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藤田五郎警部の幕末回顧録〜誠に生きた男達〜  作者: 佐久間五十六


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鴨一派暗殺

3番隊組長として初めての大役は芹沢一派の暗殺、粛清だった。個人的には嫌いな人ではなかったが間者として接した上での情だと言う事に気付いたのは、文久3年9月の事であった。9月9日、暗殺が実行される1週間前には既に3番隊が芹沢鴨の懐刀の新見錦を切腹に追いやり、暗殺決行日のターゲットは平山であった。と言うのも、芹沢は沖田総司の1番隊や副長土方歳三ら精鋭が粛清にあたるためであった。酒に酔わせて寝込みを確実に殺る。手段を選ばぬ姿勢に事態の切迫さが伝わって来た。


粛清当日、一は鴨を泥酔させると言う重要任務がボーナスで付いてきた。当初は断わっていた一だが、芹沢に気に入れられた一にしか出来ない任務だと、近藤から直接任されては断りようが無かった。


「さっ!もう一杯!」

「どうした斎藤?下戸の貴様がワシにお酌を?もう7杯目だぞ?」

「折角芹沢先生の為に用意した酒席です。さ、ドンドン飲んで!」


その宴会の裏で京都・八木邸には殺気だったミブロ達で溢れかえっていた。


「来たぞ!」

「斎藤?もう飲めぬぞ?」

「八木邸までお送りします。」

「斎藤!ご苦労さん。平山を頼む。」

「御意。」

「行くぞ!」

「あぁ、そう言う事か…。」

「芹沢覚悟!」

ガギィィン!

「酔ってても強いわ、このおっさん。」

「グフっ。」

「殺ったか?殺ってないか?」

「殺りました。」

「土方さん、平山の方もOKです。」


こうして鴨一派の暗殺に成功したミブロは近藤派だけとなった。文久3年9月16日の事であった。暗殺事件を会津藩主松平容保公に報告すると、これからは壬生浪士組ではなく、新選組と名乗れと言われた。この件を契機に隊士が急激に増加。新選組は力を拡大して行く事になる。そもそも何故芹沢一派が粛清されたのかと言うと、金を大量に借りては、その金で飲んだくれて、市中では乱暴狼藉を加えて隊の評価を著しく落としてはその繰り返し。見るに耐えかねた松平容保公からの勅命によるこの様な有様であった。奇しくも壬生浪士組結成からわずか半年の事であった。作戦の中核を担った土方、沖田、斎藤には金5両の報奨金が会津藩から贈られた。


「土方さん?」

「どうした斎藤?」

「あんまり嬉しくないです。こう言うの。」

「そりゃあそうさ。仲間を粛清したんだから。ま、最も芹沢一派には迷惑してたからな。丁度良い潮時って奴だな。」

「そうですね。」

「」

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