第50話「残された三人」
放課後。
サクヤがいなくなってから、数日が経った。
教室。
いつもなら四人でいるはずの場所に、三人だけが残っている。
「……なんか、変な感じだな」
レオが空いた席を見る。
「いつもいたからな」
レイはそう言いながら、机に視線を落とす。
雪は何も言わない。
ただ、サクヤの席を見ていた。
「……ちゃんと帰ってくるよね」
ぽつり。
レオが雪を見る。
「当たり前だろ」
「……分かってる」
雪は小さく笑う。
「でも、心配なのよ」
レイが窓の外を見る。
「サクヤは一人で無茶をする」
「だな」
レオが苦笑する。
「昔からそうだ」
少しの沈黙。
そしてレオが立ち上がった。
「じゃあ、俺たちは俺たちで強くなるか」
雪が振り返る。
「……え?」
「サクヤだけ修行してんだろ?」
レオは拳を握る。
「だったら俺たちも、何もしないで待ってるわけにはいかねぇ」
レイも頷く。
「同感だ」
「サクヤが戻ってきた時、俺たちだけ何も変わっていないのは面白くない」
雪は二人を見る。
「……二人とも負けず嫌いね」
「お前もだろ」
レオが笑う。
「……まあね」
雪も少しだけ笑った。
その瞬間。
――ドクン。
雪の表情が変わる。
「……?」
「どうした?」
レイが聞く。
雪は窓の外を見る。
遠く。
森の方角。
何かを感じた。
「……サクヤ」
「分かるのか?」
「ううん」
雪は首を横に振る。
「ただ……」
胸の奥に、僅かな違和感。
「何かが動いた気がする」
レイが静かに立ち上がる。
「……なら、俺たちも準備しておこう」
レオが大剣に手を添える。
「次に何か来た時、サクヤがいなくても戦えるようにな」
雪はもう一度、森を見る。
「……待ってるだけじゃない」
三人は、それぞれの武器と力を見つめる。
サクヤがいない。
だからこそ。
三人もまた、自分たちの道を進む。
――いつか、四人で並んで立つために。




