とある三人組の非日常
――――とある女に負けた後の事――――
「おらあ!」
俺は気合いを込めた声と共に剣を振り下ろす。
斬り合う事7回、全てが同じ姿勢から繰り出され、同じ様に弾かれる。
相手の姿は俺と全く変わらない。
俺は相手から飛びのき距離を取る・・・するともう一人の俺は鏡に戻る。
「おい、ネクラ、そろそろ交代するか?」
「ああ・・・」
ゾウガメの様に重い腰を上げるネクラ・・・イラつくな。
「お前やる気ないのかよ!?じゃあいいよ、インケお前はどうだ?」
「ああ・・・俺は・・いい」
気の抜けた声で拒否ってくるインケ・・・はあ!?
「お前ら悔しくないのかよ!あんな俺達の足を散々引っ張ってきた男に好き勝手言われて、しかも俺達三人がかりで手も足も出なかったんだぞ!?」
「だけどよメイル、あいつの強さ見ただろ?・・・普通じゃねえよ」
「ああ・・・いくら頑張っても無理だ」
「お前ら!?俺達が何のために今までこの鏡の間で頑張ってきたと思ってんだ!
・・・先輩の為にも・・・先輩?・・・あれ?・・・」
俺達は何の為にここで頑張ってた!?
―――― 一年前の回想 ――――
俺達三人はアルト先輩に秘密で学園外れの洞窟で練習に励んでいた。
練習内容は、先輩の足を引っ張らない様にフォーメーションの開発を。
試練の迷宮での戦いを視野に入れて無人の洞窟を選んだ。
休憩をいれ一息ついた・・・ふと自分の視線の先に小さなスイッチが目に付いた。
学園の中でも群を抜いて背が高い俺だから気付けたのだろう。
凄い!これは大発見じゃないか!?
「おい!ネクラ、インケ、ここにスイッチがある!」
「「マジかよ!」」
俺達は興奮して早速押してみる事にした。
こんな学園の敷地内に危険がある等到底思えず、迷う事なくスイッチを押した!
ゴゴゴと音を立て奥の行き止まりに通路が出現する。
「「凄え!!!」」
興奮冷めやらぬ中、急いで通路を抜けると少し開けた空洞があり、奥にまた通路があった。
その通路を塞ぐように一枚の鏡が置いてあった・・・宝だろうか?
俺達三人が近づくと鏡が姿を変え俺達三人の姿となった・・・罠か!?
咄嗟に斬りかかると相手も同じように斬りかかってくる。
慌てて距離を取ると元の鏡に戻っていた。
他の二人も同様だ・・・危険は無さそうだな。
「なあ、これ俺達の練習に使えるんじゃねえか?」
「そうだな・・・安全そうだし・・・」
「なにより打ち勝つべきは自分ってか!?」
「「ははは!!!」」
俺達三人が鏡に勝つ頃にはアルト先輩の技量に追いつく筈だ!
待っていてください先輩!
―――― 現実に帰る ――――
そうだ!俺達は先輩に
(強いのに弱い振りして足を引っ張ってたんだよ)
・・・俺(俺達を馬鹿にして笑ってたんだよ)達は・・・
(今日も馬鹿にした目で見下していたな)
「「俺達は絶対にあの屑野郎を許さねえ!!!」」
どす黒い感情が俺を埋め尽くす。
獰猛な笑みを浮かべ、一つの策を出すネクラ。
大喜びで賛成するインケ・・・ああ!・・・俺も大賛成だ!




