勉強、トレーニング、手芸!
タブレットでステータスを見たユー子は、微妙な顔をした。
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霊力 S
意欲 S
表現力 A
受容力 A
理解力 C
柔軟性 D
客観性 D
【総合評価】
霊力が高く、意欲もあるため、守護霊の素質が評価できる。
性格については、実直であるが、融通が効かず、思い込みによる、暴走リスクがある。
客観性、柔軟性に欠けており、魂の誘導能力に課題あり。
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辛辣なコメントが綴られており、心当たりがあり過ぎて、ユー子は項垂れた。
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【重点科目】
霊力量分析・配分学
霊力持久実習
守護技術総論
魂指導論
霊力量運用演習
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「ほぼ、全部じゃん!」
ううっと声を漏らしながら、ユー子はスクロールをした。
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【コメント】
・適切な霊力量の配分と運用力の向上
・魂の特性に応じた指導技術の習得
上記を参考に学習を進めましょう。
また、霊力の評価はSですが、トレーニングで更に高めることを推奨します。
繊細な霊力量のコントロールが出来るようになれば、守護する魂の選択肢が増えるでしょう。
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「………が、頑張るもん!性格は変えられないけど、コントロールするもん!」
ユー子は、タケルの守護霊を思い出した。
沈着冷静にタケルを守っていた。
あんなに冷静にはなれないけど、熱意は誰にも負けない!
ユー子は、心に火を灯しながら、夜食の“おにぎり(鮭と梅干)”と“おかんの味噌汁”をぽちっと注文した。
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実直なユー子は、頑張った。
講義には会場に行き、最前列を陣取った。
声を張り上げて質問もした。
もちろん予習、復習は欠かさない。
夜食ももちろん欠かさない。
トレーニング室では、タブレットをランニングマシーンの上に置き、講義動画を見ながら走り込みをした。
反復横跳びは、以前の倍の速さで出来るようになった。
それでも、霊力量分析・配分学の計算だけは理解が難しかった。
普通に、数学だった。
計算だけでは終わらない……。
導き出した数値を実技に応用し、繊細な霊力コントロールまで求められる。
ユー子は泣きながらアンに相談した。
どうやらアンは、この科目が得意らしく、すでにS評価をもらっていた。
「アンちゃん、凄い!どうやったら出来るのうになるの?」
「私、刺繍とか編み物が得意だったから、もしかしたら似ているところがあるのかも……?ユー子もやってみる?」
ユー子は、アンから刺繍糸と針を借りた。
刺繍枠がはめられた生地に、針を刺していく。
ぶすっ。
力任せに針を入れる。
「痛っ!」
勢い余って指先にまで針が刺してしまい、ユー子は、ふーふーと息を吹きかけた。
(霊体なので、血は出ない)
涙目になりながら、再度、布地に針を刺す。
長さも方向もばらばらな糸の線を見ながら、アンは根気強くユー子に教える。
「針の位置は真っ直ぐに、長さが均等になるように意識するんだよ。ゆっくり丁寧にね」
ユー子は、ゆっくりと1針ずつ丁寧に縫っていく。その目は見開き、鼻の穴は大きくなる。
「ぐぬぬ……集中力が……」
顔をしかめ、指先を何度も刺しながらユー子は、刺繍を続けた。
「ふふふ……」
ユー子の百面相を見て、アンは静かに微笑んだ。
「ユー子、これ、何かに似てない?」
「へっ……?あっ!霊力のコントロール!」
ユー子は、ぱあっと目を輝かせながら、アンを見つめた。
アンは、にっこりと微笑んで頷く。
「そうだよ。同じ間隔、同じ力加減。ねっ、似てない?ハナさんが言っていた、『娯楽も大切』って、その通りだなって、私は思ったよ」
「うん、そうかも!でも、指刺し過ぎて痛いよぉ〜、修行だよぉ〜」
ずきずきする指先をアンに見せると、アンはくすりと笑い、今度は、かぎ針と毛糸をユー子に渡した。
「編み物は?これも根気と力加減の均等が必要だよ。あと目数を数えながら増やしたり、減らしたりするから、役に立つと思うけど……」
「そっちにする!細い針は目がしんどい!」
「じゃあ、作り目からね。数を数えながらだよ」
アンのお手本を見ながら、ユー子は作り目を作っていく。
作り目の大きさはばらばらで、糸は絡まっていく。
「同じ力でやるんだよ。こうして……こう」
アンはゆっくりとユー子のペースに合わせて教えた。
指先を針で刺すことは、なかったが、糸が絡まって指を締めていく。
糸の塊を見ながら、ユー子は項垂れたが諦めなかった。
「大丈夫!ゆっくりやって、慣れてきたら力加減も分かってくるから!」
アンに励まされながら、ユー子はハンカチほどの大きさを編めるまで成長した。
編み目はアンのように、揃っていなかったが、目数が途中で増えたり減ったりする事は無かった。
“てーれってれー”
ユー子は、頭の中にレベルアップの音が響いた!……ような気がした。
白衣を身にまとい、アンと共に、『霊力量運用演習』を受けたとき、編み物修行の効果を実感出来た。
「アンちゃん、集中してコントロール出来た!」
「うん!ユー子すごいよ!頑張ったね」
「アンちゃんのおかげだよ!」
「ユー子が頑張ったからだよ。もうすぐ研修も終わりだけど、最後まで一緒に頑張ろうね」
アンは、にっこりと笑うとユー子の手を取った。
アンみたいな子が守護霊になったら、魂も安心するんだろうなと、ユー子は思った。
(アンちゃんみたいに、寄り添いながら導く姿勢、見習っていこう!)
「あと、残りの講義って、外界コミュニケーション論だよね。外部講師ってなんだろ?」
アンは、タブレットを覗きながらつぶやいた。
「さぁ?『外部』ってどこ?って感じだよね」
「うん、ここは『霊界』でしょ?別の世界の人なのかなぁ?」
二人して、首を傾げているとタブレットに通知が入る。
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【hana】
外部講師の方が到着しました。
受講者は、椿の間へお越しください。
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「とりあえず、行ってみようか」
「うん!」
椿の間では、既にハナが壇上に立っていた。
ハナは、周囲を見渡し、他の受講生が集まったことを確認すると、外界コミュニケーション論について、説明を始めた。
このカリキュラムだけ、教材がなく受講者の中でも、謎の科目と噂していた。
「外界コミュニケーション論は、霊界、下界(現世界)、死神界、悪魔界、神界の掟や、その関わりについて、外部講師を招いて講義を行います」
外界の多さに、皆、顔を見合わせて困惑している。
「講師がその期ごとに異なること、また、機密事項の内容に触れるため、教材および資料の用意はありません。そのため、講義を受け、レポートの提出のみで単位を与えます」
「……ん?単位制なの?」
「ユー子、受講スケジュールの一番始めに書いてあったよ」
ユー子のつぶやきに、アンはタブレットを見せた。
「……あ。ホントだ。見落としてた」
「ふふふ、ユー子は講義いっぱい出てたし、実習も演習も皆勤賞だから大丈夫だけど、危ないと警告メッセージが、ハナ先生から届くんだよ」
「そうだったんだ……」
こそこそと二人で話をしていると、ハナがこちらをじっと見つめていた。
「あ、やばっ」
ユー子とアンは、口を一文字に結ぶと姿勢を正した。
ハナは、にっこりと微笑む(怖い)と、説明を続ける。
「本日の講師は、全ての外界を巡り、それぞれの世界との外交を担ってこられた、レイルレフィム殿下です」
高貴な気配を帯びた紹介に、姿勢を正したり、服の皺を伸ばし、場に緊張が広がる。
ハナの表情も引き締まり、ピリつく空気が流れた。
「それでは、殿下、お入りください」
椿の間の重厚な扉がゆっくりと開かれる。
漆黒の艶やかな髪。
すらりと伸びた長い手足。
妖艶な赤い瞳。
形のいい唇が弓形に上がる。
あまりにも美しい姿に、皆が見惚れる。
外部講師が正面を向くと、静寂が支配する。
「悪魔界、第三王子レイルレフィムだ。よろしくな」
「レムーーー!!!」
ユー子の叫び声で、静寂は崩された。
やっと出てきたレム




