第九話 声の主
ルシフェルはそのまま通路を進む。そして、行く先々の部屋に飛び込んでは向かって来た悪魔達を殺して行く。
「奴は何処だ」
新たに飛び込んだ部屋は、数本の柱が立っているのがようやく判る程の薄暗い部屋だ。
「誰か居る……奴か?」
警戒しながら部屋の中央に歩を進める。すると、一本の柱の陰からゴブリンが駆け出し、斧で斬り掛かって来た。
ルシフェルは振り下ろされた斧を軽々と躱すと同時に、爪でゴブリンの喉を搔き切った。
間も置かずに別の柱の陰から駆け出して来たヒュポクトニアが槍で突き掛かって来たが、これも軽々と躱し、その心臓を貫いた。
更に間も置かず、今度は別の二本の柱の陰からガーゴイルとゴブリンが同時に飛び出して来た。
飛び上がったガーゴイルが前から槍で突き掛かり、背後からゴブリンが斧で斬りかかる。しかし、その斧がルシフェルの登頂に振り下ろされた刹那、ルシフェルの姿が忽然と消えた。
ゴブリンの斧が床に突き刺さった所に、前から飛び迫って来たガーゴイルの槍がゴブリンの頭部を貫いた。
「しまった!」
思わず槍から手を放したガーゴイルの背後に、上から降下して来たルシフェルが、ガーゴイルの体をその爪で貫いた。
ルシフェルは静かに床に舞い降り、辺りを見廻すが、もう襲って来る者は居ない。
「ここも違ったか」
部屋の入り口に歩み出す。しかし、
「やはり生きて戻ったか」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「その声、忘れはせぬぞ」
怒りに変わった顔が、ゆっくりと後ろを振り返る。




