抵抗
土方さんと合流したのもほんのつかの間の出来事であった。土方さんは咸臨丸で蝦夷に向かって形勢の逆転を図った。斎藤や永倉さんは会津に残留し、新政府軍と戦い続けた。
「白虎隊?」
「あぁ…元服したての16、7の若者で構成される部隊だ。是非面倒を見てやってくれとの事だ。」
「誰に言われたんですか?」
「土方さんだよ。てっきり俺達も蝦夷へ行くものばかりと思っていたが、一部の隊士を選抜して行ってしまった。もう敵は会津まで来ているってのに、どうして一つにまとまらないんだ?」
「俺達が会津で粘れば、蝦夷で大逆転するシナリオを土方さんは描いているのでしょう。」
「だと良いんだけどな。」
「その為にもまだ、抵抗する意味はありますよね?」
「あぁ…。だが犠牲はつきものだ。特にあの白虎隊。軍事訓練もまともに受けた事の無いトーシロ(素人)だ。あんな奴等を戦場に送っても結果は目に見えている。悪い事は言わない。今直ぐに白虎隊は解散すべきだ。」
「自分も永倉さんと同じ考えです。せめて鉄砲を撃てるのなら、戦力にカウントダウンしてもよろしいでしょうが、剣の腕はからきしですしね。」
「斎藤、永倉、白虎隊の事は気にせず新選組は新選組で戦ってくれ。」
「よろしいのですか?」
「会津の若者だ。白虎隊は会津藩の傘下に入っておる。」
「しかし、うちの土方が申していたのでは?」
「とにかく状況が変わった。白虎隊の事は気にするな。」
「斎藤!」
「永倉さん?」
「急ぎ新選組全員を会津若松城に!」
「どうしたんですか?」
「新政府軍の奴らに四方を固められている。」
「一気に来ますか?」
「分からん。だが斥候の集めた情報によると、約5万人の新政府軍兵士が、南と西、そして北から砲撃の準備が終わった様だ。」
「うわっ!?本当だ。」
「寝てる場合じゃねー。皆、起きろ!」
「永倉さん?この包囲網をかわす方法はあるのですか?」
「南と東の方には一点突破出来そうにない。やるなら手薄な北か、西しかない。」
「会津を抜けるんですか?」
「そりゃあそうだろ?」
「松平容保様をおいて逃げる訳には行きません。」
「なら、ここで抗戦するのか?」
「松平容保公は我々新選組の主君ですよ?」
「分かったよ。残って戦うよ。でも責任持てないぞ?斎藤。ハッキリ言って戦力差があり過ぎる。」
「分かってますよ。粘るのも限界が近い事も。」
「白虎隊…全滅したって。全員自害。」
「馬鹿だな。」
「俺達はそうはならないぞ!」
「食料も弾薬もまだある。とにかく応戦だ!」
こうして斎藤達新選組の残党は、土方隊らが蝦夷で準備する 時間を稼いでいた。




