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堕天使物語 -サタン誕生-  作者: 平岡春太
 第五章 それぞれの戦い

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 第七話 策は一つ

 サバタイの国が陥落して二日が経ち、ルシフェル達の傷も完治した。

 ルシフェル、ルキフグス、マルコキアス、カレガタナスの四匹は、数百匹のプロセルピーヌの下僕達を率い、サタナエルの城へと向かっていた。

 飛ばずに徒歩で川を(さかのぼ)り、森の中を進む。

やがてサタナエルの領土内に足を踏み入れると、行く先々に巡廻するサタナエルの下僕達の姿があったが、見つかる前に捕え、その口を封じた。

 そう時間が経たず、その先にサタナエルの城が見える所までやって来た。

 城から少し離れた所でルシフェルが手を上げ、全体の歩みを止めさせる。


「さて、どうするつもりだ?」


 マルコキアスが訊く。


「決まっておろう」


 ルシフェルが見せる笑みに、マルコキアスは嫌な予感を覚える。

 それが、ルキフグスの言葉で予感ではなくなる。


「正面突破だな」

「待て! 待て! 今まで見つからぬように来たと言うのに、どうしてそうなるのだ?」

「別に今まで隠れていた訳ではない。飛べぬ者が居るから、ただ歩いていただけだ」

「なら、どうして巡回の者達の口を塞いだのだ?」

「どうせ死に行く者達だ。何処で死のうと同じであろう」


 ルシフェルの余りに単純な理由に、マルコキアスは言葉を失う。


「考えてもみろ。奇襲を掛けるにはこの数では多かろう。逆に分散して戦うには数が少な過ぎる。ここは真っ向から行くのが最善だ」

「考えてないようで考えている。摑み所のない奴だ」


 カレガタナスが愉快気に笑みを見せる。

 ルキフグスとカレガタナスもルシフェルの案に賛同のようで、この三匹に国の命運を託さねばならぬ今、これ以上マルコキアスに反対する術もなかった。

 ルシフェルの指示で森の中から上空にハルピュイアとガーゴイルの群れが飛び出すと、城の入り口付近にいるガーゴイル達が早々に姿を捉える。


「敵襲!」


 騒ぎ立てる声に、城の中からガーゴイルやゴブリン、ヒュポクトニア達が次々と湧き出して来る。

 それに合わせて向かいの森の中から、ルシフェルとルキフグス、カレガタナス、そして魔獣に姿を変えたマルコキアスを先頭に、残るプロセルピーヌの下僕達が駆け出して来た。

 城の前で両軍入り乱れての戦いの火蓋が切って落とされた。

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