長男藤田勉
五郎と時尾の長男勉は、よく勉強が出来た。父の血が影響したのか陸軍士官学校へ進学し少佐にまで昇進した。
「父上は戦う事が好きなのですか?」
「否。戦う事しか知らなかった。他の選択肢は私には無かった。」
「勉?家の事もあって官費で行ける陸軍士官学校へ進学を決めたの?」
「いや、まぁ小さい弟が二人いるってのは陸軍士官学校を目指す理由ではなかった。俺は父さんみたいに弱い人を助け、御国の為に戦う道を選んだだけだ。まぁ、学費まで国が見てくれるなんてのも魅力だけどね。」
「勉?金の心配ならいらないんだぞ?」
「そうよ。勉?お金の事なら父さんのお給金でどうにでもなるのよ?」
「俺は強くなりたいんだ。陸軍士官学校へ行って心も体も鍛えたい。」
「良いのか?戦争になったら、真っ先に投入されるのは陸軍だぞ?」
「分かっております父上。でも陸軍士官学校を目指すなら今しかないんです。」
「それは確かだな。」
「父上許して下さい。」
「許すも許さねーもテメェの一回きりの人生じゃねーか?受けるだけ、受けてみたら良いさ。」
「勉強頑張るのよ?」
「何言ってんだよ母さん?俺の名前は勉だよ?」
「命を粗末にしたらあかんよ?」
「その通りだぞ勉?」
「まぁ親子の縁が切れる訳でもない。やりたいのを無理に防ぐつもりは毛頭ない。」
「父さんも時代が時代なら陸軍に入っていたんじゃない?」
「かもな。だが新政府軍の作った陸軍には入らないだろうな。」
「陸軍士官学校に合格したら、卒業するまで隊舎暮らし何だろ?」
「多分ね。でも実家も東京にあるんだし、いつでも帰って来られるよ。」
「まさかあの勉が陸軍に行くとはな…。」
「背に腹は代えられないな。」
「まぁ良かったじゃない。目標が出来て。」
「ベットするのは己の命何だぞ?」
「まぁ我々夫婦が喧嘩した所で意味は無いな。しかし、大変な事だぞ?」
「勉兄さんは偉いよ。経済的にも自立してやりたい事をやれるんだから。剛兄さんや俺(龍雄)とはレベルが違うよ。」
「勉強が出来たとしても入るのは軍隊何だぞ?わざわざ志願しなくても20歳になれば自然と徴兵されるのに…。」
それから一ヶ月後。勉が陸軍士官学校第9期の合格発表があり、勉は見事に合格した。
「兄さん!おめでとう!」
「ありがとうな。剛も龍雄もしっかり勉強しろよ?」
「父上、母上。見事やりました。」
「気を抜くなよ。これはまだプロローグにすぎない。」
「おめでとう勉。陸軍士官学校へ行っても体は大事にね?」
「母上もお元気で!」
こうして藤田五郎の長男勉は陸軍士官学校へ進学した。




