母成峠の戦い
「永倉さん?新選組もここまでですかね?」
「バカ言え。そんなもんはなるようにしかならんと何度も申しておるじゃろう。」
「ですが…。」
「まぁ、これ以上の抵抗は無意味かもな。でもまだ新選組には土方さんがいる。部下の俺達が事を決めるのは時期尚早だろう。」
「近藤さんは斬首でさらし首にされたそうですよ?」
「らしいな。さらわれた首を取り返しに土方さんも動いたらしいが、ガードが固く駄目っぽかったみてぇだな。」
「つーかここどこ?」
「会津の母成峠です。」
「初めて来る所だから、京都にいるのとは勝手が違うようだな。」
「それはそうですよ。でも新政府軍の奴等何が何でも新選組や会津藩を筆頭にした旧幕府軍をコテンパンにやっつけたいみたいですね?」
「反乱因子は…と言うよりもこれまでやられた分をやり返していると言う感じだな。」
「錦の御旗なんてこさえて、あれじゃあ旧幕府軍も躊躇いますよ。」
「攻撃した瞬間賊軍扱いだからな。分かっていてもあれは、躊躇うと言うよりもやる気や戦意を削がれる。」
1868年8月21日、ここ母成峠で新選組と会津藩の合同部隊が最後の反撃で、新政府軍を食い止めようとするが、強力な火力を擁する新政府軍になすすべも無く若松城下に退却を余儀なくされた。
「斎藤!ここはもう持たん。引け!」
「まだやれます!」
「駄目だ。これ以上は死人の山を作るだけだぞ。」
「クソッ!」
「永倉さん?刀の時代は終わったんですかね?」
「そうかもな。強力な銃や大砲の前に刀は無力だ。100年後、200年後どうなってるいるかは別としても、今は刀の時代は衰退の一途を辿っているのは確かだな。それより斎藤?お主の鬼神丸国重、刃こぼれが過ぎるぞ?」
「まともに手入れしてやる間もなく、ここまで戦って来ましたからね。」
「まぁ、ワシも人の事を言えた義理ではないのだがな。」
「ハッハッハ!」
「笑っちゃうよな?」
「何人斬ったんですか?」
「分からんが、お主には敵わないよ。」
「割と前線にいたつもりなんですが、これだけの刃こぼれ。」
「しかし、斎藤!ワシも貴様も悪運の強い野郎だな。」
「相当に運の強い剣士である事は自覚しております。」
「え?土方さんが猪苗代に?」
「斎藤!雑談をしている場合ではない。残った隊士と共に猪苗代に向かうぞ!」
「はい!直ぐ出立します。」
「と言う訳で、我々は猪苗代に向かう事になった。今まで世話になったな。」
「こちらこそ世話になった。ご武運を!」
こうして若松城下から土方歳三のいる猪苗代に新選組は向かう事になった。




