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【本編完結】怖がられない昭和幽霊は、海外悪魔とSNSで意気投合する  作者: 小原みん
昭和幽霊と乗り越えたい過去

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昭和幽霊と海外悪霊は、お出かけ中

ギャルっぽい格好をしているけど、真面目な介護士のナオは、ぽつりと語り出した。


「最近、入所された利用者さんなんですけど、ユー子の写真を持ってきたんです。娘の写真だって言ってて」


「ユー子の写真?それって生前の……ってこと?」


「はい。紛れもなくユー子でした。黒髪ストレートのどこかよそ行きの笑顔でした。その利用者さんは、娘はモデルと舞台女優をしていたって言っていました」


「ユー子、マジで芸能人だったんだな」


タケルは、納得したように頷いた。


「……ユー子、二十三歳だった……」


ナオは、震える唇に力を入れながら続けた。


「私より若かった……」


ぽたりと涙が溢れる。


「利用者さん……一番応援してたって……。ユー子、本当に若かった。やりたいことも楽しいことも、これからだったって思ってしまって……。私は、利用者さんのケアを考えなきゃいけないんです。でも、ユー子の気持ちを考えたら、頭がぐちゃぐちゃになっちゃって……」


「え……ちょ、ちょっと、ナオちゃん。待った!」


溢れる涙を見ながら、タケルはティッシュを渡すと、ナオの顔を覗く。


「ナオちゃん、引っ張られてる!それは、ナオちゃんの想像だよ!」


タケルは、ナオを真剣な目で見つめた。


「思いやる気持ちは、すごく大切だよ。だけどね、人の気持ちと自分の気持ちを一緒にしちゃダメだ」


ナオは、タケルの目を見つめ返し、力なく呟いた。


「……そう……ですよね。ユー子の気持ちは、ユー子のものですよね。私……考え過ぎていました」


タケルは、ナオの手をそっと握った。


「その人の気持ちに寄り添うのと、気持ちを同調させるのは違うんだ。結局は、本当の辛さも悩みも本人にしか分からないんだ。俺らはただ、傍にいて話を聞く。それくらいしか出来ないんだよ」


タケルは、スマホのホーム画面が明るくなったのちらりと見た。


「本人は案外けろっとしているかもよ?……ほら!」


ナオにスマホのメッセージを見せた。

そこには、レムと河川敷でアイスを食べるユー子とレムの自撮り写真が添えられていた。


ーーーーー


【yuu ko】


レムがひと口で悪いやつ食べた!

でっかい怖いやつになってたよ(´⊙ω⊙`)

めっちゃ怖かった〜。

でも、かっこよかった╰(*´︶`*)╯♡

アイス食べたら、次の現場に向かいます!


ーーーーーー


「ぷっ……ふふふ。ユー子、コンビニの一番高いアイス食べてる」


「レムは……ガリガリする氷菓子か。アイスの角度、口の開け具合、計算して自撮りしたな?」


タケルは、レムがカメラ目線(美しい角度)で食べる姿に苦笑した。


「SNS映えしそうな写真ですね」


「ははっ。なんでも、絵画や石像の時代から美しく見れる角度を研究しているらしいぞ」


「レムさんって長生きなんですね」


ナオは、涙を拭きながら笑った。

どこか吹っ切れたような様子だった。


「ナオちゃん、ユー子と遊んできなよ。あいつ暇だし、女の子同士で遊ぶなんて、すごく喜ぶと思うんだ」


タケルは、ナオから離れると椅子に座って優しく微笑んだ。


「……はい、私もユー子と遊びに行きたいです。ユー子が何を感じているのか、どうしたいのか知りたい」


「そうそう。いっぱい遊んでユー子のことを知ってみてよ。それが、ユー子の願いだと俺は思っているよ」


タケルは、席を立つと食べ終わった食器をシンクに入れて、コーヒーを入れる。


「ユー子の願い……」


「あぁ、ユー子、SNSで注目されたい!みんなを驚かせたい!ってよく言ってる。それは、自分を知ってもらいたいっていう願いなんじゃないかなっていうのが、俺の想像!」


「ふふ、そうですよね。幽霊の友達かぁ〜、それも楽しそうですね」


「そうだとも!ユー子たちはまだ帰ってこないと思うけど、どうする?ここで待つ?」


タケルは、ここにいてもいいと、優しく微笑んだ。


「いえ、明日も仕事ですし、今日は帰ります」


「そっかぁ……じゃあ、一緒にシュークリームを食べよう。その後、車で家の近くまで送るよ」


タケルはコーヒーとシュークリームをテーブルに置いた。


「えっ……送ってくださるんですか?」


「あっ、家の近くじゃなくてもいいよ。駅でも。ただもう外が暗いから……」


タケルは、慌てて手を振りながら、ナオの反応を伺った。


「ふふ、家までお願いしてもいいですか?助かります」


(タケルさんなら、家バレなんて気にしないのに。タケルさんも気を使いすぎだよ)


ナオは、タケルの慌てた様子に思わず笑ってしまう。


「あぁ、もちろんだよ!お嬢様をしっかりと送迎させて頂きます」


タケルはおどけた表情で、胸に手を置くと仰々しくお辞儀をする。


「あははは。ありがとうございます」


シュークリームを食べ終わる頃に、ユー子から再びメッセージが届く。



ーーーーー


【yuu ko】


湖で花火やったー。

レムが、不思議空間から取り出したんだー。

しかも、悪霊たちに向かって打ち上げたんだよー!!


レムってドSなのかも?(°▽°)


ーーーーーー


レムが何かに向かって花火を投げつける写真が添付されていた。


ーーーーー


【takeru】


火の後始末、ちゃんとやれよ。

使い終わった花火は回収しろよ。


あと、生き物に、花火向けんなよ。


ーーーーー


【yuu ko】


わかったー!レムに言っておくー!

ここの除霊も終わったから(レムが花火で散らした)

次の現場に向かいます!(`_´)ゞ


ーーーー


「これは、完璧楽しんでるな……」


そう呟くと、タケルは写真をナオに見せる。


「ふふふ……本当に楽しそうですね……そういえば、レムさんってどれくらい存在しているんですかね?」


「……それは知らないな。平安京には来てたらしいけど……千年単位で存在しているらしい」


「……悪魔って長生きなんですね。エルフとか魔法使いとか会ったことあったりして……」


ナオのつぶやきに、タケルは目を丸くする。


「ナオちゃんって、ファンタジーとか好き?」


「はい!魔法とか妖精とか結構好きで、RPGや漫画、アニメが好きです」


「そうなんだ〜。俺もゲーム好きだし、ファンタジーアニメとか映画とか観るし、漫画も読むよ」


「そうなんですね!おすすめのファンタジーアニメとかあります?」


「ちょっと古いアニメだけど………」


意外な共通点を見つけた二人は、ナオの家に着くまで、途切れることなくファンタジーな話を続けた。



*****



ナオは家に着いてから、タケルとの会話を思い返した。


タケルさん、すごく大人だな。良い人だし、おもしろい人。相談して良かった。


次の休み、ユー子を誘って遊びに行こう。


何がいいだろう。

パンケーキは好きかな。


カラオケは?

ショップ巡り?


ナオは、ユー子のアカウントを開くとメッセージを送った。

ナオはユー子の苦しみや悲しみを想像してしまいましたが、タケルと話しているうちに、パンケーキが好きか考えるようになりました。

きっと、その方がユー子も喜びます。


読んで頂きありがとうございます。

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