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「幼なじみは最強なのに、俺だけ無能だと思われていたが――実は“規格外”の力に誰も気づいていない」  作者: まちゃ粉
静かな波紋

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第37話「白い違和感」

ざわつきは、しばらく収まらなかった。

割れた窓。

床に散らばるガラス。

教師の焦った声。

「全員席に戻れ!落ち着け!」

でも誰も落ち着いていない。

「いや無理だろ今のは」 レオがガラスの方を見ながら言う。

「どう見ても普通じゃねぇ」

レイも静かに続く。

「昨日のやつと似てるな……でも、少し違う」

一瞬、空気が重くなる。

そして自然と――視線が集まる。

「……」

サクヤ。

何も言わない。

ただ、自分の手を見ている。

(……残ってる)

わずかな黒。

ドクン

胸の奥が鳴る。

『なぁ』

内側の声。

『さっきの、悪くなかっただろ?』

「……黙ってろ」

小さく呟く。

レオが眉をひそめる。

「またそれかよ。誰と会話してんだお前」

「独り言だ」

短く返す。

レイがじっと見る。

「……独り言にしては、反応が具体的すぎるな」

サクヤは視線を逸らす。

その時。

「ねぇ」

静かな声。

雪。

少し離れた位置から、まっすぐ見ている。

「今の、“昨日と同じ系統”? 」

核心だけ。

サクヤは一瞬だけ間を置く。

「……まぁな」

完全には否定しない。

雪は窓の外を見る。

「じゃあ――増えてるね」

レオが顔をしかめる。

「“増えてる”ってのが一番聞きたくねぇワードなんだけど」

「でも多分そうだろ」 レイが淡々と返す。

「一回じゃ終わらない流れだ」

沈黙。

サクヤは立ち上がる。

「……ちょっと外出る」

レオがすぐ言う。

「今かよ」

「気になるだけだ」

レイが一歩踏み出す。

「一人で行く気か?」

「大丈夫だ」

雪が小さく言う。

「大丈夫じゃない時も、それ言うよね」

刺さる。

でもサクヤは何も返さない。

そのまま教室を出る。

廊下。

足音だけが響く。

ドクン

『いいねぇ』

内側の声が笑う。

『さっきの“合わせ方”』

(……勝手に動くな)

『結果出ただろ?』

否定できない。

(……使われてるだけだ)

『違うね』

少し低くなる。

『“使ってる”んだよ、お前が』

「……うるせぇ」

校舎裏。

空気が重い。

「……やっぱあるか」

空間の歪み。

小さいが、確実にある。

ビキッ

裂ける。

黒が滲み出る。

「連続かよ……」

構える。

『さっきより強いぞ』

(だろうな)

「――来い」

ドンッ!!

突っ込んでくる。

速い。

でも――

今度は遅れない。

ギィンッ!!

受け流す。

反撃。

ドンッ!!

浅い。

「硬ぇな」

『出力足りてねぇ』

ドクン

少しだけ深く沈める。

視界の端が黒く染まる。

「……ッ!」

踏み込みが変わる。

バキィッ!!

核を捉える。

バキンッ!!

砕ける。

黒が霧散する。

静寂。

「……はぁ」

息を吐く。

『いいねぇ』

満足そうな声。

『でもな――まだ“白”には遠い』

クロノの姿がよぎる。

サクヤは拳を握る。

「……分かってる」

教室。

「……遅いな」 レオが時計を見る。

「まぁ行く理由は分かるけどな」 レイが言う。

少しの沈黙。

雪は窓の外を見たまま。

「戻ってくるよ」

レオが見る。

「なんで分かるんだよ」

少しだけ間。

「戻ってこない選択、しないから」

レイが小さく笑う。

「信頼厚いな」

「事実でしょ」

レオがニヤッとする。

「じゃあ戻ってきたら問い詰めるか」

「ほどほどにしとけ」

「一発だけな」

「増えてる」

その時。

ガラッ

扉が開く。

サクヤが戻る。

レオが即反応。

「遅ぇ!!」

レイも続く。

「何してたんだよ」

サクヤは少しだけ止まって、

「……ちょっとな」

それ以上は言わない。

雪は小さく息を吐く。

(ちゃんと戻ってきた)

それだけ確認するように。

サクヤは席に座る。

ドクン

まだ鳴る。

でも――

さっきより少し静かだった。

「……来るなら来い」

誰にも聞こえない声。

その影が、わずかに揺れた。

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