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藤田五郎警部の幕末回顧録〜誠に生きた男達〜  作者: 佐久間五十六


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次男藤田剛

貿易業で財を成した五郎の次男藤田剛は、妻ユキと共に幸せな人生を歩んだ。仕事柄海外での生活が長かった剛は、語学堪能で父五郎とは正反対の人生を歩む事になる。


帝国陸軍の少佐となった兄勉や五郎には当初貿易業を営む事を反対されていたが、母時尾の「これからの時代海は開かれるのです。」との言葉にひどく感銘を受けた次男剛は、物心がつく頃には英語の学習に夢中になっていく。


家を空けることの多かった剛だが、いつも隣には妻のユキの姿があった。 忙しい事は忙しかったが、年に一度は父や母に顔を見せに帰国していたと言う。


「剛?もう行くのか?」

「父さんが新選組で剣を振るったのと同じだよ?」

「使命と言う事か。」

「そう。海運業は新時代のビジネスだけど、相手にしているのは、外国人。」

「確かに外国人は我々日本を大きく動かした。」

「そうだよ父さん。僕の取引先は開国前も開国後も変わらない外国人が相手なのさ。」

「で?剛は何を日本に輸入しているんだ?」

「くそうず、つまり石油だよ。こいつわ金になる。汽車や車や軍艦もこれからは石油で動く時代になるよ?勉兄さんの陸軍にも戦車が配備される様になるよ?」

「戦は歩兵同士の争いだ。」

「古い古い。諸外国は既に石炭火力から石油にシフトしているよ?海軍の艦船も石油に変わるんだよ?」

「父さん、今はまだ無理だけど、人類が空や宇宙にだって進出する将来が必ず来るんだ。」

「剛?それはお前のユートピアの中での話だろ?」

「内弁慶の兄さんには世界の広さが分かっていないんだ。世界は広いよ。」

「剛?夢や希望も良いが現実は大切な事だぞ?」

「父さんも兄さんも侍気質が抜けきれてないんだよね。日本にいると分からない事も沢山あるんだ。僕は父さんや兄さんみたいに腕っぷしは強くないけど、外国語と言う武器ならある。」

「それは大した武器だな。」

「兄さん馬鹿にしてるけど、これ結構金になるんだぜ?兄さんが陸軍で貰ってる給料の数倍は稼いで貰ってるよ?」


貿易業で財を成した藤田五郎の次男剛は、父や兄とは全く違う道を歩んだが、妻ユキとその子供にも恵まれ幸せな人生を全うした藤田家一の破天荒者であった。


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