表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堕天使物語 -サタン誕生-  作者: 平岡春太
 第二章 死線

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/24

 第二話 ヴェール

「元城主だと?」

「そうじゃ。長い間儂はこの辺りを治める一国の王であった。じゃが、数年前あのサタナエルが攻め入り、下僕の殆どが殺され、儂はここに投獄されたと云う訳じゃ」


 情けない奴、ルシフェルは思いつつも、自らも牢に入れられた事もあり、口にはしなかった。


何故(なぜ)貴様は殺されずにここに入れられた?」

「儂には長い間に知り得た豊富な知識がある。魔王を目指す奴にとって、その知識が必要なのじゃろう。従う気など毛頭ないがのぉ」

「それでここに入れられたと云う訳か」

「お主はどうしてじゃ?」

「下僕になれと言われ、断っただけだ」

「それで殺されずにここに入れられるとは、それなりの力はあるようだのぉ」

「当然だ。我は魔王となるのだからな」

「魔王とは大きく出たな。じゃが、同じ野望を持つサタナエルに勝てぬようでは、その夢も叶わぬぞ」

「飛べさえすれば……飛べさえすれば遅れなど取らなかった。翼があると云うのに何故飛べぬのだ!」


 思わず少し荒げた声が地下に響き渡り、幽閉している悪魔達が驚く。


「新入り、うるさいぞ!」


 ルシフェルから見える普通の牢に居るガーゴイルが鉄格子の近くに来て怒鳴って来た。しかし、ルシフェルが軽く(にら)みを利かせると、背後に広がる暗闇の中にすごすごと下がって行った。


「ほぉう、たった一睨みでガーゴイルを畏怖(いふ)させるとはなかなかのものじゃのぉ。それなりに名が知れておると思うのじゃが、とんと儂の記憶にない。お主、名は何と申す?」

「名は捨てた」

「捨てた? 名がないと云うのか? 羽があるのに飛べぬ事からして、もしやお主、天界(うえ)から堕ちて来て間がないのではないのか?」

「つい先頃堕ちて来たばかりだ」

「そうか。口調からして魔界(ここ)で生まれたか、随分前からここに居るのかと思うておったのじゃが。まあ、そう云う事ならそう焦る事もない。(いづ)れ飛べるようになるじゃろうて」

「どう云う事だ?」

天界(うえ)から堕ちて来て悪魔になった者は直ぐにその体に馴染めず、以前に持っておった力そのものを出す事も出来ぬ。特に翼を持つ者はその翼が異種なる羽に変わるのじゃ。その飛び方もまるで変ってしまうのじゃよ。直ぐに自由に飛び廻れるはずもなかろう。飛びたければ以前の飛び方を忘れる事じゃ。儂は羽が無いので詳しくは教えられぬがな」


 それを聞き、ルシフェルは哄笑する。

 その声も響き渡るが、今度はもう反発する声もない。


「そうか、飛べるようになるのか。ならば、サタナエルやアスタロトなど取るに足らぬわ」

「凄い自信じゃな。じゃが、ここを出なければ何にもならぬぞ」

「こんな所、直ぐにも出てくれるわ」


 ルシフェルは再び鎖を引き始めた。しかし、まるでびくともしない。


「無駄じゃよ。儂やお主を繋いでおる鎖は、この魔界で最も硬い魔剛石(マンモタイト)で作られておる。そう簡単に切れる物ではないぞ」


 忠告も耳に入れず、ルシフェルは鎖を引き続ける。


「全く無茶と云うか無謀と云うか、ものを知らぬ奴よ。そんな事に無駄な力を使っておると()()には耐えられぬぞ」

「あれだと?」


 ようやくルシフェルが動きを止めた時、突然城が大きく揺れ始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ