御陵衛士潜入
慶応3年(1867年)3月。伊東甲子太郎が御陵衛士(高台寺党)を結成して、新選組を離脱。藤堂平助や斎藤一も加入する。もっとも斎藤一は新選組本隊の間者として潜入した。
「斎藤さんも加入されるんですね!」
「あぁ…はい。まぁ。」
「伊東先生なら、新選組本隊よりも強い部隊を作れると思って、この御陵衛士に参加したんです。」
「その様子だと相当伊東先生に心酔している様ですね?」
「はい。元々は私の剣の師匠は伊東先生ですからね。」
「そうか…。分かった、潜入を続けてくれ。」
「困ったな、これじゃあ伊東だけじゃなく平助も斬らなくちゃならなくなる。」
「それだけは避けたいのだが…。」
結局斎藤一は、約8カ月間御陵衛士に潜入する事になる。
「なるべく悟られぬ様に努めてはいますが、そろそろ感づかれてもおかしくはないです。」
「いざとなったら脱走して来い。新選組が全力で斎藤を守る。」
「では、ギリギリまで潜入して奴らの情報をリークします。」
「ふん。本当に肝が座った奴だ。まだ20代前半の若さでどんな任務も遂行してくれる。」
「で?御陵衛士の目的は?」
「尊皇攘夷の実行と江戸幕府の壊滅…だそうです。」
「それじゃあ薩長とやってる事変わらねーじゃねーか?」
「開国したいんですかね?」
「その辺りの詰まった話は近藤さんと伊東と直接聞いてみるのがよろしいかと。」
「いきなり斬りつけてくる可能性もあるぞ?」
「剣の腕なら伊東より近藤さんの方が1枚上だ。」
「どうせ、話し合いなんて無理だろ?だから分裂したんじゃねーか?」
「土方さんのおっしゃる通りです。とは言え、一応話し合いはしたと言うのと、話し合いもせず一方的に暗殺したのでは、松平様のご印象も変わってくるかと。」
「それは一理ありますね。」
「伊東の暗殺と御陵衛士の殲滅に関しては自分に策があります。」
「ほう?」
「伊東と御陵衛士は早めに潰さないと、後々面倒な事になります。」
「それは理解している。しかし、平助もおるしな?」
「藤堂さんだけを逃すとなると、それは少しハードルが上がります。」
「それに平助も新選組本隊と御陵衛士が対立している事くらい理解しているはず。」
「残念ですが、覚悟を決めておく必要はあるかと思います。」
「トシ!斎藤の言う通りだ。平助は今や御陵衛士の一人。試衛館にいた頃のあいつとは違うんだよ!」
「分かってますよ、それくらい。でも我々も人間です。辛いのは土方さんだけじゃないんてすよ?」
「腹くくって行くしか無いか?」
「そうなるな。」




