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藤田五郎警部の幕末回顧録〜誠に生きた男達〜  作者: 佐久間五十六


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撃剣師範

「撃剣師範?自分がですか?」

「我々と流派こそ違えど君の剣の腕を買っての抜擢だ。」

「安心して下さい。私や永倉さんも撃剣師範ですから。」

「要するに隊士の剣の指導役って事ですね?」

「分かりやすく言えばそうなる。これからは忙しくなるぞ?」

「分かりました。引き受けましょう。」


と、軽々に引き受けたのは良いが、新選組の入隊希望者は右肩上がりで、中には木刀すら振った事のないド素人も沢山いた。それでも先輩の沖田や永倉が丁寧に指導する姿を見て斎藤も懇切丁寧に自分が磨いて来た剣の技術を教えた。隊の運営は、局長の近藤と副長土方そして総長の山南に任されていた。隊員の増加に伴い、大量の資金が必要となったが、その度に会津藩主松平容保公にお伺いを立て新選組の為ならば一肌も二肌も脱いで貰った。


「最近不貞浪士の数が増えていますね?」

「そうなのか総司?」

「そうですね。沢山の藩から大量の人がこの京都にはいますからね。」

「見回りを強化してくれ。」

「土方さんも山南さんも近藤さんもたまには現場に出てくださいよ!」

「あのな…総司?俺達は組織の存続の為にやらければならない事が山ほどある。不貞浪士位貴様や斎藤、永倉、平助がいれば何とかなるだろう?」

「ガチンコバトルしちゃって良いんですか?」

「撃剣師範の3人が中心となって、市中警護には各自担当のエリアをあてる。24時間三交替で各エリアを守れ。」

「良いな?」

「御意。」


こうして新選組の知名度は少しずつ上昇して行く事になる。地道な努力こそこれに勝るものは無し。1番隊組長沖田総司、2番隊組長永倉新八、3番隊組長斎藤一。この3つの部隊を中心に最盛期には10番隊まで編成される事になる。


「もっと手応えのある人はいないのでしょうか?」

「沖田さんクラスになると、敵うのは同じ撃剣師範の永倉さんや斎藤さんしかいないのではないでしょうか?」

「そんなレベルの低い不貞浪士ばかりでは新選組の需要もなくなってしまうな?」

「それも困った話ですね。」

「それに誰彼構わず斬って良いって訳じゃないんですよ?」

「そうなの?」

「会津藩の政敵と認められた者と判断した者や江戸幕府に逆らう者だけですよ?」

「なるほど。それもそうだな。民衆を斬ってしまえば新選組の評価はガタ落ち。組織の存続の為には重要な事だ。」

「新選組の運営って大変なんですね?」

「総司?ちょっとはこちら側の苦労も理解してくれたか?」

「新選組を潰さない様に頑張ります。」

「戦いは貴様の専門だしな。」

「はい。」

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