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藤田五郎警部の幕末回顧録〜誠に生きた男達〜  作者: 佐久間五十六


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西南戦争①

明治10年(1877年)2月。西南戦争が起こる。同月20日内務省警視局で藤田五郎は警部補に昇進。同年5月別動第三旅団豊後口警視徴募隊二番小隊班隊長として、西南戦争に参戦する。その2月前五郎は杉村義衛すぎむらよしえと名前を変えた元新選組2番隊組長永倉新八と会っていた。


「永倉、いや今は杉村義衛だったな。」

「ハッハッハ。貴様とて今は藤田五郎と名前を変えたじゃないか?」

「松平容保様から頂いた大切な名前だ。」

「で?一介の警部補がこんな所で何してる?」

「ここだけの話だぞ?5月に薩摩で起きた西南戦争に派遣される事になったので、杉村殿に報告しようと思ってな。」

「死を覚悟しての事か?」

「まぁ、それもあります。」

「家族が出来たと聞いているが?」

「3年程前に2回目の結婚をしてな。子宝に恵まれた。」

「新選組最強の男も人の親か…。」

「そう言う杉村さんだって身受けして人の親ではないか?」

「まぁ、今は幕末の頃とは違い、命のやりとりをする様な前線からは退いたからな。だから未だに前線にいるお前さんを本気で尊敬しているよ。」

「時代は変わったが、俺の中では何も変わってはいない。戦う仲間が変わっただけの事。それから主君もな。」

「薩長が作った明治新政府は最初は懐疑的で全く信用していなかったが、信頼出来る人の仲介もあり、拾ってもらった。でもまた、前線に行くとは思わなかった。」

「33歳か…。丁度全盛期の近藤さんや土方さん達と同じ年齢になった訳だ。」

「杉村さん?もし自分に何かあったら、東京にいる家族の事を気に留めてやってくれないか?」

「安心しろ藤田。銃後の事は気にせず西郷を倒して来い。」

「まさか明治になって西郷と戦うとは思っても見なかったがな。」

「まぁ、西郷とて侍のはしくれ。何かの不都合か不愉快な事が新政府内であったのかもな。」

「その刀まだ持ってたのか?」

「あぁ、一回ボロボロになったが、打ち直して使っている。鬼神丸国重は同士の様なもの。警官と言う事もあり、特別に帯刀を許可してもらっているよ。」

「最近の流行りかどうかは知らんがサーベルを持つと言うチョイスも出来たのでは?」

「西洋の剣はもろいんだ。その点日本刀は丈夫で長持ちしますからね。」

「おっと、もうこんな時間だ。そろそろ行きますね。」

「久し振りに会えて嬉しかったぞ。命は一つしかない。家族の為にも絶対に死ぬなよ?」

「はい!ありがとうございます!」

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