表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「幼なじみは最強なのに、俺だけ無能だと思われていたが――実は“規格外”の力に誰も気づいていない」  作者: まちゃ粉
残された世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/40

第27話「届かない手」

——地面に、血が落ちた。

ぽたり、と。

「……っ……はぁ……」

レオは膝をついたまま、吐き出す。

赤が、地面を汚す。

腕が、上がらない。

呼吸が、うまくできない。

「……クソ……」

それでも、顔を上げる。

視線の先。

そこにいるのは——

「……サクヤ、かよ……」

もう、原形を保っているだけの“何か”だった。

黒が、まとわりつく。

空間そのものが、歪んでいる。

そして——

「——遅ぇよ」

その声。

聞き慣れているはずなのに、

まるで別人のように冷たい。

「……っ」

レオの奥歯が軋む。

(ふざけんなよ……)

ようやく、間に合ったと思ったのに。

助けに来たはずなのに。

目の前にいるのは——

もう“助けを求める側”じゃない。

「レオ、無理をするな」

後方から、レイの声。

振り返らずとも分かる。

あいつも、限界だ。

呼吸は浅い。

立っているのがやっと。

それでも。

「……無理しねぇと、終わるだろ」

レオは、無理やり立ち上がる。

膝が笑う。

視界が揺れる。

それでも、剣を握る。

「……あれ、見て言ってんのか」

顎で示す。

そこには——

倒れたリン。

そして、その上に立つ“サクヤ”。

「……時間がないな」

レイの声が、僅かに低くなる。

その瞬間。

——ドンッ!!

「がっ……!!」

レオの体が、再び吹き飛ぶ。

何も見えなかった。

ただ、気づいた時には——

地面を転がっていた。

「……っ、速ぇ……!」

血を吐きながら、無理やり起き上がる。

見えなかった。

反応すらできなかった。

「……完全に、別物だ」

レイが呟く。

だが。

「違う」

レオは、吐き捨てる。

「……あれは」

ゆっくりと、剣を構える。

腕は震えている。

今にも折れそうだ。

それでも。

「“奪われてる”んじゃねぇ」

一歩、踏み出す。

「“混ざってる”」

黒が、脈打つ。

サクヤの口元が、歪む。

「……へぇ」

興味を持ったような声。

「分かるのか」

その一言で、確信する。

まだいる。

奥で、潰れかけながらも——

サクヤは、確かに“いる”。

「……だからよ」

レオは、笑う。

血で濡れた口元で。

「ぶん殴ってでも、引きずり出す」

「……合理性に欠けるな」

レイが一歩、前に出る。

刀に、魔力が宿る。

「だが——否定はしない」

視線は、まっすぐ敵へ。

「最悪だが、最適だ」

「レオ」

「ああ」

一瞬の沈黙。

呼吸を合わせる。

限界同士の連携。

それでも——

「止めるぞ」

「殺すなよ」

「保証はしない」

次の瞬間。

二人が同時に踏み込む。

だが——

「——遅ぇよ」

黒が、先に動いた。

空間が、歪む。

視界が、裂ける。

そして——

戦場は、完全に崩壊した。

その中心で。

黒に沈みながら。

押し潰されそうな意識の奥で。

サクヤは——

まだ、抗っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ