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怖くない昭和幽霊は、海外悪魔(イケメン?)とSNSで意気投合する  作者: 小原みん
見つけてもらえない昭和幽霊

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4/7

昭和幽霊は、解体現場を楽しむ

昭和生まれの目立たない幽霊、ユー子は地元の廃屋に戻っていた。


「やっぱりここが落ち着くな〜」


いつからいたんだっけ?

ん〜まぁいいや……。


あれ?この貼り紙なんだろ……。


『解体工事のお知らせ』


か、い、た、い……。


「まじか……」



確かに、固定資産税も住民税も払ってない。


ユー子は、仕方ないとため息をつく。


「これで私もホームレス幽霊ね」


肝試しで不法侵入する若者もいたし、ガチのホームレスが棲みついたりしていた。

行政も仕事しているようだ。


――――


【yuu ko】


住処の廃屋が取り壊されるらしい。

ぴえん


――――


廃屋を背景に、うすらぼやけた自撮り写真を載せる。


――――


【demon since666】


日本に行ったら、ユー子の住処に行きたかったから、残念だ。なぜ取り壊されるんだ?


あと……ぴえんとは?



ーーーー



【yuu ko】


税金払ってないから?


ぴえんは、悲しいときに使うらしいよ。

少し前に若い子が使ってた!



ーーーー



【demon since666】


幽霊になっても税金があるのか……ぴえん。

使い方は、これで合っているか?



ーーーー



レムの返信にくすくすと笑いながら、ユー子は、廃屋が木っ端微塵になるところを楽しみに、隅でそっと立ちながら待った。




*****



数日後ーー


取り壊し作業が始まった廃屋に、解体作業車が横付けされた。


アームの先は、ハサミのような形をしている。

ごつごつしていて、どこか生き物みたいだ。


「……なにこれ、面白い」


ユー子は目を輝かせ、スマホを構えた。


シャッター音は、作業車のエンジン音にかき消される。


気づかれることもなく、

正面から、横から、下から……ふふふ。


いろいろな角度で、夢中になって撮りまくる。


ひと通り撮り終えると、ユー子はアームの先によじ登る。


アームの動きが、ギギギと音を立てて操作と別の方向へ向かう。


「なんだ? 不具合か? ……一旦、作業やめろ!」


現場監督らしき男が、大声をあげる。


「なんか、動きがおかしくなりました! もう一度トライします!」


運転手は操作手順を確認しながら、慎重にアームを動かす。


「ん? 動かなくなったの?」


ユー子が首をかしげる。


「手伝う!」


どしゃりと地面へ飛び降り、そのまま運転手のそばへ近づいた。


「このレバー動かすの?」


ユー子がレバーに手を伸ばした


その瞬間ーー


アームが、ぐるぐると回り始める。


「だー!! 何が起きてるんだ!?」


「怪奇現象か!?」


「やめだやめだ! ここ、幽霊屋敷だろ!? お祓いしたのか!?」


「してません!」


「今すぐ、彼を呼ぼう! 眉唾ものだが……ここは信じるしかない!」


「は、はい〜!」


現場は一気に騒然とする。


現場監督は冷や汗をかきながら、部下に指示を飛ばした。


「だから廃屋の解体は、嫌なんだよ……」


「彼って……あの人ですよね? チャラい……」


「あぁ……。しかも、かなりの金額を請求される」


その会話を、ユー子はすぐそばで聞いていた。


お祓い?

彼?

チャラ男?


そりゃ困る。


ユー子は少し考えたあと、

おとなしく現場監督の車の中で待つことにした。


しばらくすると、赤いスポーツカーが、廃屋の前に滑り込むように止まった。


エンジン音が、場違いなくらい軽やかに響く。


ドアが開き、中から一人の青年が降りてくる。


金髪。

長身。

胸元が大きく開いた、ド派手なシャツ。

首元には、ごつい金のネックレス。


(……チャラい……?

いや、ダサいの間違いじゃない?

しかもそのネックレス、絶対偽物でしょ)


ユー子は、自分のことは棚に上げて、しっかりとファッションチェックをする。


青年は軽く手を振りながら、にやりと笑った。


「ちぇーす!呼ばれて来ましたよ〜!」


くるりと回って、親指で自分を指す。


「令和の陰陽師もどきこと、タケルでーす!」


あまりに軽いノリに、現場は一気に凍りつく。


それは、ユー子が作業車のアームをぐるぐる回した時以上の、見事な凍りつきだった。


「監督、この人で本当に大丈夫なんですか?」


「……さっきは眉唾ものだと言ったが、腕は確からしい……知らんけど」


「監督〜本当に大丈夫なんですかぁ〜?」


作業員は、今にも泣き出しそうだ。


(令和の陰陽師もどき……はて?どこかで聞いたことあるな)


ユー子は、首を異様なほど傾げながら、青年を見つめる。


その瞬間、ふと、現場監督の車の中から青年と目が合った。


令和の陰陽師もどき、タケルは、

ユー子を見て、ぱちりとウインクをすると、一気に空気が張り詰めた。

ユー子は、手伝おうとしただけなんです。


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