守る心
なんなんだよあいつは…
知ったような口ききやがって…
ヨシアキは工場で座り込んで悩んでいた。
ヨシアキ「俺は何をむきになって…昨日知り合った他人だぞ…そうだよな…」
そう自分に言い聞かせるとヨシアキは作業を始めた。
ヨシアキは普段、午前9時から午後6時まで削り鰹に関する仕事をしている。
その内容は大まかに依頼された作品を仕上げるというもの。
個人からの依頼や、旅館などに飾るためなど様々なものだ。
キュルルルルル…
大事な物を守る目をしていました…!!
………
ヨシアキ「くそ!!あいつの言葉がちらついて仕事にならねえ…表で空気吸いに行くか…」
ヨシアキは工場の扉を開けた。
目の前には土下座したマサの姿があった。
マサ「…」
ヨシアキ「お前…なんなんだよ!!」
マサ「弟子に…してください…」
ヨシアキ「黙れ!それ以上…」
マサ「お願いします!僕にはもうこれしかありません!」
ヨシアキ「うるさ…」
マサ「認めてもらえるまで、僕はここを動きません」
ヨシアキ「…勝手にしやがれ!ただ扉の前にいられると邪魔なんだよ!場所をかえろ!」
マサ「すみません!」
マサは邪魔にならないように、端の方に移動しまた土下座をした。
ヨシアキ「くそが…お前のせいで仕事に集中できないんだよ!!」
ヨシアキは工場に戻り荷物を取り帰っていった。
マサ「絶対に…絶対に諦めません!」
帰り道
ヨシアキ「2~3日休むか…そうすりゃあいつも懲りるだろ…」
否!!
3日後出勤してきたヨシアキの工場の前に、数日前と変わらぬ土下座のままのマサの姿がそこにはあった。
それだけでも異常だが、マサは今まさしく不良の集団に襲われていた。
不良A「おめえさっきからなにしてんだよ?あぁ?」
不良B「オラなんとか喋れや!」
ドゴォ!!
不良Bの蹴りがマサを襲う。
マサ「ギガっ!」
不良A「ギガっ!だってよ!ははは!」
不良B「このままレバー破裂させちまうぜ!?」
不良A「ついでに工場もぶっ壊してやんよ!」
マサ「……!?工場に手を出すな!!クズ野郎!!」
不良A「ぁ?なんつった?もっぺん言ってみろや!!!!」
不良Aの右ストレートがマサの顔面を貫く。
マサ「キゥッ!!」
マサは地面に倒れこんでしまった。
マサ「工…場に……」
不良B「やっちまうべ?」
ヨシアキ「そこらへんにしとけよ」
ヨシアキが二人に近付いていった。
不良A「んだてめぇ?しばくぞ?」
するとヨシアキはバッグからある物を取り出した。
不良AB「…!?!?か、かんなじゃねえか!!お前削り師かよ!?」
ヨシアキ「俺の作品になりたくなけりゃさっさと消えろ」
不良A「ちっ!行くぞ!」
不良B「くそ野郎が!」
捨て台詞をはいて不良達は走って逃げていった。
かんなとは、木材などを薄く削る道具であり、削り師の命と言ってもいいものだった。
ヨシアキ「バカどもが。てめえらの血なんかで俺のかんなを汚すわけねえだろ」
………
ヨシアキ「…いつまでそうしてんだ」
マサ「す…すみません…弟子に…」
ヨシアキは工場の扉を開けた。
ヨシアキ「入れ。」
マサ「え…」
ヨシアキ「俺は甘くねえぞ。お前が弱音を吐いたら本当に削ってやるからな」
マサ「…!!!!あの…!!ありがとうございます!!」
………
ヨシアキ「ヨシアキだ。」
マサ「…?」
ヨシアキ「俺の名前だよ!さっさと入って血洗え!」
ヨシアキは一人で立てそうにないマサに肩を貸して工場の中に連れていった。
マサ「マサと申します…!これからよろしくお願いします!」
こうしてヨシアキとマサの長い道程が始まった。




