第三話 決着
機を見たのか、少し離れて見ているマルコキアスが飛び出そうとするが、ルシフェルが行く手に手を伸ばして静止する。
「どちらに加勢するつもりだ? お前はどちらの味方でもあるまい」
「いや、今ならば二匹同時に始末出来るのではないか?」
「ならば尚の事、止めておけ。しくじれば両方と相手をする事になるぞ」
「ほう、では、残った方と戦う訳か? 残ったものとて手負い、その方が楽ではあるが、魔王となると云った者の考えとしては何とも姑息な」
皮肉を言うのはルキフグスだ。
「まあ、ここは地の底。どんな手を使おうが非難はされまいが」
「いや、戦いはこれで終わるであろう」
「終わる? 相討ちにでもなると云うのか?」
「そうではない」
「ならば、どう云う意味だ?」
「見ておれば分かる」
「お前は一体何を考えておるのだ?」
サバタイの剣が目の前に迫る中、カレガタナスは姿をゴブリンに変えた。
一気に倍以上に太くなった首に、巻き付いていたサバタイの手の鞭は引き千切れた。
元に戻ったサバタイの手の五指は無くなり、どす黒い血が流れている。
「お前に教わったのは昔の話だ。いつまでも昔のままと思うなよ!」
「ほざくな!」
千切られた五指が新たに生え、再び鞭に姿を変え、カレガタナスに振るわれる。
それをカレガタナスは素早くゴブリンからガーゴイルに姿を変えて飛び上がって躱し、サバタイに迫って斬り掛かる。
躱そうとしたサバタイの背中をカレガタナスの剣が切り裂いた。
致命傷ではなかったが、サバタイはもんどりうって倒れ、その両手は元に戻る。
「背中が! 背中が!」
床の上で悶え苦しむサバタイの傍らに舞い降りたカレガタナスは、元の姿に戻る。
「私が今まで受けた痛みはこんなものではない」
剣でサバタイの両腕を斬り落とす。
サバタイの悲痛な声が響き渡る。
「や、止めてくれ。私が悪かった。今までの事は謝る。今後は罰など与えたりはせぬ。いや、お前の下僕になっても良い。だから許してくれ」
カレガタナスはゆっくりと剣を振り上げる。が、少しそのまま動かず、剣をサバタイに向ける事なく下ろしてしまった。
「甘いわ!」
サバタイは座った姿勢のまま片足を剣に変え、カレガタナスに向けて突き出した。
但し、その剣が届くより早く、カレガタナスの剣がサバタイの首元を一閃した。
「お前が私を知っているように、この私も、お前の事をよく知っているのだぞ。何をしようとしているか、全てわかる」
一瞬固まったように動かなくなったサバタイが倒れると共に首から頭が離れて転がった。




