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【完結】怖がられない昭和幽霊は、海外悪魔とSNSで意気投合する  作者: 小原みん
番外編

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40/51

研修?勉強?エリートコース?

意を決して開けた扉の先は、高級ホテルのラウンジを彷彿とさせる、ロビーが広がっていた。


「ほぇ〜」


ユー子は、天井のシャンデリアや、重厚な絨毯、豪奢なソファーに居心地の悪さを感じた。


「ようこそ、守護霊研修施設へ」


突然、隣に現れた女性に、ユー子は飛び跳ねながら驚いた。


「い、いつの間に!?」


おかっぱ頭の小柄な女性は、にっこりと笑っている。襟元をきっちりと締め、隙のない佇まいは、高位霊であることは一目で分かった。


「この度は、おめでとう御座います。私、指導員のハナと申します」


ハナのきれいなお辞儀につられて、ユー子もお辞儀を返す。


「霊力上位者は、この施設で学んで頂きます。霊力を高める修行は免除されますが、この施設で更に霊力を高めることは可能です。上位成績者から守護する魂を選択する権限が与えられますので、精進するように」


鋭い視線がユー子に向けられる。


「は、はい!頑張ります!どうしても護りたい子がいるんです!」


「それは、身内ですか?」


「いえ!赤の他人です!でも、お世話になった人の血が流れます!」


「……そうですか。身内なら優先されますが、他人なら一層精進なさい」


「はい!」


ユー子は、ピシっと敬礼をした。


指導員のハナに個室に案内された、ユー子は再び口をぽかんと開けて驚いた。


どこぞの高級ホテルかと思うほどの部屋に、大きなベッドも用意されていた。


「寝なくても大丈夫なのに、ベッドですか?」


「霊力オプションです。寝ても良いですし、勉強してもいいです。勉強用にタブレットもありますので、ご利用下さい」


「タブレット……。現代っぽい……」


「逆です。霊界の記憶を残した者が人間界で広めたのです」


「ほぇ〜。ちなみに、このタブレットで人間界の動画配信って観れたりして……」


ユー子は、恐る恐るハナの表情を伺う。


「ええ、見れますよ。ただし、それを理由に勉強を怠ると、この施設からランクの下の施設に移されるので、ご注意下さい」


「え〜。気をつけなきゃ」


「ちなみに、他の施設は、道場系、社畜系、学校系と御座います」


「……社畜系?」


「おっと、間違えました。企業系です」


ハナは、表情を変えず真っ直ぐユー子を見つめた。


「貴女のランク落ちは、私の成績にも関わりますので、精一杯フォロー致します。頑張りましょう」


(ハナさん、ちょいちょい本音が出るのね……)


「それでは」と短く挨拶を済ませて、ハナは部屋から出て行った。


ユー子は慣れた手つきでタブレットを操作すると、トップ画面の表示を確認した。


受講スケジュール

受講マナー及び注意事項

成績表及び、ステータス

守護する魂カタログ

備品、夜食カタログ

施設内マップ


「……とりあえず、夜食カタログ確認しよっ」


ラーメン(インスタント麺十五種)

アイス(二十種)

おにぎり(七種)

菓子パン(十二種)

おじや

あんかけうどん

おかんの味噌汁(魂の記憶に応じる)

※アルコールはありません


(ラインナップが夜食過ぎる)


ペコんと通知音が鳴る。


ーーーー


【hana】


1番最初に閲覧するのは夜食ですか。

最初にスケジュールを見ない受講者は、貴女が初めてです。

スケジュールと注意事項を確認して下さい


ーーーー


「み、見られてる〜。落ち着かないよぉ〜」


メッセージに、既読が付く。


「読んだことも判っちゃうの〜?」


ユー子は、びくびくしながらスケジュールを確認する。


霊界・守護史

守護基礎科学

霊力量分析・配分学

霊力持久実習

守護技術総論

魂指導論

霊力量運用演習

外界コミュニケーション論(外部講師)


「………えっ。なにこれ」


ユー子は、生前大学に通わず働いていた。

勉強が苦手なことを忘れていた。


「修行じゃないよね、これ。べ、勉強〜」


科目を見ても、さっぱり分からない。

座学なの?

タケルみたいに、えいっ!ってやるんじゃないの?


しかも、数学っぽいの混じってない?

私、算数すら怪しいのに……。


ユー子は、確かに絶望していた。


「……頑張るって決めたんだ……やってやろーじゃないか!」


ユー子は、寝ずに働いていた頃を思い出した。あの頃だって出来たんだ。


幽体だから、そもそも疲れないはず!

ベッドも夜食もある!


せめて、理数科目以外はトップを狙ってやる!

そう意気込んで、気になっていた、守護する魂カタログを開く。


「あ、あの男の子だ!」


守護霊条件を指でなぞる。


成績上位(十位以内)

高霊力保持者優先

出生地は、日本・東京


※この魂は、高霊力保持者となりますが、次の人生での能力解放は望んでいません。


希望事項

①熱意ある守護霊

②アットホームな環境

③健康な身体


推定応募倍率:三十倍


「ひょえ〜!!応募倍率、三十倍〜!!人気魂じゃん!」


ユー子は、がっくりと項垂れた。


それでも、前を向く。

備品リストから、鉢巻をポチッと注文して気合いを入れ直した。


「よぉ〜し!頑張るぞぉ〜!!……って何から始めたらいいんだろ……」


ユー子がつぶやくと、通知が入る。


ーーーー


【hana】


オリエンテーションは、椿の間にて開催致します。


十五分後に始めますので、速やかに移動をして下さい。


ーーーー


「ひょえ〜待って〜!椿の間ってどこ〜!?」


ユー子は、タブレットを抱えてバタバタと部屋を後にした。

新キャラ入れたら楽しくなってきました。


短くするつもりだった番外編が長くなりそうです。

ユー子の研修(勉強)生活に、もう少しお付き合い下さい。

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