交錯
彼は孤高の存在
―――――― ??? ――――――
彼の精神は誰よりも強く気高い
彼の横に並ぶものは無く孤独だった。
彼は遙か昔、不治の病の女と契約を結んだ、その精神は強く気高いものだった。
彼は自らと並ぶ女との契約を喜んだが、病の治った女の精神は、瞬く間に反転した。
彼の力を使い、ひたすら業を深める女に失望し契約を断ち切るが女に彼の一部が残る。
―――――― 女 ――――――
女は彼を愛していた。
その思いは契約を断ち切られても不変であった。
女は彼が別の存在と契約を結ぶのが許せない。
女が孤独なように
彼も孤独でなくてはならない
孤独な彼はいずれ女の元へ帰ってくるだろう
女は彼の力を用い極大な呪いを完成させる。
彼が契約すると同時に発動する大呪法
蠱毒
彼がいつまでも孤独でありますように。
愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる
―――――― ??? ――――――
彼は永い間孤高だった。
契約をする気は二度となく、ただ風の吹くまま気のままに流れていく。
そこで彼は出会った。
魔力が少なく剥き出しの無防備な精神、だが彼はその精神から目が離せない
ケイジから目を離せない
その精神に気高さは無く、ただ無骨でひたすら頑強に見えた。
楽しげに崖を登るその姿に悪戯心が湧く、人型に姿を変え、横を駆け登る
軽い悪戯に対し彼は逆に悪戯で返された。
それは彼にとって衝撃だった。
彼は気づけばケイジと夢中で遊んでいた。
そこにいるのは孤高の存在ではなく、友と遊ぶ普通の獣
彼に契約を結ぶ気は無かった。
しかし、どこまでも同調し、通じ合う心は無意識に彼とケイジを契約させた。
驚く彼、しかしそれ以上の喜びがあった。
彼は真に自分と並ぶ精神の持ち主、友と逢えた。
孤高から解き放たれた彼
同時に蠱毒が発動する
彼を縛り付けるために孤独にするために
彼は周囲の異変に気付くが、呪法の正体に気付かない、呪法は彼に影響しない
彼が気付くのは呪法の完成した瞬間、呪いはケイジに襲いかかり、肉体を変質させる
彼が思うのは一つ<<助けたい>>心は真に一つとなり、彼は自らの核をケイジに捧げる
彼はケイジの内で力を抑える、一つになった力にケイジの肉体は耐え切れない
ケイジが死するその時まで、力を抑え静かにたゆたう。
―――――― 精霊? ――――――
彼は遙か昔から存在した
その姿は無形、人型になればゴールデンウェアウルフと呼ばれ
鳥型となればフェニックスと呼ばれた
彼に名はなく、故に真名もない、誰にも縛る事の出来ない孤高の存在
彼は気に入った存在に癒しを施す、肝を喰らうとはそのままの意味ではなく
彼が心を許すかどうか
彼の真を誰も知らない、だがその力を見たものは理解する
彼は王だと
精霊王
誰も縛れぬ存在をケイジは縛り付けた。
友という名の鎖
それはとても頑丈で壊れることは無い




