↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】怖がられない昭和幽霊は、海外悪魔とSNSで意気投合する  作者: 小原みん
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
45/51

兄姉からのプレゼント〜悪魔城にて〜

「ヴィア姉ちゃんいる?」


第二王子のラオレフィムは、ノックもせずに地下のヴェルメフィアの研究室の扉を開けた。


「ノックしろって言ってんだろーが!」


ヴェルメフィアは、ドスの利いた声で、扉を睨みつけた。


「おっと……」


ラオレフィムは、おどけた顔で肩をすくませた。


「……んで?なんか用?」


「はは、相変わらず機嫌が悪いな」


「早く要件を言いな」


「レムと態度が違くないか?もう少し、優しくしてくれても良くない?」


ラオレフィムは、短い黒髪をぽりぽりと掻いた。


レイルレフィムよりも、少し小柄ではあるが、鍛え上げられた肉体を見せびらかす様に、肌の露出が多い。


「レムたんは、可愛いもの。お前はそのむさ苦しい格好、どうにかならないの?」


「この肉体美が分からないなんて……姉ちゃん、引きこもりすぎじゃないか?顔も青白いぞ?」


「だまらっしゃい!!」


ヴェルメフィアは、くわっと口を開けて威嚇する。


「……んなことより、レム帰ってきてるだろ?死神討伐千体記念のお祝いしようぜってハラン兄が言ってた」


「まぁ!そういうことなら、協力するわよ。レムたんの為ですもの」


手のひらを返したように、ヴェルメフィアの瞳が輝く。


「俺も、悪魔界内の暴動一人で鎮圧したんだけど」


「お前には必要ない」


ヴェルメフィアの反応が冷たいのは、今に始まったことではない。


何をプレゼントしようかしらと、ヴェルメフィアは、研究室を物色しだす。


(……まあ、レムは可愛いけど……くすん)


ラオレフィムは、肩を落として研究室を後にした。


「次は、カミルメフィアか……あいつも、レム狂だからな……ハラン兄は、面倒なことばかり俺に押し付ける」


ぽつりとつぶやいた声は、誰に聞かれることもなく、地下回廊に響いた。


ラオレフィムは、意を決してカミルメフィアの部屋の扉をノックする。


「はーい♪」


可憐な声が部屋の中から、聞こえてくる。


「俺だ」


「ラオ兄?入って〜。開いてるよ♪」


ラオレフィムが扉を開けると、部屋の中はレムだらけだった。


彫刻のレム

絵画のレム

ポスター写真のレム

フィギアに、ぬいぐるみ、アクリルスタンド、うちわ……。


「………ふ、増えてる……」


「ラオ兄、見てみて!スマホを手に入れたの!レムのフォロワーを、おど……お願いして増やしてるよ♪」


「ははは……よく集めたな。レム、帰ってきてるぞ」


「それ、ほんと?」


カミルメフィアの漆黒の瞳が大きくなる。

ツインテールの黒髪は、ふわりと揺れ、頬が紅潮していく。


瞬間、空気が揺らぐ。


ラオレフィムの背筋に、ぞわりと悪寒が走った。


「いつ?何時?何分に帰ってきたの?」


カミルメフィアは、目を黒くしてラオレフィムにしがみつく。


「怖い怖い怖い!お前、怖い!」


「だって!私たちのレムちゃんが帰ってきたんだよ?ラオ兄は嬉しくないの?あの子、滅多に帰って来ないじゃない」


「いや、そりゃ嬉しいけどさ」


「そうでしょ?そうでしょ?ラオ兄だって、久しぶりにレムちゃんと、プロレスごっこしたいでしょ?」


「……あぁ、もう!とにかくだ!レムが帰ってきて、ちょうど良いから、死神討伐千体記念でお祝いしようってハラン兄が言ってたから!俺は、伝えたぞ!じゃあな!」


ラオレフィムは、カミルメフィアを力任せに引き剥がすと、逃げるように部屋を出ていった。


「はぁ……疲れた……。カミルの相手は疲れる。レムが帰って来ないのも分かるよ」


ラオレフィムは、ハランレフィムの執務室へ向かう。


ノックもせずに扉を開けると、冷ややかな視線を向けられる。


シュッとしたフェイスライン。

切れ長の赤い瞳には、銀のチェーンがついた眼鏡をかけている。


「ラオ、ノックくらいしたらどうだ?」


「んだよ、レムだったら怒らないのに」


「レムは、幼いんだからしょうがないだろ」


「……兄貴。その眼鏡、度数合ってる?」


ハランレフィムは、眼鏡をそっと外し、しっかりと確認した。


「……合っておるが?」


(そ・う・じゃ・な・い)


ラオレフィムは、がっくりと肩を落とした。


「なんなの?俺が変なの?」


「では、ラオ。厨房に祝賀会を行うことを伝えて来てくれ。予算は気にしなくて良い。いくら使っても構わない」


(話を聞けよ!)


ラオレフィムは、内心毒づいたが、そうしたところで扱いは変わらないので、厨房に祝賀会を伝えた。


厨房は、一気に慌ただしくなったので、りんごを一つ失敬してから、自室へ戻った。



*****



「レイルレフィム!!おめでとう!!」


レムが訳も分からないまま、食堂へ案内されると、クラッカーの派手な音と共に祝福される。


「……ありがと。んで、何の祝い?」


レムは、すんっと目を細めて、横断幕を眺めた。


『祝!!レムたん、死神討伐千体!!神に認められた子!!』


横断幕には、レムの似顔絵や写真が、これでもかと貼られている。


何故かSNSでしかアップしていない、黒猫姿や狼姿、美少年姿のレムが、ステッカーになって所狭しと貼られている。


「ヴィア姉ちゃん、カミル姉ちゃん……やり過ぎだよ」


「え〜一生懸命作ったんだよ?喜んで?」


カミルメフィアは、ツインテールを揺らしながら上目遣いでレムを見つめた。


「レムたん、喜んでくれるよね?……喜べ!」


ヴェルメフィアも、豊満なバストを揺らしながら、レムに詰め寄る。


「……うん……うれしいなー」


レムは二人の圧に負けて、曖昧に笑った。


「だから、帰って来ないだよ」


ラオレフィムは、小さくつぶやきながら、りんごを齧った。


「うむ!レムもとても喜んでくれているな!祝賀会を用意して良かった!」


ハランレフィムは、満足気にうなずく。


「だから、眼鏡の度数あってねーだろ……ってか、用意したの俺なっ」


「ラオ兄、ありがとう。用意してくれたの、ラオ兄だよね」


レムは、はにかみながら、ラオレフィムに礼を言う。


「……くぉ〜、レム!やっぱお前は可愛いな〜!」


ラオレフィムは、レムの頭を抱え込むと、くしゃくしゃになるまで、撫で回す。


「ラオ兄やめて〜」


「よし!レム!プロレスごっこしよう!お前が泣くまでやろう!」


「や〜め〜て〜」


「お前、やめろや」


カミルメフィアは、ツインテールを弾ませながら、ラオレフィムに飛び蹴りを放った。


「レムちゃん嫌がってるでしょ!」


足が当たる直前に、ラオレフィムはカミルメフィアの足を片腕で受け止めた。


「はっ!軍神の俺に攻撃とは、舐めんなよカミル!」


「ちっ……脳筋め!」


カミルメフィアは、ラオレフィムをひと睨みすると、か弱い声をあげて、レムにしがみついた。


「レムちゃん、お姉ちゃん、足痛い〜」


「………」


レムは、遠くを見つめた。


「はいはい!じゃれあいはここまで!私はプレゼントを渡したいな」


その様子を穏やかに見つめていた、ハランレフィムは、静かにプレゼントの箱をレムに渡した。


「ハラン兄……ありがとう!なんだろ?開けていい?」


「もちろんだとも!」


レムの笑顔に、ハランレフィムは心の底から嬉しそうな顔をする。


「なんだろ………。ぬいぐるみ……?」


「あぁ!可愛いだろ?レムは、ぬいぐるみがないと寝れなかったからな。新しいぬいぐるみだよ!」


「……ハラン兄。俺、成人してんだけど……」


「そうなのかい?私には、幼く見えるが……」


レムは、ハランレフィムの眼鏡を見る。


「それ、度数合ってる?」


「ああ!合ってるぞ!」


ハランレフィムは、自信を持って答えた。


「……そう、ありがと」


「あー!!被ったー!!」


カミルメフィアもレムにプレゼントを渡す。


箱を開けると、レムによく似たぬいぐるみだった。


「推しぬいだよー!!手作り!カミルのぬいも作ったから、仲良く並べてね♪」


「……うん、カミル姉ちゃん、ありがとう。部屋に飾っておくよ」


「えへへっ♪」


(レム、部屋に滅多に帰って来ないだろ)


ラオレフィムは心の中で、そっと突っ込んだ。


「次は私ね」


ヴェルメフィアは、小さな箱をレムに手渡す。


「ヴィア姉ちゃん、これは何?」


「これはね、呪いの指輪(18金)。この間のどうしようもない死神みたいなのが、現れたら、これをそいつに投げなさい。私のところに転移されるから……。そしたら、また、いい子になるように、指導してあげるわ」


「いい子……?」


「えぇ、あの死神、とってもいい子になったの。レムの可愛さについて、懇々と教育したらね、貴方を崇拝するようになったわ」


「……崇拝はいいが……なんか、怖い」


レムは、死神の最後の姿を思い出し、ほんの少しだけ同情した。


「最後は、俺だな!」


ラオレフィムは、胸を張って大きな箱をワゴンに乗せて運んできた。


「じゃじゃーん!!特大パフェと、コーラフロートだ!」


「ラオ兄!!嬉しい!!食べていい?」


レムは、瞳を輝かせて、ラオレフィムを見つめた。


「おぅ!たらふく食べろ!」


ラオレフィムが言い終わる前に、レムはパフェにかぶりついた。


ラオレフィムは、他の兄弟を見据えてドヤ顔をキメる。


「どうだ!俺が一番、レムのことを分かってるだろ?」


その一言を発した瞬間、三方向から攻撃が飛んできた。


ハランレフィム(第一王子)国政、参謀担当

ヴェルメフィア(第一王女)研究、開発担当

ラオレフィム(第二王子)統治、軍事担当

カミルメフィア(第二王女)諜報、世論調査及び誘導担当

レイルレフィム(第三王子)外交、不良死神管理担当


こんな兄姉達ですが、真面目に仕事はしています。


『レフィム』は王子に、『メフィア』は王女につきます。

なので、普段は、“ラオ”“カミル”と略しています。


レムだけ、レイルにならないのは、レムが子どもの頃に、『レイルレフィム』が言えなくて、レムって言ったら定着しました。それはそれは、可愛い可愛いと言われて……笑。


設定では、他の兄姉たちも、レムみたいに略そうとしましたが、ハムとかラムとかになってしまって、本人たちから抗議されそうなので、諦めました。


タケルとラオの性格が似ているからか、レムにとって、タケルの傍は、ちょうどいい距離感で、居心地が良かったりします。ユー子の奇天烈な言動も、姉達に比べれば可愛いものです。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。