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怖くない昭和幽霊は、海外悪魔(イケメン?)とSNSで意気投合する  作者: 小原みん
見つけてもらえない昭和幽霊

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3/8

昭和幽霊は、トンネルで驚かせる

昭和生まれの幽霊ユー子は、都心部から某トンネルまで、肝試しに向かう若者の車に(勝手に)乗り込み、爆睡していた。


幽霊も寝るのかって?

そりゃ人それぞれでしょ。

知らんけど。


生前も車に乗ったらすぐに寝てたから、習慣よ……習慣。


深夜のトンネルは、それはそれは不気味だ。

それでもユー子は、わくわくしていた。


若者の後に続いて外に出ると、数体の幽霊が車のヘッドライトの眩しさからか、顔をしかめていた。


「雰囲気あるね〜ここに幽霊いるのか?」


居ますよ〜。右に二人、左に一人、手前におじさん、そして背後に、私。


「何もないね〜ただ暗いだけでも怖いけど」


あらら……この人たちも視えてないのね。


「どうする?奥にいく?」


「え〜それはさすがにこわいよ〜。近くに行くだけって言ってたじゃん!」


男二人は先へ行こうとし、女の一人は行きたがらない。


うん……。その方がいいと思うよ。

トンネルの奥に、ヤバイ奴がいるみたいだし。


ユー子は、若者に話しかけてみたが、聞こえないらしい……。


若者たちは、意を決してスマホのライトを照らしながらトンネルの内部に入ろうとしている。


トンネルの前にいた幽霊たちも、中に入らないように音を立てたり、通せんぼうしたりして食い止めたが、若者たちは気付かない。


ユー子は、おじさんの幽霊のそばに寄った。


「あれ、やばくないですか?

奥に、強いのいますよね?」


おじさんは、お手上げとばかりに首を振った。


「たまにいんだよ……全く視えてない奴が。まあ、視えないから来れるんだけどな……」


「奥にいるのはなんですか?」


ユー子は、スマホで『某トンネル 心霊』と検索すると、『トンネルの中やばい』や『怨念の塊』と書かれているサイトを見つけ、読んでいく。


「あ〜魑魅魍魎ってやつ?なんかの集合体だよ。さすがにあれは、視えると思うよ」


おじさんが言ったそばから、若者たちが叫び声を上げながら出てきた。


トンネルの入り口で、若者がユー子の方を見た。


「「「 うぎゃ〜!! 」」」


あっ。スマホを霊力で視えなくするの、

忘れてた……。


これじゃあ、スマホが宙に浮かんでるわ。

ユー子が顔を上げると、スマホの光が顎からユー子を照らす。


「「「 ここにも居たーーー 」」」


若者は、ユー子の顔を見るなり、足をもつれさせながら車に入り、猛スピードで去っていく。


えっ……視えてたの?

しかも、怖がってた?

やったー!!


ユー子は、おじさんを振り返りながら笑顔を見せる。


「そりゃ、顎から光を照らしている人おったら、生きてる人間でも怖いだろ」


おじさんは、ふふと笑うと若者が落としていったタバコを見つけると、ラッキー!と笑いタバコを咥えた。


「それに、奥のアレを視たら、他のもしばらくは視えるみたいだよ」


おじさんは、火の付いていないタバコを咥えるだけでも満足な様子だ。


「火……着けましょうか?」


「おまえさん、そんなこと出来るのか?」


「ふふ……私ほどの霊力を持ってすれば、このくらい!」


ユー子は、タバコと一緒に落ちていたライターを握ると、指先から小さな火を灯す。


「そこから火を出すんかいっ!」


「えっへん」


ユー子は胸を張ってドヤ顔をする。


「そうだ!おじさん、一緒に写真撮ろうよ。それ、SNSにあげていい?」


「写真は構わんが、その“エスなんとか”ってなんだ?」


「説明出来ないけど、とにかくいろんな人が見えるんだって」


おじさんは、しばらく考えたあと、

「……いいよ」と、ゆるりと許可した。


――――


【yuu ko】


トンネルで驚かせることに成功!

仲良くなったおじさんと一枚!



――――


自撮りした写真には、タバコを吹かしたおじさんと共にピースをするユー子が写っている。


おじさんも、キメ顔だ。

トンネルの名前とともにSNSにアップしたが、やっぱり、反応はない……。


「これで、いろんな人が見えるのか?」


「うん……そのはずなんだけど、反応ないから見てるかはわかんない」


「なんじゃそりゃ……」


なんか、SNSやめたくなってきた……。


一回アップしただけで、数百のハートやコメントがつく人もいるのに……。


――――


【demon since666】


やったじゃないか。

移動しながら驚かせているんだな。

行動的な奴は、我が輩は好きだ。


――――


獣のような太い指には、鋭い爪が生えている。

それがピースをしているのだから、どこかチグハグだ。


「おじさん、ほら。私の友達が見てくれたよ」


「ほぉう」


ユー子は、ふふっと笑いながら返信をしようとしたその時、新たなコメントがついた。


――――


【令和の陰陽師もどき】


今どき、幽霊もSNS使うのかよ。

やばっ。これ、コメント書いたからって呪われないよね。


ここのトンネル、ヤバイのいるのに、よく行ったね。


写真に写ってるの、ベビースモーカーの血まみれのおじさん?


【yuu ko】まじで幽霊なの?


――――


ユー子は、飛び上がる。


だれ、だれなの? この人!

やらせとかじゃなくて、幽霊ってわかってる?

しかも、おじさんを知ってる?

まさか、本物の霊能者?


幽霊よりレアじゃん!


――――


【yuu ko】


ネットを通じて呪えませんよ〜。

そもそも、取り憑くことはできても呪えないんで……。


あと、おじさん知ってるの?


――――


【令和の陰陽師もどき】


呪うなら祓わなきゃな〜って思ってたけど、イタズラ程度なら見逃してやるよ。やり過ぎないようにな〜。


おじさんは、前に会ったことあるよ。

タバコあげたら喜んでた


――――


祓う?……消滅させられる?


こわっ。


ユー子は、ぶるると身体を震わせる。


「おじさん知ってる人からコメントついたよ」


「ほんとか?誰だ?妻か?」


「いや……霊能者っぽい。なんか、前にタバコあげたことあるって」


おじさんは、目を細めた。


「あぁ……あの青年か……」


少しガッカリしながら呟いた。


「いや……あの青年も元気ならいい」


「奥さんに、見てもらいたかった?」


「……。生きていれば、もうお婆ちゃんだな……。いいんだ……」


おじさんは肩を落としながら、タバコをふかす。


「……おじさん……」


「嬢ちゃんは、なんで死んだ?」


「……覚えてない。気付いたら廃屋にいた」


「そうか……。その青年に会えたら、上に昇らせてもらえるんじゃないか?」


「……私はまだ、いいや」


「……そうか」


おじさんは、火が消えるまでタバコを吸うと、地面に落とした。


「……おじさん、私、次の場所にいくね」


「あぁ……元気でな」


幽霊に元気とは……。ユー子は不思議に思いながらも、その場を後にする。


次はどこに行こうか……。


トンネルへ続く山道を、ユー子はとぼとぼと歩いていた。


不意にトラックが横切った。


「ちょうどいい」


ユー子は迷うことなく飛びつき、そのまま荷台の隙間へ滑り込んだ。

ユー子はトラックの寝台スペースで爆睡します。

トラックの運転手は、いわゆる視える人で休憩しようと、寝台スペースを開けたら腰を抜かしました。

声にならない声を聞いたユー子は、寝ぼけながら外に出ました。


翌日、トラックの寝台スペースには御札が貼られたそうです



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