西南戦争③
「彼は有能な剣豪だったよ。あれは西南戦争の時だったかな?切り込みの際に敵弾で負傷するも、敵の大砲二門を奪う活躍を見せて奮戦したんだよ。」
近代兵器を前にしても五郎は臆することなく戦った。だがその傷が原因で戦線からは離脱を余儀なくされた。
「それがこの傷さ。」
「つくづく貴様は運の良い男だな?」
「日本での内戦はとりあえずこれで一区切りつくだろう。士族達も新政府軍の強さは身に染みただろうしな。」
「そんな事より藤田警部補はこれからどうするのですか?」
「うーん。まぁまだ子供も小さいしな。警視庁に残ろうと思っているよ。それにこの仕事それなりに気に入っているんだ。と言うか、これしか出来ないと言った方が良いのかも知れないが。」
「流石だな。元新選組3番隊組長は。」
「もうあの頃の様な無茶は出来なくなっていますがね。」
「俺も身の振り方は考えないといけないな。」
「永倉…いや杉村さんもまだ何も決めていないんですが?」
「一応これでも道場の師範代なんだぞ?飯には困らない程度の収入はある。」
「互いに新時代の身の処し方には苦労しているみたいですね?」
「まぁ、本来なら京都、いや何処で死んでもおかしくはなかったからな。」
「皆、逝ってしまいましたからね。」
「良い奴から死んで行く。それが世の常よ。」
「それより、警部補はこんな所であぶらをうっていて良いのかい?」
「それならお構いなく。怪我の療養って事で休みもらってますから。そうだ!今度土方さんの墓が日野に出来るらしいんです。一緒に行きませんか?」
「そうだな。あの人がいなきゃ新選組は空中分解していたからな。藤田警部補はどちらかと言えば、近藤派より土方派だったもんな。」
「そう言う杉村さんだって土方派じゃないですか?」
「そんな時代もあったな。それより、西南戦争も落ち着いた事だし、今日は家で飯でも食って行けよ。」
「はい。良いんですか?」
「ワシも出来すぎた嫁を貰ってな。」
「へぇー。自分の嫁の時尾に似ています。」
「物凄く優しくてな。とにかく仏の様な奴なんじゃ。そうだ!今度は子供を連れて来ると良い。面倒見は良いし、お互い家族の様なものではないか?」
「妻と相談してみます。」
「久し振りに旧友と再会したんじゃ。1日位付き合え!」
「はい!」
「お前は組織に…。」
と、まぁ杉村はベロンベロンに酔って藤田警部補に絡んだが、構わずに下戸の藤田警部補は茶ばかり飲んでいた。




