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藤田五郎警部の幕末回顧録〜誠に生きた男達〜  作者: 佐久間五十六


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佐賀の乱

明治7年(1874年)江藤新平が佐賀の乱を起こした際に大警視川路利良の命により、五郎は旧薩摩藩士室田景辰と共に探索に向かった。


「室田殿よろしくお願いします。」

「藤田殿よろしく頼む。」

(この人何処かで見たような…。)

「まだ警視庁に配属されて日が浅い。至らぬ所もありましょうが、そこはカバーして貰いたく存じ上げます。」

(左片手平突き…?もしや?)

「藤田殿は警視庁に来る前は何をしていたのですか?」

「隠しても仕方ない。明治3年位までは新選組に。その後は斗南藩士としてうだつのあがらない日々を過ごしていました。」

「もしやそなた新選組3番隊組長斎藤一ではないか?」

「名前を変えても知っている人は知っているものですね。そうです。藤田五郎と言う名前を拝借するまではそう名乗っていたな。」

「自分の様なもと元薩摩藩士でも聞きしに勝る所。」

「大した事は無いです。運が良かっただけです。」

「いや、運だけじゃあの幕末は乗り切れない。相当な実力があったからこそ、警視庁に入れたのでしょう。」

「川路さんには色々と世話になっていますからね。今回の件だって一度は断ったんですよ?」

「まぁ、確かに今の階級(巡査)で臨める案件ではありませんね。」

「ピストルよりも鬼神丸国重こっちの方がしっくりくるので特別に帯刀を許可して貰いました。」

「藤田殿は…しっ!」

「誰か来ますね。」

「こんな時間に何をしているのだろう?」

「まさか…江藤!?」

「殺りますか?」

「いや、ここは離脱しましょう。」


「江藤の潜伏場所が分かったぞ!」

「お手柄じゃねーか藤田巡査!」

「あんまり危ない橋は渡りたくないのだが…。」

「室田殿も一緒にいましたし、たまたまっすよ。」

「家に帰れば乳飲み子がいるってのに、すまねぇな?藤田?」

「川路さん?大警視の貴方が何故現場に?」

「この戦いには警視庁の威信がかかっているからな。本来なら陸軍や海軍の仕事なのだが、どちらもまだ健軍して間もない。大日本帝国が生まれた今、明治の新時代の世を守るのは、我々警視庁だ。それは分かってくれ。」

「腕は鈍っちゃいねーよ?だが2、3人はやってしまっただろう。藤田?」

「みね打ちのつもりだったんですけどね?打ち所が悪かったのでしょう。」

「お前はやっぱりあの頃(幕末)と何ら変わってないな。」

「そんな簡単に人は変われませんよ。」

「じゃあついでだ。江藤の首をここに持って来い。」

「本気で言ってます?」

「そのくらい訳ないだろ?」

「何人か連れて行っても良いですか?」

「あぁ。ただし失敗はするなよ?」

「江藤の位置は把握済みです」


と言って藤田は佐賀の乱の首謀者江藤新平を造作も無く討ち取っていたのであった。

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