第四話 真意
「……それからと云うもの、サタナエルは俺の目の前で下僕達を拷問に掛け、下僕になれと誘い続けた。それを拒み続けた故、度重なる拷問に耐えきれずに残った五匹の下僕達は次々と死んで行った」
アスタロトの目には微かな涙が光っていた。
「何度も死のうとしたのだ。何度もな。だが、その度に下僕達に止められた。そして最後に死んだ下僕が云い残した言葉が俺の考えを変えたのだ。俺達の敵を、殺された仲間の敵を討って欲しいと、そう云い残した言葉がだ。だから約束したのだ。その下僕だけではなく殺された下僕達の為に、必ずやサタナエルの首を獲ってやるとな」
「それでサタナエルの下僕となったのか?」
ルシフェルが訊く。
「そうだ。敢えて下僕となったのだ。その方が奴に隙が生まれるであろうし、奴に近付くにはそれが最善であろうからな。何より、奴の不死身の秘密を解く為でもあった」
「不死身か。神も死ぬのだ。はったりに決まっておろうな」
「やはりお前もそう思うか。だが、その秘密が分からねば奴の云う通り不死身である事には変わりないし、殺せぬと云う事だ」
「確かにそうだ。それで、その秘密とやらは判ったのか?」
「判ればとっくに殺している。ヴェールの国を落とした後、奴はこの城が気に入り、玉座に座ったまま全くその場を動かなくなった。その事で秘密を探る所か襲う隙さえ生まれなくなってしまった」
「それでサタナエルを殺すのを諦め、我の手で死のうとしたと云う訳か? そうすれば死した下僕達に行けるからな。そこで詫びるか? サタナエルを殺せませんでしたとな」
ルシフェルの言葉は明らかな皮肉であった。
「確かに俺はこの手で奴を殺すのを諦めた。だが、奴を殺すことを諦めた訳ではない。ただ考えを変えたのだ。この手で殺せぬのなら他の誰かの手で殺させればいいとな」
「他のとは、まさか貴様……!?」
「そうだ。俺は攻め入る国の中や攻めて来る国の中にサタナエルを殺せる力を持つものを探していた。今まで出会う事はなかったがな。そんな折、お前が天界から堕ちて来たのだ」
「つまり我を試したと云う訳か? 瀕死の重傷まで負わせて」




