勳七等青色桐葉章
西南戦争を新政府軍の勝利で終わらせるのに一役かった藤田五郎警部補は熊本の病院から東京の病院に転院していた。
「父上!」
「あなた?また無茶したのね?」
「時尾?勉?剛と龍雄は家か?」
「あぁ。本当生きてて良かった。負傷の報を受けた時は心の臓が飛び出す気持ちでしたよ。」
「案ずるな。そう大した怪我ではない。」
「父上?包帯がぐるぐる巻きですが?」
「ほれ!この通り!あ痛たた…。」
「お勤めご苦労様でした。」
「父上は警官をお辞めになるのですか?」
「いや、その気はない。怪我が治り次第職務に復帰するつもりだ。」
「お?杉村殿!」
「敵弾を受けながら大砲二門を奪ったと聞いた時にはゾッとしたが、流石は藤田警部補だな。小さな息子三人と嫁さんを残して死ぬはずはないと思っていたが、あの頃(新選組時代)と何ら変わりは無いな。ここぞと言う時の勝負強さ、悪運の強さも健在じゃな。」
「杉村殿にも来て欲しかったですよ。」
「銃後の老人を捕まえて何を言うか。」
「土方さんや近藤さんが生きていれば、もっと楽に士族の一揆など抑え込めた事を。」
「敵(西郷軍)はそんなに大した事は無かった様じゃの?」
「数の力で新政府軍は西郷軍を圧倒していました。」
「俺達(新選組)が殺られた様にか…。」
「はい。まるで戊辰戦争の時の様でした。」
そして時は流れ明治12年(1879年)10月8日藤田五郎は日本政府から勳七等青色桐葉章と賞金100円を授与された。
「大した事はしてませんが?」
「何を言うか?日頃からの献身的な仕事ぶりが政府から評価されたんじゃないか?」
「七等ですよ?それにこんな端金。」
「ここは黙って受け取っておけ。気に食わないかも知れないが、立派な勲章ではないか?」
「そうですよ貴方?敵弾に倒れなくて良かったですね。」
「時尾も杉村殿もこの私にまだ無茶をせよと?」
「そうではない。貰えるものは貰っておきなさいと忠告しているだけだ。」
「こんな機会滅多に無いぞ?確かに貰えるのが七等でもだ。」
こうして藤田五郎警部補は勳七等青色桐葉章と賞金100円を正式に受け取る事になった。
「うーむ。まだ解せぬが。」
と、五郎はまだ咀嚼しきれていなかった。




