とある精霊使いの日常
――――とある私の昼食――――
「♪~~」
私は鼻歌交じりにフライパンを握る。
次の瞬間激しい炎がフライパンを包み、黒い鉄は赤く染まる。
油を入れて麺を炒める・・カリッとなったら、皿に麺が移動する。
野菜と肉を入れさっと焼きあげ麺をフライパンに戻す。
自家製のだし汁とソースで味付けして・・よし!
「最後に魔法を一欠片♪」
皿に移した焼きそばに美味しくなれとキスして出来上がり・・・もう数か所キスしとこう。
コップに水が湧き上がる。
私の料理は精霊を使って作っています。
料理には強い火力と素早い動きが必要なんだけど精霊を使えば全てが賄え、より美味しい料理が出来るのです!
私は料理の時に精霊を使う事で今では彼ら(私)を自在に扱う事が出来るようになりました。
戦闘するより料理をした方が上達出来るとは、精霊とは奥が深いです。
水の精霊とは最近契約出来ました。
シルフ(風)サラ(炎)ディーネ(水)と名前を付けてます。
どうやって出来たかは言えません・・・女には言えない事の二つや三つあるものです。
「お待たせしました!」
「おお!!今日も美味そう!」
私は待ってくださいと目で制して焼きそばの入ったお皿と水の入ったコップを置きます。
ケイジさんはお預けをくらった犬のようにそわそわしてます・・・可愛いです。
「さあ召し上がれ」
私の言葉を皮切りに焼きそばを口いっぱいに頬張るケイジさん・・・本当に美味しそうに食べてくれます・・・次はもっと美味しく作りましょう。
「お代りはまだまだありますから落ち着いて食べてください。」
うまうま♪言いながら食べてるケイジさんの口元を拭ってあげる・・・ケイジさんは何時まで見ていても飽きる事がありません・・・私は焼きそばを箸で小さくクルッと纏めケイジさんの口に持っていく・・・
「あ~ん」
「あ~」
素直に口を空けるケイジさん・・・餌を貰う雛鳥の様だ!楽しくてしょうがない。
「パク・・ンム・・・ま、まあまあね」
「・・・貴方を呼んだ覚えはありませんよレア『おば様』」
「ほほほ御免なさい『男性』の部屋に気遣いは必要ないと思ったものだから」
・・・何故でしょう?私はレアさんに妙に反発してしまいます・・・良い人だと思ってるんですが・・・二人が仲良くしていたり、今みたいに乱入されると、モヤッ、てしてしまいます。
ケイジさんは今から用があると出て行って、レアさんも職場に戻って行かれました。もう既に職場放棄しているイメージがありましたが如何なっているのでしょうか?
今度聞いてみようと思いつつ残った焼きそばを食べました。
――――とあるわたしのクエスト――――
学園ギルドで猪の皮の調達を引き受けてきました。
弟の呪いは解けましたが、冒険者にはなるつもりです。
同じような事が起きた時に、誰かを守れないのは嫌ですから。
山へ向かう途中、後ろから肩を掴まれました。
「おいっ!待てよっ!」
声を聞いた瞬間、体が硬直してしまいます・・・恐る恐る後ろを振り向くと、想像通りの人達がこちらをニヤニヤ下卑た笑いを浮かべこちらを見ています。
「・・・何かご用でしょうか?」
声が震えるのを必死に堪え、平静を装いながら質問します。
「分かってんだろ?まさかあれで終わりだと思ってたのか?最近楽しそうだったもんなあ!?お前?」
ぎゃはは、と笑う、楽しそうな彼等の声に悪寒が走ります。
私の方が強いのは分かってます・・・それでも・・・怖い・・・逃げ出したい!
一人だったらきっと逃げ出していました・・・でも今は!!
「私は貴方達が嫌いです。もう私を虐めるのは止めて下さい」
今までずっと言えなかった事を震えながらも言い切りました。
「「ああ!?」」
彼らはいきり立って私に殴りかかってきますが、私はそれを危なげなく避けていきます
以前の私では避けれませんでした
でも私の実力をここまで押し上げてくれた人がいるから避ける事が出来ます
足の震えは止まっていました
私は決して一人じゃないから
(頑張れ!)
周りで応援する声が聞こえるから
痺れを切らした彼等は激昂して腰の剣を抜きました
私は難なく腰の剣を用い彼らの剣を叩き落とします
彼らに対する恐怖という虚像は皆の手助けで乗り越える事が出来ました
平静を保てば剣など私には恐ろしいものではありません
私は彼らに背を向けて山に向かいます
(後ろから来るよ)
シルフから伝わる知覚を頼りにサラの力を発動させます
背中に襲い掛かろうとした彼らの手前に大きな火柱が立ちます
「次は容赦しませんから」
そう言い捨て私はその場を後にしました
彼らが私に何かしてくる事はもう無いでしょう
何かしてきても今の私に何の影響もありませんが
――――とある私の帰り道――――
私は大きな猪を片手で担ぎ、山菜ときのこが詰まった鞄を背負い酒場に向かっていました。
学園ギルドでもお肉は買い取ってくれますが、酒場に直接売った方が高く売れます。
今日は山菜ときのこと猪のホイル焼きにしましょう!嬉しそうな顔をするケイジさんが頭に浮かびます・・・♪
(路地裏で誰か襲われてるよ)
・・・私は道筋を変え路地裏に足を運びました。
目の前にいる大人三人を有無を言わさずシルフで吹き飛ばし炎で壁を作ります。
彼らが逃げていく気配を確認した後、私は傷だらけの男の人に向きなおりました。
私と同い年位でしょうか?
「大丈夫ですか?」
「はい、ありがとうございます・・・ッ・・」
声を掛けると、彼は私にお礼を述べた後声も無く泣きだしました。
「何があったんですか?」
「ッ・・・・大丈夫です・・ッ・・これはただ情けなくてっ・・ッ・・自分一人で何とかしようと思ったのに何も出来ず・・・他の人ッ・・・に助けてもらう自分が・・ッ・恥ずかしい」
「何も恥ずかしくありません」
「・・・」
「決して一人だけで立ち上がる必要はないんです。
誰かに手を差し伸べてもらわなければ解決出来ない事はあります。」
「・・・ッ・・」
「何があったんですか?」
私は右手を差し出した
あの人がそうしてくれたように
貴方が一人で立ち上がれるように




