表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堕天使物語 -サタン誕生-  作者: 平岡春太
 第三章 大女悪魔

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/37

 第六話 スキュラ

「そこに居るスキュラとどちらかが動けなくなるまで戦い、スキュラが勝てば妾が申した条件を全て飲んで貰う」

「我が勝てばどうなる?」

「そなたの傷が完治するまで城に居る事を許そう。その間、傷の治療に全力を尽くさせる。傷の完治が早ければ、サタナエルに借りを返すのも早くなろう。どうじゃ? 己の力に自信があるのなら悪い話ではなかろう」

「上手い申し出だな」


 最後の言葉で断れなくなった。

 断れば己の力に自信が無いと言っているようなものだ。


「いいだろう」

「スキュラ、お前達も異存はなかろう。直に戦ってみれば其奴の力も分かるじゃろうて。文句があるのならば、その後でも良かろう」

「分かりました」


 一つの頭が同意の言葉を口にすると共に他の五つの頭も(うなづ)いて見せる。


「ほう、六対一か。丁度良いハンデだな」

「何を云っておる。お前はまだ万全の体をしておらぬのに、ハンデを付けるのはこちらの方じゃ」

「何ぃ?」


 プロセルピーヌの言葉に、ルシフェルは眉を顰めると共に怒りを見せる。


「スキュラは水中の方が戦いやすい。そこで、スキュラには水に入る事を禁ずる。良いな?」

「承知しました」


 声を揃えた六つの頭が一斉に勢い良く上方に持ち上がり、その下から水飛沫(しぶき)を上げて黒く巨大な物体が水の中から姿を現した。

 現れた漆黒の巨大な物体がルシフェルの前の床に乗り上げ、重量感のある音を響かせると共に床を激しく揺らす。


「頭は六つなれど我等は一心同体ぞえ」


 下半身は巨大な黒い蛇、上半身は豊満な胸を持つ女のそれに似ていたが、肌の色は下半身と同じ黒く染まり、蛇の鱗のような物が見える。

 両手の五指に生える爪は獣のそれと同じく鋭く尖り、体から六つに分かれて伸びる長い首のそれぞれの先に、水面に浮かんでいた六つの頭があった。

 ルシフェルもかなり大柄だが、対峙(たいじ)するスキュラの体は更に大きい。


「なるほど、確かに一対一だな。だが、我にハンデなどいらぬ」

「口だけは達者な━━」


 スキュラの頭の一つが言い切る前にルシフェルは駆け出していた。

 それも一瞬にしてスキュラに迫った。しかし、その右手が振り上げきる前に、ルシフェルの体は横に勢い良く飛ばされ、壁に激しく叩き付けられた。

 背後にあったスキュラの尾が、いつの間にか前方に廻っていた。


「不意を衝いてその程度か。話にならぬ」

「こんな奴、力にはなりまえぬぞ」


 次々と罵声を浴びせるが、ルシフェルが向けた鋭い視線に思わず息を飲む。


「高々一撃をくれたぐらいで図に乗るなよ!」


 ルシフェルが大きく振るった右手が突風を巻き起こし、一直線にスキュラに吹き付けた。

 単なる風━━スキュラが甘く見て無防備に身に受けたその風は、風の刃と化してスキュラの体を切り裂いて吹き抜けて行く。

 スキュラの六つの頭が一斉に苦痛な声を洩らす間に、その視界からルシフェルの姿が忽然と消えた。


「スキュラ、何をしておる。上じゃ!」


 頭の一つが見上げた時、既に降下して来たルシフェルが、右手の五指の鋭い爪を閃かせる。

 プロセルピーヌの声で少し身を引く事が出来たが、胸元をルシフェルの爪が引き裂いた。

 再び六つの頭から悲痛な声が洩れるが、スキュラもただでは終わらない。

 スキュラは床に舞い降りたルシフェルの体に自らの尾を巻き付け、透かさず体を後ろに倒し、ルシフェル共々大きな水飛沫を上げて水の中に落ちて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ