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「幼なじみは最強なのに、俺だけ無能だと思われていたが――実は“規格外”の力に誰も気づいていない」  作者: まちゃ粉
静かな波紋

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第41話「顕現」

41話「顕現」

ドクン

鼓動が、全員の内側で揃う。

誰も喋らない。

教室の空気が、張り詰める。

「……来るぞ」

レイが低く言う。

レオは舌打ちしながらも、姿勢を落とす。

雪は、動かない。

ただ、目だけが空間を追っている。

ドクン

一拍。

さらに強く。

「――今」

サクヤが呟く。

全員の視線が一点に集まる。

教室の中央。

空気が、わずかに歪む。

……来ない。

何も起きない。

歪みも、音も、気配も。

すっと消える。

「……は?」

レオの声だけが浮く。

「終わり、か……?」

誰かが言う。

張り詰めていたものが、わずかに緩む。

その瞬間。

ぐにゃり

サクヤの足元。

影が、歪む。

「下――!」

叫ぶより早い。

黒が、浮き上がる。

影じゃない。

“影の形をした何か”が、床から剥がれる。

ビキッ

床が、内側から押し出されるように割れる。

破片が上に弾ける。

でも――落ちない。

空中で止まる。

その“中心”に、それはいる。

最初に見えたのは、手だった。

長い。

関節が多すぎる。

人の形をしているのに、明らかに違う。

次に、顔。

……いや、顔じゃない。

あるはずの位置に、“何もない”。

空洞。

そこだけ、空間が沈んでいる。

「っ……!」

誰かが息を呑む。

理解が追いつかない。

でも、本能だけが叫ぶ。

――あれはダメだ

ぐしゃ

近くにいた生徒の肩が、潰れる。

触れていない。

距離はある。

なのに、内側から押し潰されたみたいに。

「離れろ!!」

サクヤが叫ぶ。

今度は全員が反応する。

悲鳴が一斉に上がる。

出口へ殺到する。

それは、動かない。

ただ、そこに“ある”。

でも。

周囲の空間が、歪み続ける。

レイが低く呟く。

「……接触してない」

目は逸らさない。

分析を止めない。

「影響範囲内に入っただけで――」

ぐにゃ

言葉が途切れる。

レイの足元も、歪む。

レオが腕を掴んで引く。

「下がれ!!」

間一髪。

さっきまで立っていた場所の床が、内側から爆ぜる。

「クソが……!」

レオの顔から、完全に余裕が消えている。

雪が、小さく言う。

「……広がってる」

その通りだった。

それの“輪郭”が、曖昧に広がっていく。

存在が、滲んでいる。

サクヤは一歩、前に出る。

止まる。

距離を測る。

ドクン

心臓が鳴る。

でも、恐怖じゃない。

確信。

(こいつは――)

それが、初めて動く。

ゆっくりと。

腕が、持ち上がる。

関節が、逆に折れる。

その先が。

空間に触れる。

バキン

何もない場所が、砕ける。

ガラスみたいに。

「……は……?」

誰かの声が震える。

サクヤが、低く言う。

「空間ごと潰してる……」

つまり。

避けるとか、そういう次元じゃない。

ドクン

さらに一歩、近づく。

「……サクヤ」

レイが呼ぶ。

止める声じゃない。

確認だ。

サクヤは、答えない。

ただ、目を逸らさない。

「これ、“現象”じゃねぇ」

一拍。

「敵だ」

その瞬間。

それの“空洞”が、こちらを向く。

見ている。

目はないのに。

確実に。

空気が、潰れる。

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