なんかアルトの言い方が厳しい・・・ここは一つ毅然とした態度で徹底抗戦しかないな。
「あれ、分かんないの?本当に?うっそだ~~」
「・・・うざ」
アルトが半端にボソリと呟くと俺半端なく傷つくんだけど。
「言いたい事があるならはっきりくっきり言えよ!」
「うざいです」
はっきり言われても傷つく事が判明したな。
しょうがないので具体的に話す事にした・・・恥ずかしかったんだよ。
「可愛いし、放っとけないからこの猫飼う事にしたんだ。」
一度体を擦り寄せられた瞬間俺の魂は8割こいつに奪われ如何ともし難い状態に。
更にクリッとした鋭い瞳に魅了されもう眼が離せなくなっていた。
鋼の意思で振り切ろうとしたが走り去る瞬間に聞こえた甘えるような鳴き声に完全に敗北し、連れ帰ってきたという訳。
「ケイジさん、これは猫ではありません。虎、しかも肌の色が白い事を含めると白虎、この国の聖獣の可能性が高い!これが露見したらどうなるか分かってるんですか!?」
「そこは問題ない。きっちり変身してたからな・・・やっぱ白虎か、猫で押し通せるかと思ったんだがな」
「御存じなのですね、白虎は王を決める選定者と呼ばれ、引き連れた者は王位継承権を与えられます。逆に言えば選ばれた事が露見すればケイジさんは国に命を狙われる可能性が高い」
「眉つばだろ?」
「少なくとも私は白い虎など見た事ありませんし、眉つばならばこそケイジさんの命が危ない可能性が高いです。何らかの手は打つべきです」
白虎の伝説
国が大きく動く時、神が遣わした聖なる獣が舞い降りる
神が定めし選定者、その前に降り立ち御身を魅了せん
魅了された者すなわち王なり
何者にも抗う事敵わぬ
「取り敢えず対策はレアに頼ろう、仲間には全員に話す。」
「分かりました」
王族に利用される聖獣か・・・くだらない伝説だ。
「で?何があったんだ」
「・・・お気づきでしたか、実は街で一人の男性を助けたのですが、予想以上に問題の解決が難しくケイジさんに知恵をお借りしようと思いまして」
「聞かせてくれ」




