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「幼なじみは最強なのに、俺だけ無能だと思われていたが――実は“規格外”の力に誰も気づいていない」  作者: まちゃ粉
残された世界

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第28話「内側」

——黒の中。

音が、ない。

重さだけがあった。

沈むような圧力。

「……っ……」

サクヤは、膝をついていた。

体の感覚が、曖昧だ。

手も、足も、どこまでが自分なのか分からない。

(……ここ、は……)

答えは、ない。

ただ——

「まだ、起きてたのか」

背後から、声。

振り返る。

そこにいるのは——

自分。

同じ顔。

同じ声。

だが。

「……お前、誰だ」

サクヤが睨む。

“それ”は、笑った。

「雑だな。さっき見ただろ」

ゆっくりと近づいてくる。

「お前の“中身”の一部だよ」

「……ふざけんな」

即答。

だが、否定しきれない。

黒が、周囲で脈打つ。

「認めろよ」

“それ”が、囁く。

「楽になるぞ」

一歩、距離が詰まる。

「全部、俺に任せればいい」

「……黙れ」

サクヤの拳が、震える。

「仲間も守れる」

「黙れって言ってんだろ」

「苦しまずに済む」

「——黙れ!!」

振り抜く。

拳が、“それ”を貫く。

だが。

手応えは——ない。

霧を殴ったように、すり抜ける。

「無駄だよ」

背後から声。

いつの間にか、後ろにいる。

「ここは“内側”だ」

肩に、手が置かれる。

「力の差は、そのまま支配の差になる」

——ゾワッ

全身が粟立つ。

「今のお前じゃ、俺には勝てない」

——外。

「チッ……!」

レオが地面を蹴る。

再び、突っ込む。

だが。

「——遅い」

黒が揺らぐ。

次の瞬間——

「ぐぁっ!!」

腹に衝撃。

空気が、抜ける。

そのまま吹き飛ばされる。

「レオ!!」

リンの声。

いつの間にか、立ち上がっていた。

足は震えている。

それでも、目は死んでいない。

「来るな!!」

レオが叫ぶ。

血を吐きながら。

「今のあいつに近づいたら——」

言い切る前に。

「——分かってる!!」

リンが遮る。

涙を滲ませながら。

それでも、一歩前へ。

「それでも……行かなきゃ」

手を握りしめる。

「サクヤを……置いていけない」

「……非効率だな」

レイが低く呟く。

だが、その目は鋭い。

状況は最悪。

だが——

「だからこそ、価値がある」

刀を構える。

魔力が、静かに研ぎ澄まされる。

「レオ」

「……ああ」

「時間を作る」

短い一言。

だが、十分だった。

「——ほう」

“サクヤ”が、興味を示す。

「まだ動くか」

レイが踏み込む。

音が、消える。

次の瞬間。

——斬撃。

空間ごと切り裂く一閃。

黒が、わずかに揺れる。

「……」

初めて、“それ”の動きが止まる。

ほんの一瞬。

だが——

「今だろ!!」

レオが、吠える。

ボロボロの体で。

それでも、全力で踏み込む。

——内側。

「……感じるか?」

“それ”が笑う。

「外が、必死だ」

サクヤの視界に、断片が流れ込む。

レオが吹き飛ばされる。

リンが立ち上がる。

レイが斬る。

「……っ……!」

歯を食いしばる。

「ほらな」

囁き。

「任せればいい」

「……違う」

かすれた声。

「は?」

「任せるんじゃねぇ」

ゆっくりと、立ち上がる。

足は重い。

それでも。

「一緒に、戦うんだろ……」

拳を握る。

「俺は……」

顔を上げる。

「俺だ」

黒が、揺れた。

ほんの僅かに。

確かな——変化。

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