生きるために逃げろ
森の奥から木々をなぎ倒しながら現れたのは、巨大な猪の魔獣だった。
全身を覆う黒い毛は鋼のように硬く、口から伸びる二本の牙は人の身長ほどもある。
「グォォォォォ!!」
咆哮と共に大地が震え、荒野にいた帝国兵や黒ずくめの兵士達は顔を青くし逃げるもの、武器を手に取るものといた。
「あの魔獣はブラッドボア。戦場の臭いに当てられたのか」
猪の魔獣は凄まじい勢いで突進してきた。
逃げ遅れた兵士は吹き飛ばされた。
それを見た男は槍を構え傍でただ立っている子供に向け声をかけた。
「おい、おまえ。そこでボッとしてたら死んじまうぞ。下がってろ!」
「…それは命令、ですか」
その言葉に男は槍を強く握る。この子供は道具として生きて、いや使われてたって訳か。
ふざけんな。
「そうだ生きるために逃げろ!」
子供が逃げるのを見た男はブラッドボアの前へ出た。
ブラッドボアは男を見つけ鼻を鳴らし、突進してきた。
地面が砕けるほどの速度に男は横に跳び、危ねぇと声を発しながら槍で攻撃をした。
ガキィン!
硬い毛皮に弾かれ火花が散った。
「硬いな。魔法を使うしかないな。」
ブラッドボアは向きを変え、再び突進する。
男は腰に下げた魔石を入れておく道具を手にし魔法を使った。
地面が盛り上がり、土の槍がブラッドボアを襲う。
いきなり下からの攻撃にブラッドボアは悲鳴を上げた。その気を逃さず男は風魔法で飛び上がる。
そして落下しながら槍を振り下ろす。
狙うのは首じゃない。槍で目を攻狙う。
「はぁっ!」
ブシュッ!と槍の穂先が目を貫く。
ブラッドボア絶叫し、怒り食らったように暴れ回る。
子供は少し離れた場所で魔獣と男の戦いを見ていた。
あの人、一人で、あぶない。
ブラッドボアは血を流しながら男へ突進する。
あぶない!
子供の周囲に冷気が集まり始めそして、氷の槍がブラッドボアの脚を貫いた。
男は後ろにいた子供の援護にふっと笑う。
「今だ!」
男は火の魔石を使用した。
炎を纏った槍が炎の火力を上げ。
ブラッドボアの巨大な首が宙を舞った。




