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「幼なじみは最強なのに、俺だけ無能だと思われていたが――実は“規格外”の力に誰も気づいていない」  作者: まちゃ粉
静かな波紋

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第39話「内側」

教室は、表面上はいつも通りだった。

教師の声。

ノートをめくる音。

ペンの走る音。

でも――

どこか、揃っていない。

(……静かすぎる)

サクヤは頬杖をついたまま、視線だけを動かす。

ドクン

まだ、鳴っている。

小さい。

でも、消えない。

『来ると思ってる顔だな』

(……黙ってろ)

『外じゃないんだろ?』

返さない。

分かっている。

昨日とは違う。

「……なぁ」

小声。

レオが後ろからつつく。

「今日なんも起きねぇよな?」

軽く笑ってるつもりの顔。

でも目は笑ってない。

「……さぁな」

短く返す。

その横で、レイが黒板を見たまま言う。

「“何も起きない前提”でいるのが一番危ない気はするな」

「やめろってそういうの」

レオが顔をしかめる。

「フラグ立てんな」

その時。

カタン

小さな音。

前の席のペンが、床に落ちる。

誰も触っていない。

一瞬の沈黙。

「あー、びびった……」

レオが息を吐く。

「ただの手滑りだろ」

拾おうとした生徒が首をかしげる。

「……俺、触ってないけど」

「は?」

軽いざわつき。

でも、それだけ。

何も続かない。

教師も気づいていない。

授業はそのまま進む。

――はずだった。

「……中だ」

ぽつりと。

雪の声。

小さい。

でも、はっきりしている。

サクヤの視線が動く。

雪は前を見たまま。

「外じゃない」

その瞬間。

チカッ

教室の電気が、一瞬だけ揺れる。

誰かが「あれ?」と声を漏らす。

風はない。

窓も閉まっている。

なのに――

カーテンが、わずかに揺れる。

(……来る)

サクヤは立ち上がりかける。

ドクン

強く鳴る。

次の瞬間。

ミシッ

嫌な音。

教室の“内側”から。

壁。

黒板の横。

細い線が走る。

「は……?」

誰かの声。

ヒビが、広がる。

外からじゃない。

内側から、押し出されるように。

「ちょ、待っ――」

レオの声が途切れる。

バキッ!!

音が弾ける。

壁の一部が歪む。

空間が、ねじれる。

見えない“何か”が、そこにいる。

「下がれ!!」

サクヤが叫ぶ。

体が先に動く。

近くの生徒を引く。

間に合わない。

ドンッ!!

衝撃。

空気が叩きつけられる。

「っ……!」

一人の生徒が吹き飛ばされる。

床に叩きつけられる音。

「いっ……!」

痛みの声。

完全には防げない。

(クソ……!)

サクヤが歯を食いしばる。

『遅いな』

(うるせぇ!!)

視線を戻す。

“歪み”は、まだそこにある。

でも――

さっきより薄い。

揺れている。

不安定。

そして。

ふっと、消える。

静寂。

数秒遅れて。

「……え?」

「なに今の……」

「大丈夫か!?」

一気に現実が戻る。

ざわめき。

教師の焦った声。

倒れた生徒に人が集まる。

雪は、立ち上がらない。

ただ、前を見ている。

そのまま、小さく。

「……ほら」

誰にも聞かせるでもなく。

「言ったでしょ」

サクヤはそれを聞く。

何も返さない。

ただ、歪んでいた場所を見る。

(外じゃない)

(中でもない)

拳を握る。

ドクン

今度は、はっきりと鳴る。

(……広がってる)

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