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【完結】怖がられない昭和幽霊は、海外悪魔とSNSで意気投合する  作者: 小原みん
番外編

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42/51

勉強、トレーニング、手芸!

タブレットでステータスを見たユー子は、微妙な顔をした。


ーーーー


霊力 S

意欲 S

表現力 A

受容力 A

理解力 C

柔軟性 D

客観性 D


【総合評価】

霊力が高く、意欲もあるため、守護霊の素質が評価できる。


性格については、実直であるが、融通が効かず、思い込みによる、暴走リスクがある。

客観性、柔軟性に欠けており、魂の誘導能力に課題あり。


ーーーー


辛辣なコメントが綴られており、心当たりがあり過ぎて、ユー子は項垂れた。


ーーーー


【重点科目】


霊力量分析・配分学

霊力持久実習

守護技術総論

魂指導論

霊力量運用演習


ーーーー


「ほぼ、全部じゃん!」

ううっと声を漏らしながら、ユー子はスクロールをした。


ーーーー


【コメント】

・適切な霊力量の配分と運用力の向上

・魂の特性に応じた指導技術の習得


上記を参考に学習を進めましょう。


また、霊力の評価はSですが、トレーニングで更に高めることを推奨します。

繊細な霊力量のコントロールが出来るようになれば、守護する魂の選択肢が増えるでしょう。


ーーーー


「………が、頑張るもん!性格は変えられないけど、コントロールするもん!」


ユー子は、タケルの守護霊を思い出した。

沈着冷静にタケルを守っていた。


あんなに冷静にはなれないけど、熱意は誰にも負けない!


ユー子は、心に火を灯しながら、夜食の“おにぎり(鮭と梅干)”と“おかんの味噌汁”をぽちっと注文した。



*****



実直なユー子は、頑張った。

講義には会場に行き、最前列を陣取った。


声を張り上げて質問もした。


もちろん予習、復習は欠かさない。

夜食ももちろん欠かさない。


トレーニング室では、タブレットをランニングマシーンの上に置き、講義動画を見ながら走り込みをした。


反復横跳びは、以前の倍の速さで出来るようになった。


それでも、霊力量分析・配分学の計算だけは理解が難しかった。


普通に、数学だった。


計算だけでは終わらない……。

導き出した数値を実技に応用し、繊細な霊力コントロールまで求められる。


ユー子は泣きながらアンに相談した。


どうやらアンは、この科目が得意らしく、すでにS評価をもらっていた。


「アンちゃん、凄い!どうやったら出来るのうになるの?」


「私、刺繍とか編み物が得意だったから、もしかしたら似ているところがあるのかも……?ユー子もやってみる?」


ユー子は、アンから刺繍糸と針を借りた。

刺繍枠がはめられた生地に、針を刺していく。


ぶすっ。

力任せに針を入れる。


「痛っ!」


勢い余って指先にまで針が刺してしまい、ユー子は、ふーふーと息を吹きかけた。

(霊体なので、血は出ない)

涙目になりながら、再度、布地に針を刺す。


長さも方向もばらばらな糸の線を見ながら、アンは根気強くユー子に教える。


「針の位置は真っ直ぐに、長さが均等になるように意識するんだよ。ゆっくり丁寧にね」


ユー子は、ゆっくりと1針ずつ丁寧に縫っていく。その目は見開き、鼻の穴は大きくなる。


「ぐぬぬ……集中力が……」


顔をしかめ、指先を何度も刺しながらユー子は、刺繍を続けた。


「ふふふ……」


ユー子の百面相を見て、アンは静かに微笑んだ。


「ユー子、これ、何かに似てない?」


「へっ……?あっ!霊力のコントロール!」


ユー子は、ぱあっと目を輝かせながら、アンを見つめた。

アンは、にっこりと微笑んで頷く。


「そうだよ。同じ間隔、同じ力加減。ねっ、似てない?ハナさんが言っていた、『娯楽も大切』って、その通りだなって、私は思ったよ」


「うん、そうかも!でも、指刺し過ぎて痛いよぉ〜、修行だよぉ〜」


ずきずきする指先をアンに見せると、アンはくすりと笑い、今度は、かぎ針と毛糸をユー子に渡した。


「編み物は?これも根気と力加減の均等が必要だよ。あと目数を数えながら増やしたり、減らしたりするから、役に立つと思うけど……」


「そっちにする!細い針は目がしんどい!」


「じゃあ、作り目からね。数を数えながらだよ」


アンのお手本を見ながら、ユー子は作り目を作っていく。


作り目の大きさはばらばらで、糸は絡まっていく。


「同じ力でやるんだよ。こうして……こう」


アンはゆっくりとユー子のペースに合わせて教えた。


指先を針で刺すことは、なかったが、糸が絡まって指を締めていく。


糸の塊を見ながら、ユー子は項垂れたが諦めなかった。


「大丈夫!ゆっくりやって、慣れてきたら力加減も分かってくるから!」


アンに励まされながら、ユー子はハンカチほどの大きさを編めるまで成長した。

編み目はアンのように、揃っていなかったが、目数が途中で増えたり減ったりする事は無かった。


“てーれってれー”

ユー子は、頭の中にレベルアップの音が響いた!……ような気がした。


白衣を身にまとい、アンと共に、『霊力量運用演習』を受けたとき、編み物修行の効果を実感出来た。


「アンちゃん、集中してコントロール出来た!」


「うん!ユー子すごいよ!頑張ったね」


「アンちゃんのおかげだよ!」


「ユー子が頑張ったからだよ。もうすぐ研修も終わりだけど、最後まで一緒に頑張ろうね」


アンは、にっこりと笑うとユー子の手を取った。


アンみたいな子が守護霊になったら、魂も安心するんだろうなと、ユー子は思った。


(アンちゃんみたいに、寄り添いながら導く姿勢、見習っていこう!)


「あと、残りの講義って、外界コミュニケーション論だよね。外部講師ってなんだろ?」


アンは、タブレットを覗きながらつぶやいた。


「さぁ?『外部』ってどこ?って感じだよね」


「うん、ここは『霊界』でしょ?別の世界の人なのかなぁ?」


二人して、首を傾げているとタブレットに通知が入る。


ーーーー


【hana】


外部講師の方が到着しました。

受講者は、椿の間へお越しください。


ーーーー


「とりあえず、行ってみようか」


「うん!」


椿の間では、既にハナが壇上に立っていた。

ハナは、周囲を見渡し、他の受講生が集まったことを確認すると、外界コミュニケーション論について、説明を始めた。


このカリキュラムだけ、教材がなく受講者の中でも、謎の科目と噂していた。


「外界コミュニケーション論は、霊界、下界(現世界)、死神界、悪魔界、神界の掟や、その関わりについて、外部講師を招いて講義を行います」


外界の多さに、皆、顔を見合わせて困惑している。


「講師がその期ごとに異なること、また、機密事項の内容に触れるため、教材および資料の用意はありません。そのため、講義を受け、レポートの提出のみで単位を与えます」


「……ん?単位制なの?」


「ユー子、受講スケジュールの一番始めに書いてあったよ」


ユー子のつぶやきに、アンはタブレットを見せた。


「……あ。ホントだ。見落としてた」


「ふふふ、ユー子は講義いっぱい出てたし、実習も演習も皆勤賞だから大丈夫だけど、危ないと警告メッセージが、ハナ先生から届くんだよ」


「そうだったんだ……」


こそこそと二人で話をしていると、ハナがこちらをじっと見つめていた。


「あ、やばっ」


ユー子とアンは、口を一文字に結ぶと姿勢を正した。


ハナは、にっこりと微笑む(怖い)と、説明を続ける。


「本日の講師は、全ての外界を巡り、それぞれの世界との外交を担ってこられた、レイルレフィム殿下です」


高貴な気配を帯びた紹介に、姿勢を正したり、服の皺を伸ばし、場に緊張が広がる。


ハナの表情も引き締まり、ピリつく空気が流れた。


「それでは、殿下、お入りください」


椿の間の重厚な扉がゆっくりと開かれる。


漆黒の艶やかな髪。

すらりと伸びた長い手足。

妖艶な赤い瞳。

形のいい唇が弓形に上がる。


あまりにも美しい姿に、皆が見惚れる。

外部講師が正面を向くと、静寂が支配する。


「悪魔界、第三王子レイルレフィムだ。よろしくな」


「レムーーー!!!」


ユー子の叫び声で、静寂は崩された。






やっと出てきたレム

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