第七話 策は一つ
サバタイの国が陥落して二日が経ち、ルシフェル達の傷も完治した。
ルシフェル、ルキフグス、マルコキアス、カレガタナスの四匹は、数百匹のプロセルピーヌの下僕達を率い、サタナエルの城へと向かっていた。
飛ばずに徒歩で川を遡り、森の中を進む。
やがてサタナエルの領土内に足を踏み入れると、行く先々に巡廻するサタナエルの下僕達の姿があったが、見つかる前に捕え、その口を封じた。
そう時間が経たず、その先にサタナエルの城が見える所までやって来た。
城から少し離れた所でルシフェルが手を上げ、全体の歩みを止めさせる。
「さて、どうするつもりだ?」
マルコキアスが訊く。
「決まっておろう」
ルシフェルが見せる笑みに、マルコキアスは嫌な予感を覚える。
それが、ルキフグスの言葉で予感ではなくなる。
「正面突破だな」
「待て! 待て! 今まで見つからぬように来たと言うのに、どうしてそうなるのだ?」
「別に今まで隠れていた訳ではない。飛べぬ者が居るから、ただ歩いていただけだ」
「なら、どうして巡回の者達の口を塞いだのだ?」
「どうせ死に行く者達だ。何処で死のうと同じであろう」
ルシフェルの余りに単純な理由に、マルコキアスは言葉を失う。
「考えてもみろ。奇襲を掛けるにはこの数では多かろう。逆に分散して戦うには数が少な過ぎる。ここは真っ向から行くのが最善だ」
「考えてないようで考えている。摑み所のない奴だ」
カレガタナスが愉快気に笑みを見せる。
ルキフグスとカレガタナスもルシフェルの案に賛同のようで、この三匹に国の命運を託さねばならぬ今、これ以上マルコキアスに反対する術もなかった。
ルシフェルの指示で森の中から上空にハルピュイアとガーゴイルの群れが飛び出すと、城の入り口付近にいるガーゴイル達が早々に姿を捉える。
「敵襲!」
騒ぎ立てる声に、城の中からガーゴイルやゴブリン、ヒュポクトニア達が次々と湧き出して来る。
それに合わせて向かいの森の中から、ルシフェルとルキフグス、カレガタナス、そして魔獣に姿を変えたマルコキアスを先頭に、残るプロセルピーヌの下僕達が駆け出して来た。
城の前で両軍入り乱れての戦いの火蓋が切って落とされた。




