鬼の副長土方歳三
斎藤にとっては土方は兄貴的な存在であり、少なくとも鬼ではなかった。また、土方も斎藤の事を心の底から信頼しており、比較的若かった斎藤に3番隊組長を任せたのは、他ならぬ土方であった。
「山南さんの事は残念でした。」
「そこはな。幹部の脱走だからな。そこは俺も近藤さんも鬼になったよ。」
「これで脱走者が減ると良いんですが…。」
「介錯する身にもなれってな。」
「はい。」
「間者の始末も任せっきりだし、そう言う輩も減るよいきっかけになったのかもな。」
「はい。」
「総司の体調がここの所、良いみたいだしな。不貞浪士をバンバン斬りまくってるから、俺の出る幕も少なくなったよ。」
「沖田さん無理してなければ良いのですが?」
「大丈夫。案外頑丈だからな。医者も太鼓判を押していたくらいだからな。」
「土方さんはやはり鬼の副長ではありませんですね。」
「??」
「厳しい面もありますが、凄く仲間想いだしまぁ、裏切り者には容赦ありませんが、自分には少なくとも鬼には見えませんね。」
「そんな事を言ってくれるのは斎藤くらいだぜ?局中法度を制定した辺りから永倉や原田とはすっかり距離が出来たし、慕ってくれる人は総司や斎藤くらいだぜ。」
「まぁ、それで良いのと違いますか?元々万人受けするタイプじゃないですし。」
「言ってくれるじゃないか。」
「そうだぞトシ。お前はマニアックな人種と言うか隊の汚れ役に率先してやってくれているだけなんだよな?」
「近藤さん!?」
「この俺が汚れ役になる事で、隊が良くなると言うなら、鬼でも修羅にでも何にでもなりますよ。」
「まぁそのおかげで安心して新選組の玉座に座っているのだからな。」
「斎藤君。君はトシが信頼を置く重要な幹部の一人だ。若いが剣の腕もたつし、積極的に3番隊組長として部隊を運営している。」
「近藤局長ありがとうございます。」
「うむ。まぁ励め。」
この頃はまだ京の都の治安は比較的安定していた。情勢が変わるまであと2年。新選組は池田屋事件のボーナスで飯を食べている様な状況であり、様々な任務の依頼を受けてそれに成功する事で、名声を上げていった。もちろん敵前逃亡は切腹の対象であった。隊を一つにする事にこだわった鬼の副長土方も沖田も斎藤一も、山南の死を無駄にしないと言う一心で動いていたが、動いたのは歴史の方であった。
「」




