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藤田五郎警部の幕末回顧録〜誠に生きた男達〜  作者: 佐久間五十六


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油小路事件

「斎藤!困ったら御陵衛士の金でも盗んで組に逃げてもいいぞ?」


ジョーク気味の土方の話をまともに実行する。それが斎藤一と言う男であった。斎藤は御陵衛士から新選組に復帰する際、土方のジョークを実行。金に困り逃げた様に見せかける為の行動だと思わせた。伊東甲子太郎ら御陵衛士のメンバーは、この斎藤の裏切りについて激怒した。


「安心しろ斎藤。バックには新選組がいる。」

「はい。」


「俺はどうも怪しいと思っていたんだよな。ねぇ?伊東の兄貴?」

「まぁ、起こってしまった事は仕方無いな。私ははなから斎藤は間者だと思ってあえて受け入れた。改心してこちら側についてくれると信じていたが、駄目だった様だな。」


「油小路で伊東暗殺だと?」

「このまま御陵衛士を残しておけば、芹沢の時の様になるぞ?」

「そりゃあ分かっているけど、御陵衛士の中には平助もいるんだぞ?」

「ここは組の為だ。致し方ない犠牲だ。」

「斎藤?それマジで言ってんのか?」

「御陵衛士をこのまま野放しにしておけば困るのは、分隊を許した新選組本隊にも及びます。」

「決行日は1867年(慶応3年)11月18日。いいな?」

「えー?」

「総司?嫌なのか?」

「僕だけじゃないでしょ?藤堂さんを斬るのは?」

「俺も平助を殺るのは反対だ。」

「原田さん!?」

「左之助?上手くやれば平助は斬らず伊東だけ斬られる。」

「そんな事不可能ですよ?御陵衛士の持つ思想は危険因子です。」

「斎藤?自分が間者だったからと言って見境なく人は切れないぞ?」

「誰も殺らねーなら俺が消す。」

「斎藤は本気だ。私も油小路での御陵衛士殲滅作戦には賛成だ。各々思う事はあるかも知れないが、斎藤のもたらした情報を元に油小路でまず伊東を殺る。そこに集まった御陵衛士のメンバーを一人残らず斬る。残念ながら平助も斬らねばなるまい。いいな?」

「御意。」


こうして御陵衛士のメンバーはほぼ全員(不在者あり)粛清された。平助も最後まで投降を促したが、聞く耳を持たず斎藤の愛刀鬼神丸国重の左片手平突きの前に屈した。


「これで良かったんですか?」

「それは100年、1000年後の未来の人が判断してくれる。」

「平助!!」

「気持ちは分かるが、前を向こう。今はそれしか出来ない。」

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